
ザッパよりちょっと真面目な親父ギャグの詞世界
――そして、やはりジェームズさんの歌詞がすごく面白いですよね。業務スーパーの激安食品について歌った“Gyoumu”など、生活のなかから生まれている感じがします。どういう風に書いているんですか?
ジェームズ「すごく時間がかかります。日本語で頑張っていますしね。日本の歌手の音楽を聴くのが好き。けど、わかりやすい歌詞しかわかりません。THE BLUE HEARTSとかクレイジーキャッツとか、昔のバンドだけど歌詞をちゃんと覚えるように勉強して。
そういうふうに書こうと思ったけど、やっぱり親父ギャグになってしまう。親父ギャグから綺麗なものを作るのが好きです。綺麗なものをバカな感じにしたり、バカなものを綺麗にしたりすることにすごく興味あります。なんでかわかんないけど(笑)」
――ジェームズさんが好きなフランク・ザッパもリリックがすごくユーモラスですよね。
ジェームズ「そう。抽象的なところも政治的なところもある。でも、フランク・ザッパよりちょっと真面目に書いてるんです(笑)。バカなところだけじゃないと思ってほしいです」
――でも、笑ってしまうんですよね。“Ochanomizu”の歌詞の〈お茶の水につくと/鼻水がでるよ〉とか。
ジェームズ「僕は変な音楽が好きですけど、自分の音楽を広げたいから、どうやってこの変な音楽を聴かせるかを考えています。なので、面白さは一つのやり方だと思っています」
――マーティさんとermhoiさんはどうですか? ジェームズさんの歌詞について。
マーティ「面白い!」
ermhoi「独特の言葉の使い方をするから、逆にすっと入ってくる。聞き慣れた日本語だと聞き流しちゃいますが、ちゃんと留まるのは、ジェームズにとって日本語が第二言語というか母語じゃないからこそ出せる味のおかげだなってすごく感じていて。だから、お客さんも〈なんて言っているんだろう?〉って耳を傾けるんです。それがコミュニケーションとして新しい感覚だと思っていて、すごく好きです。ライブをしているときのお客さんの顔が面白いですね」
ジェームズ「日本語が下手だからね。英語が下手な日本人の友だちの英語がすごく好き。詩的なもの、僕が考えられないことを言うのがすごく綺麗だと思います。僕も日本語をまだ頑張っている途中だけど、そういうふうに表現したい。英語だと毎日ずっと同じだから話したくないんです。話すならもっと変な英語で話したい。正しい英語は別に大事にしていない。詩が大好きなんです。詩の本をよく集めています」
――どんな詩集を読んでいるんですか?
ジェームズ「ほとんど英語の詩人だけど、穂村弘の本をいろいろ持っています。彼は素晴らしい。『ラインマーカーズ』に入っている短歌にすごくインスピレーションを受けました」
――たしかに、ジェームズさんの歌詞は穂村弘的な世界かもしれませんね。“Toshimaen”の〈新宿駅から出られません〉〈中央線はとても怖い〉といった歌詞は実体験ですか?
ジェームズ「運転できません」
――電車で移動するんですね。
ジェームズ「電車が好きです。満員電車は酷いけど、座れる電車はすごく好き。座って本をちょっと読んで……。電車が好きですよ」