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ゴールデンボンバーの失恋ソングが多くの人を引き付ける理由

MC中は笑顔や観客の「キリショー」コールも飛び交う和やかな雰囲気だけど、「明るいキリショーとは次のMCでお会いしましょう」と鬼龍院のいうとおり、“男心と秋の空”、“煙草”では、あざやかなメロディと物悲しい歌詞が心に深く染み渡ってゆき、“鈍色の臨終”で、さらにドラマチックな展開が感傷に拍車をかけていく。

「(曲とMCとの)落差が激しいよね。いつも変な空気になります」という鬼龍院。普段はどの位置に座っている観客にも自身の姿が見えやすいように、上手下手とステージ上を動き回る鬼龍院だが、今日のコンセプトではそれが難しいため、MC中に動き回りながら「普通に音楽やるって大変だな」とポツリ。

“Neeeeeee!”、“忙しくてよかった”、“泣かないで”など、5曲を立て続けに披露。なお、すべて失恋ソングである。いつの時代もゴールデンボンバーの失恋ソングには未練や執着、空回りといった格好悪さ(それこそ〈女々しさ〉が!)込められている。それが多くの人の心を引き付けてやまないのだろう。

そして、「やらないといけないから……」と普段は歌広場淳(ベース)にまかせているグッズ紹介タイムをはさみ、“胸を痛めても”、“断末魔”、“夢を見れたら”、近年の自分自身の心境、葛藤を掘り下げた不器用で切実な3曲を歌い上げ、本編が終了した。

 

配慮やサービスを超えた全席疾走

アンコールでは、「〈ひとりよがり〉定番の曲を」と、始まった“あしたのショー”ではこの7年の鬼龍院の写真がスクリーンに映し出される。“らふぃおら”を経て、“ありふれたうた”ではステージから降りて客席をすべて回っていく。これもまた〈ひとりよがり〉では定番の光景ではあるものの、1階席から2階席、3階席と全力疾走している鬼龍院の姿は、ここまでくると〈配慮〉や〈サービス〉といったものを超えた別のなにかに見えてくる。そして、最後は花びらが舞い降りる“春が来る前に”で、この日の〈ひとりよがり〉は幕を閉じた。

〈ひとりよがり〉は、字義通り自己完結しているわけではなく、同じ空間のステージの上と下にいる〈ひとり〉同士が、曲の世界を通して人生の断片を重ねることのできる優しい世界だ。またいつか、いつまでも孤独でどこまでも優しい〈ひとり〉の世界を鬼龍院が用意してくれるのを待つことにしよう。

 


SETLIST
1. 夜汽車
2. 君がいない間に
3. 男心と秋の空
4. 煙草
5. 鈍色の臨終
6. Neeeeeee!
7. 忙しくてよかった
8. Reue
9. 腐男子
10. 泣かないで
11. 胸を痛めても
12. 断末魔
13. 夢を見れたら

ENCORE
14. あしたのショー
15. らふぃおら
16. ありふれたうた
17. 広がる世界
18. 春が来る前に