I GETCHA!
鋭利なリフを繰り出してマネスキンの音楽性の根幹を担ってきたギタリスト、トーマス・ラッジが初めてのソロ・アルバムを完成! プロデューサーのトム・モレロを筆頭にありえないくらい豪華な面々が生粋のロック・アーティストを熱く盛り上げているぜ!

 ローマのストリートからスターダムへと駆け上がり、数年かけて全世界でブレイクを果たしたイタリアのマネスキン。メインストリームのプロデューサー陣を起用した2023年作『RUSH!』リリース後はそれに伴う活動を経てバンド活動は休止中だが、ベーシストのヴィクトリア・デ・アンジェリスのソロ・デビューに続いてフロントマンのダミアーノ・デヴィッドも2025年にソロ・アルバム『FUNNY little FEARS』を発表するなど、個々の動きを見せてくれている。そんななか、ダミアーノに負けじとギタリストのトーマス・ラッジもソロ活動を開始しており、このたび初のアルバム『MASQUERADE』を完成させた。

THOMAS RAGGI 『MASQUERADE』 Columbia/ソニー(2025)

 トレードマークのモップトップヘアを振り乱し、長身の体躯でステージを駆けながらギターを奏でる彼の姿はまさに生粋のロック・アーティストといったところで、実際にバンドにおいても彼の紡ぎ出すキャッチーなギター・リフこそが音楽性の根幹となっているわけで、グラマラスなポップスター志向も含んだダミアーノとはまた違う意味で彼のソロ作は注目すべきものになっている。今回の制作にあたって迎えられたプロデューサーはトム・モレロ。同じイタリアのルーツを持つことで意気投合したのもあり、この1年ほどの間でトーマスはトムのライヴ・ショウやイヴェントに携わってきていたそうで、ソロ・プロジェクト始動にあたってトムに助力を仰いだのも自然な流れだったのだろう。結果的にトムの人脈も手伝ってアルバムには世界各国のさまざまな世代から指折りのロック・ミュージシャンたちが多数フィーチャーされている。

 アルバムに名を連ねたのは、トム・モレロを筆頭にベック、ニック・セスター(ジェット)、アレックス・カプラノス(フランツ・フェルディナンド)、マキシム(ザ・プロディジー)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、セルジオ・ピッツォーノ(カサビアン)、チャド・スミス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、マット・ソーラム(元ガンズ・アンド・ローゼズ)、ルーク・スピラー(ザ・ストラッツ)、アップサールといった顔ぶれ。トム自身も豪華ゲストを招いたソロ・プロジェクトでアルバムを作っているが、ロック的な範疇ではそれ以上に豪華な面々が集まっているのもおもしろい。これはトーマスとのコラボレーションに惹かれた彼らが純粋に音楽愛に突き動かされた結果だと捉えることもできるだろう。「こんなにたくさんの音楽界のアイコンたちがひとつになるのを目の当たりにして、音楽に境界線はないってことに気付いたよ。本能とインスピレーションに従って、押し付けられたルールは無視して、シンプルに感じたことをやるべきだってね」とはトーマスの弁。アレックス・カプラノスの歌うデッド・オア・アライヴのカヴァー“YOU SPIN ME ROUND (LIKE A RECORD)”がハマりすぎていたり、“LUCY”でハマ・オカモトとチャド・スミスのコンビネーションが堪能できたり、曲ごとの楽しみどころはそれぞれにあるが、まずはヴォリュームを上げてロックに愛された男のエネルギッシュなパフォーマンスを存分に浴びてみよう。