個別の活動が目立つマネスキン。ヴィクトリアのバイリ・ファンキ化に仰天したのも束の間、今度はフロントマンのダミアーノから初のソロ作が届きました。ラブリンス関与曲を筆頭に、感傷的な裏声やピアノの調べ、雄大な展開も相まって、2000年代半ばのコールドプレイを思い出させる瞬間が多々。大っぴらにアピールせずとも滲み出てしまう色気がたまりません。もっとも、“Tangerine”では本隊でエルヴィス“If I Can Dream”を演った経験が活かされ、レディオヘッド風の“Sick Of Myself”も『RUSH!』の終曲と地続きにあるもの。新境地を開拓しつつ、従来のファンもしっかり抱き込む抜かりなさが見事です。
