©Francis Delacroix

世界を席巻して日本でも絶大な支持を得るに至った4人が、挑戦と進化を詰め込んだニュー・アルバムで怒涛のラッシュを仕掛けてきた! 新しい年に新しい時代の始まりを告げるのはやはりマネスキンだ!

楽しさと衝動と開放感

 いったいいつそんな時間があったのか。イタリア発のニュー・ロックンロール・ヒーローズ(&ヒロインも!)のマネスキンが、早くもニュー・アルバム『Rush!』を完成させた。

MÅNESKIN 『Rush!』 Epic/ソニー(2023)

 2021年5月の〈ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト〉で優勝して以来、快進撃を繰り広げてきた彼らは、ノンストップで世界中を駆け巡り、単独ツアーはもちろん世界各地のフェスやイベントに出演しまくり、メディアからも引っ張りだこ。ここ日本でも昨年8月の〈サマソニ〉出演と単独公演をきっかけに、一気に人気に火が点き、老若男女を問わず幅広い音楽ファンを熱狂させている。

 久々に登場したロック・スター、ダミアーノ・デイヴィッド(ヴォーカル)のセックス・アピールにやられた人も多いはずだし、星形ニップレスのみを貼り付けて上半身裸でステージに立つヴィクトリア・デ・アンジェリス(ベース)の大胆不敵なパフォーマンスに度肝を抜かれた人も多いだろう。股間にギターを据えてブンブン爪弾きながら、のけぞりまくって恍惚とする彼女の姿ほど美しいものはない。大阪公演ではニップレスが外れてしまったけれど、そんなのお構いなし。女性が自身のセクシュアリティを自由に表現して謳歌することが、本当の意味での男女平等なのだと教えてくれる。彼らを観ていると、ロック・バンドってこんなに自由でノー・ルールだったっけ?と思ってしまうほど。忘れかけていたロックの楽しさや衝動、開放感を改めて体感させてくれるのがマネスキンの4人だった。

 そう感じられるのは、もちろん楽曲の魅力があってこそ。イタリアで生まれたロック・サウンドが、従来の予定調和を打ち砕き、ワクワクさせる突然変異のような新感覚を持ち込んでくれた。その魅力は全世界で注目を浴びるきっかけとなった“Zitti e buoni”を耳にすれば、一聴瞭然だ。その世界的ヒットが放たれた後にも、次々とユニークな楽曲を投下。“I Wanna Be Your Slave”には、あのレジェンド・パンク・ロッカーのイギー・ポップが参戦。イタリアのロック・バンドとして初の全英TOP10入り、最高5位を記録した。2017年のEP『Chosen』収録の“Beggin’”(60年代に活躍したイタリア系白人ソウル・グループ、フォー・シーズンズのヒット曲をカヴァー)も再リリースされて欧州各国のチャートで上位を賑わし、こちらは全英6位を記録。海を隔てた全米でもロック・チャートに食い込んだ。