近年、日本で人気を博すBLコンテンツ。昨年も多数の作品が生まれ、充実のBLライフを送った方も多かったのではないでしょうか? MikikiではBLドラマに関する記事を多数お届けしておりますが、今回は国内ドラマを中心に2025年のBL作品を振り返ります。タワーレコード渋谷店スタッフの吉田向日葵とメディア編集部の鹿糠結花が、それぞれの推し作品やハマった俳優などについて語り合いました。 *Mikiki編集部


 

王道な関係とピュアな恋で魅せた「修学旅行」、人気小説の初ドラマ化「タクミくんシリーズ」

鹿糠結花「メディア編集部の鹿糠です。はじめまして。早速、2025年のBLドラマについて振り返りつつ、お話しできればと思います。

昨年、地上波では1月期に『ふったらどしゃぶり』が放送されましたが、実は4月期はBLドラマの放送が全くなく、6月から『Love in The Air-恋の予感-』がオンエアされたものの、作品数という意味では寂しい上半期でした。その反動?なのか、7月期には『雨上がりの僕らについて』『40までにしたい10のこと』『恋愛ルビの正しいふりかた』『被写界深度』『Love Sea ~愛の居場所~』、10月期には『25時、赤坂で Season2』『PUNKS△TRIANGLE<パンクス・トライアングル>』『修学旅行で仲良くないグループに入りました』『セラピーゲーム』『絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男 ファイナル』『ifの世界で恋がはじまる』と下半期は怒涛のBLドラマラッシュでした。これらの放送を通してどんな感想を持たれましたか?」

吉田向日葵「はじめまして。私はタワーレコード渋谷店の吉田向日葵といいます。2025年のBLは、とにかく尊い作品が多かった1年だと思います。2024年よりもたくさんの作品を目にすることが多く、最終回で終わってしまって寂しい気持ちをまた新しい作品が埋めてくれることが多かったです」

鹿糠「めちゃくちゃわかります! 巷では〈○○ロス〉と表現されることが多いですが、最終回の放送後の心にぽっかり空いた隙間に、そっと新しい作品が入り込んでくるんですよね~。確かに全体的にピュアッピュアな作品が多かったなと思います。

また2025年は、BSでも『タクミくんシリーズ -Drama-』といった新作や『俺は恋愛なんか求めてない!』『奇蹟』など海外の話題作が登場。さらに『Dating Game~口説いてもいいですか、ボス~』や『10DANCE』などが配信され大きな話題を呼んだほか、『劇場版 スメルズ ライク グリーン スピリット』や『秘密關係 Secret Lover 最後の約束』など人気ドラマの劇場版が公開されるなど、結果的に大豊作の1年になりました。そのなかで、吉田さんがハマった作品はどの作品だったのでしょうか」

吉田「私が昨年、一番1週間を長く感じた(次の回を早く見たかった)作品は『修学旅行で仲良くないグループに入りました』です。この作品の推しポイントは、なんといっても嫉妬深めな攻めと、自然とかわいらしさが出てしまう受けの相性ばっちりな組み合わせ。結構BL的には王道な関係性だと思うんですが、高校生のピュアな恋愛であることによって、最強にかわいい作品になっていると思います」

藤本洸大, 簡秀吉 『修学旅行で仲良くないグループに入りました Blu-ray BOX』 ABCフロンティア(2026)

鹿糠「っか~! 同意です! 日置朝陽役を演じた藤本洸大が様々な場面で見せる渡会への視線の送り方も天才的でしたが、渡会紬嵩役の簡秀吉が仕掛ける射撃(キス)も見どころでしたね。ちなみに私は休みの日に修学旅行のロケ地となった場所をこっそり訪れたりもしました(照れ)。

学生が主人公という意味では『タクミくんシリーズ -Drama-』も私的にはよかったです。30年以上にわたって愛されるBL小説シリーズを原作に、今回初めてドラマ化されたわけですが、学生同士で好きが交錯していて、BL好きなら推しカプが見つかるのではないかと」

塩﨑太智, 加藤大悟 『タクミくんシリーズ -Drama- Blu-ray BOX』 ポニーキャニオン(2026)

 

心温まる愛おしい作品「40までに」、心理描写が丁寧な「ふったらどしゃぶり」

鹿糠「ほかにはどんな作品がよかったですか?」

吉田「私がおすすめしたい2本目の作品は『40までにしたい10のこと』です。心温まる作品で、誰もが感じる孤独にそっと入り込む太陽のような存在が大切な人に変わる瞬間がたまらなく愛おしいと思いました。メイキングを見ると、主演の風間俊介さんと庄司浩平さんが2人で台本を片手に〈こうしたらもっとよくなる〉と意見を出し合いながら制作されたそうで、腐女子としてはその真剣に取り組んでくれている姿にも感動しました(笑)」

風間俊介 『40までにしたい10のこと Blu-ray BOX』 「40までにしたい10のこと」製作委員会(2026)

鹿糠「いや~、そうなんですよ。『40までにしたい10のこと』は、私の去年のナンバーワン作品です。昨年末に未公開映像を加えた一挙放送が行なわれましたが、まさかこんな素敵なシーンが泣く泣くカットされていたとは……と何度思ったことか。オフィスとプライベートのシーンがいいバランスで、風間俊介と庄司浩平が演じた主役の2人はもちろんですが、会社の同僚たちのキャラクターもしっかり個性が打ち出されていたところに、このドラマの世界の深みも感じられて作品全体を通して最高の仕上がりだったと思います。

あと、個人的には大人の恋愛を描いたもので言うと、『ふったらどしゃぶり』も結構刺さった作品でした。報われない愛に悩む整(伊藤あさひ)と一顕(武藤潤)の心理描写がとても丁寧で、実際のところ2人の関係は浮気なんだけれど、互いに惹かれあっていく様子は多くの人が共感できるところではないかと」

伊藤あさひ, 武藤潤 『ふったらどしゃぶり Blu-ray BOX』 エイベックス・ピクチャーズ(2025)

吉田「『ふったらどしゃぶり』は、私も今回おすすめしようかな?とかなり迷いました〜! お互いが必要な存在になっていく2人の空気感が、私は大好きでしたね。最終回の、なくなってしまう美術館の前で思いを伝え合ってキスをするシーンは何度も見返しました!」

 

ドキドキしっぱなしの「被写界深度」、映像美と俳優から目が離せない「セラピーゲーム」

吉田「私がおすすめしたい3本目の作品は『被写界深度』です。この作品は、風景の美しさと、高校生たちの〈引いて惹かれて〉な恋愛模様にドキドキしっぱなしでしたね。カメラマンとバンドマンという組み合わせで、それぞれの感情が動いていく演技に圧倒されました」

宇佐卓真, 平野宏周 『ドラマ「被写界深度」Blu-ray BOX』 ポニーキャニオン(2026)

鹿糠「学生ならではの葛藤とか、劣等感とか、芽生えた恋心が溢れていく感じとか、繊細に描かれていた印象です。宇佐卓真演じる早川が思いを胸に秘めてモヤモヤしている感じとか、いい演技をしてましたよね。

そういえば、『セラピーゲーム』にもカメラマンが登場しましたね。獣医をめざす学生との恋の物語で、この作品も美しい映像とメインキャストの持つ透明感から目が離せない作品でした」

NAOYA (MAZZEL), 冨田侑暉 『「セラピーゲーム」Blu-ray BOX』 DMM FILMS(2026)

吉田「『セラピーゲーム』もかなり素敵な作品でしたよね! 主演の2人の顔面がよすぎて、途中で目を逸らしたりもしました(笑)。やっぱり2人の思いが募っていく感じの作品は漫画やドラマどちらもこちらの感情の持っていかれ方がすごいですよね!」

鹿糠「そうなんですよ。まったく心が震えっぱなしの1年でしたね」

 

藤林泰也、庄司浩平、醍醐虎汰朗&中川大輔……2025年ときめいた俳優

鹿糠「2025年、特に輝いていたと思う俳優は誰だと思いますか? でも正直、この質問は選べないですよね(苦笑)。

『セラピーゲーム』の三兎湊役のNAOYA(MAZZEL)はあまりにも自発光していたし、『ふったらどしゃぶり』の伊藤あさひと武藤潤の配役もよかった。『25時、赤坂で Season2』での新原泰佑演じる白崎くんの舞台シーンも迫力があったし、演じ分けも素晴らしかった……挙げ出したらきりがないくらいあの人もこの人も輝いていましたが、吉田さんはいかがでしたか?」

吉田「や~、私も1人に絞れないですね……。本当に強いて言うなら、原作も大好きな作品の『PUNKS△TRIANGLE<パンクス・トライアングル>』のアイくんを演じる藤林泰也さんを見たときは、〈ちょっと待って、アイくんって存在したの?〉と思いました。あそこまで原作に近づけていただいて、原作ファンとしてもうれしい限りです。3話のアイが千明(長野凌大)をトイレでなだめるシーンはよすぎて、家で発狂しました(笑)。

長野凌大, 藤林泰也 『PUNKS△TRIANGLE<パンクス・トライアングル>Blu-ray BOX』 ハピネット・メディアマーケティング(2026)

ちなみに渋谷店ではポップアップショップも開催し、劇中で〈えなちあ〉(主人公2人のカップル名)が実際に作成した衣装の展示を行なったんです。私も実際に見させていただきましたが、もう愛おしすぎました。服が愛おしいと思ったのは初めてでした(笑)」

鹿糠「原作ファンの人に刺さるって、最大の誉め言葉じゃないですか。劇中の衣装を自分の目で見られる機会って少ないので、愛おしいと思う感情にも共感できます。

私は身を切る思いで選ぶとしたら、『40までにしたい10のこと』の田中慶司役、庄司浩平ですかね。風間俊介との身長差によって、雀が慶司にハグで物理的に包み込まれてしまう感じも個人的にはグッときましたが、第11話、雀の部屋のシーンでの庄司さんの演技は神がかっていました。慶司のぐしゃぐしゃになった表情に、私は胸が締め付けられてしょうがなかったです。11話が最終回の目前だったこともあって、最終回放送までの1週間、このシーンが脳内でリピートされちゃってめちゃくちゃ辛かったです」

吉田「いや~、鹿糠さんの言葉を聞いて思い出して、胸が痛くなりました(笑)。あのシーンの慶司の感情が、あの表情で伝わってきましたよね。やっぱり、受けと攻めの身長差ってきゅんきゅんの大事なポイントです……」

鹿糠「身長差でいくと、醍醐虎汰朗と中川大輔がダブル主演した『イフ恋』こと『ifの世界で恋がはじまる』のキャスティングも絶妙でした。が、個人的には全6話は物足りなかった印象で、あと4話、いや2話でもいい、もっと互いを想い合っているシーンが観たかったですね。最終回がよかっただけに、この2人の物語をもっと見せてくれ~!と、放送後の私は悲鳴をあげていました。公式のSNSで公開された醍醐さんと中川さんがお姫様抱っこをし合う姿と、最終回で露わになった中川さんの腕は少なからず私を狂わせましたね」

醍醐虎汰朗, 中川大輔 (俳優) 『ifの世界で恋がはじまる Blu-ray BOX』 「ifの世界で恋がはじまる」製作委員会/MBS(2026)

吉田「最近のBL作品は少し短い作品が多くて、私も〈もう少し2人を見せてほしい……〉と願うことが多くて。でも、この名残惜しい感じがすごくよかったりもするんですよね(笑)」

 

Glen Check、DXTEEN、カラノア、berry meet……ドラマを彩った名主題歌

鹿糠「ドラマといえば、主題歌も重要ですよね。印象的だったオープニング、エンディング曲はありますか?

私は、『40までにしたい10のこと』のChevonの“菫”とthe shes goneの“まぼろし”とか、『セラピーゲーム』の龍宮城の“SUGAR”とMAZZELの“Only You”とか、どれだけリピートしたか知れないですが、なかでも好きだな~、いいな~と思ったのは『25時、赤坂で Season2』のGlen Checkが歌うエンディングテーマ“After Hours (At 25:00, in Akasaka Season2 OST)”です。この曲が流れるなかで、羽山(駒木根葵汰)と白崎(新原泰佑)が甘い時間を過ごしているシーンを思い出すだけでホカホカした気持ちになります。シーズン1のオープニングテーマだった鯨木の“赫赫”やMelのエンディングテーマ“東京ナイトロンリー”が印象的だったので、続編で新たな楽曲を使用して積み上げた世界観を壊してしまうのではないかと勝手に心配していましたが、Glen Checkの楽曲も、SIRUPが担当したオープニングテーマ“KIRA KIRA”もシーズン2の世界に溶け込んでいて、聴いただけで様々な場面が浮かんできます」

吉田「うわ~、めっちゃいいところ選びましたね! 私もそのエンディングソング大好きでした! 私が印象的だったのは『修学旅行で仲良くないグループに入りました』主題歌のDXTEENが歌う”両片想い”です。この曲、歌詞がとにかく可愛くて。日置と渡会の2人の感情が歌詞のままで……。サビの〈スキが大渋滞して/Crush 進まないんだ〉という歌詞があるんですが、そこの部分が渡会の感情すぎて……。たくさんの人にこの曲を聞いてほしいです!」

DXTEEN 『両片想い』 ユニバーサルシグマ/LAPONE(2025)

鹿糠「あ~、いいですね~。私が好きな歌詞は〈愛までもう数センチ〉のところですね。両片想いの状態を表現する言葉としてあまりにも秀逸で、初めて聴いたときはハッとしちゃいました。

あと、『雨上がりの僕らについて』のオープニングテーマだったカラノアの“aquarium”も好きでした。歌い出しの〈雨の匂い、奇跡の序章/あなたに出会ってしまったんだ〉のところに、奏(池田匡志)と真城(堀夏喜)の奇跡のような再会が思い浮かんで、このフレーズを聴くだけでその後の恋に発展していく2人のシーンが次々に脳に流れ込んでくるんです。それと、この曲のミュージックビデオに池田さんが出演していてこれまた素敵なので、まだ観てないって人にはぜひチェックしてほしいですね」

吉田「わかります。そこのフレーズ私も聞くたびに2人の再会から苦難を乗り越えていくシーン全てが蘇ってきます。

『恋愛ルビの正しいふりかた』のberry meetの“疲れちゃった”も好きでした。最初の歌い出しの〈好きじゃないわけじゃない 多分そうだけど/好き?って聞かれると 少し困る くらい〉という歌詞の意味が、物語を見ていくにつれてわかっていくんです。最初は〈少し困らせてやろう〉と思っているヒロ(岩橋玄樹)が、どんどん夏生(相馬理)への気持ちを育てていく――そんな姿がこの曲で描かれていると思います」

berry meet 『白昼夢、結んだ言葉は花束に』 ユニバーサルシグマ(2025)

鹿糠「力が入ってない感じの歌唱と、〈疲れちゃったの〉っていう歌詞を吐息混じりに歌ってるところが個人的にはツボでした。劇中では微妙な柄のTシャツをヒロに着せようとする夏生が好きでしたね。こうしてみると、物語と歌詞の内容がリンクするような楽曲が多くて、そういう楽曲はドラマを観る人の印象に残りやすいのかもしれませんね」

※後編は2026年1月23日(金)に公開予定です