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個人的・社会的な歌詞から〈ゴリラ祭-ズの歌詞〉へ

――では、ここからはいよいよ新作『The Drifter』へ。

古賀「歌詞のことをしゃべっても大丈夫ですか? 個人的にはいちばん苦労したところでした。

去年の3月に須藤さんにアルバムのデモ音源を送った後、4月に京都でお会いしたんです。会うまでは、恥ずかしながらめちゃくちゃ自信があった。〈とんでもないものを作ってしまった〉とまで思ってたんです(笑)。ところが、須藤さんから言われたのは歌詞についてのダメ出しだったんです」

――具体的にはどういう指摘が?

古賀「ざっくり要約すると〈アレンジや曲は3人でよく練ってあると思う。だけど、歌詞は古賀くんが独断で突っ走っちゃっていて、曲を俯瞰して見られてない〉と。……2ヶ月くらい落ち込みましたね(笑)」

――落ち込んだんだ!

古賀「はい。それで平野くんと舩越くんにもあらためて歌詞を見てもらいました。そしたら舩越くんからもドキッとすることを言われて」

舩越「セカンドアルバムでも歌ものの歌詞は古賀くんに任せてたんですけど、ちょっと(メッセージが)強いというか、〈ちょっと古賀色すぎない?〉と思ってました。でも、それを直接言うでもなく、結構泳がせていたというか(笑)」

古賀「そうなんか。やっぱ、言いづらいもんな」

平野「僕らも〈そういうものなんやろうな〉と理解しようとしてた、みたいな」

舩越「あんまり歌詞に慣れてないっていうのもあるし」

――でも、アルバム全曲分の歌詞を作るとなると、これまで考えてきたことや自分らしさを全部投入しないといけなくなる。それが面白くもなるけど、矛盾や言い過ぎみたいな場面も生まれますよね。

古賀「でも正直、自分の欠点に思い当たるまでは時間がかかりましたね(笑)」

須藤「最初、古賀くんは割と反発したよね。もちろん僕も古賀くんがやりたい表現も理解はできる。だけど、ゴリラ祭ーズの音楽っていいメロディがあるし、ポピュラリティがあるものだと思うから、古賀くんのパーソナルな部分が色濃すぎる表現によって伝わりにくくなるものがあるんじゃないか、受け手が言葉や音楽を受け取るときの余白みたいな部分をなくしてしまっているんじゃないか、という話をしましたね」

古賀「そうでしたね。でも、音楽性とのマッチングの話はめっちゃ納得してました。その時点では、もっと直接的な歌詞だったんですよ。僕自身、〈こうあるべきだ〉と思いこんでたくらい。だから須藤さんの意見に反発もしたんです。

でも、須藤さんに言われてからいろいろ他のバンドを聴いてみたんです。特に、超右腕(スーパーウワン)を聴いたとき、めちゃくちゃまっすぐな歌詞がまっすぐなロックに乗ってるからよく伝わるんだとわかった。須藤さんが言ってたことがようやく自分にスッと入ってきたんです。あれ、6月くらいだったよな?」

舩越&平野「(うなずく)」

――その気づきによって、歌詞の方向性や世界観が変わった曲って、どれですか?

古賀「“The Drifter”は、まさにそれです。めちゃくちゃ変わりました」

平野「最初は強い言葉が多かった」

古賀「いちばん気に入ってた部分を〈変えたほうがいいよ〉って言われたんです」

舩越「〈あれもこれも詰め込んでて、とっ散らかってる〉みたいな意見じゃなかった?」

古賀「そう言われてからは、やるライブごとに歌詞を変えるくらい、あの曲は変わりました。前から“The Drifter”を知ってる人からは〈あそこ変えたんや〉とか〈前のほうがよかった〉とか言われたり。自分でも本当によくわかんなくなっちゃってた(笑)」

――でも、その過程を経ての、今やアルバムのリード曲じゃないですか。

古賀「やっぱり自分にとっても大事な曲だったから、最終的には自分がいちばん納得できる形にするしかないかなと頑張りました。そうやって今の歌詞になったんです。

もう1曲、“街はおだやか”も結構変わりました。あれはいまだに〈これでよかったんかな?〉と思うっちゃ思う(笑)。歌詞って難しいなと思いました」

平野「バンドを始めたての頃は、古賀の歌詞にポピュラリティがあったんやと思う。2023、2024年に古賀がソロで歌い始めた時期から、古賀個人が強く出た曲を聴くことが増えてきた」

古賀「(自分の曲は)個人的やし、結構社会的やった」

平野「でも、そのソロ曲をゴリラ祭ーズの次のアルバムにしよう、って僕らで決めた過程があった。これをバンドで歌うことの意義を考えたし、そこについては僕は〈ありやな〉と思ってました」

舩越「俺は、あんまりノれてなくて。もう少し調整したほうがいいかもと思ってた」

古賀「だから〈社会的なことを歌いたい〉と思いつつ、舩越くんの顔色をうかがいながらやってました(笑)」

――でも、そういう関係性も含みながら動くのがバンドらしさでもある。

古賀「それこそ“The Drifter”こそ、もともとソロ用に作ってた曲で、ゴリラ祭ーズでやるかどうかも迷ってたんです。バンドでやったとき、舩越くんにある1行を〈ここ、ちょっと変えたいかも〉と言われた。でも、自分なりに考えて変えたら、すごくいい歌詞になった。なので、みんなで作った歌詞と言えるかな」

平野「元は〈偉そうな口を聞くな〉って歌詞だった」

古賀「そうなんです。それが〈いつまでもそばにいるよ〉に変わったんです。今とまったく逆のことを歌ってた(笑)」

――めちゃ変わりましたね! でも面白いですね。実は、全曲歌ものになったことで、古賀くんのリーダーシップが前面に出ていって、一歩引くわけじゃないけど役割的には変わっていくのかなと感じてたんですが、想像していたより3人のバンドとしての曲への関与がある。曲というか、古賀くんに関与している。

古賀「でも、須藤さんのおかげやな、それは(2人に向けて)。あのときちゃんと指摘されてなかったら、いまだに過激な言葉を使ってたかもしれん。すんでのところで引き止まれました」