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〈Son of R&B〉と並走するR&Bのフィーリング

 〈Son of R&B〉という表題からまず思い出すのは、もちろんトニー・トニー・トニーの『Sons Of Soul』(93年)だろう。同作は久保田とも仕事したドウェイン・ウィギンスとラファエル・サディーク兄弟らによるトリオが、〈R&Bの時代〉に生音に回帰してあえて〈ソウル〉を標榜した逸品でもあった。で、そのソウルとR&Bがどう違うのかというと、一面的に言えば、それは単に時代に応じた呼称の変化に過ぎない。もともとビルボード誌が49年に〈リズム&ブルース〉と名付けたチャート上のジャンルが、60年代に〈ソウル〉に改称され、82年に〈ブラック〉になり、90年から改めて〈R&B〉に変わっただけのことではある(アレンジ区分の名称ではないので、別にJBとフランク・オーシャンが同じ流れで大きく括られるのも不思議ではない)。それこそが〈変わりゆく変わらないもの〉と形容される所以でもあるが、同時にその呼称は時代ごとの音と密接に結び付いてもいるわけで、だいたい90年代以降のヴォーカルの作法やサウンド様式を備えたものがR&Bと形容されることが多い。今回の〈Son of R&B〉が91年以降の楽曲で占められているのも、その感覚を久保田が共有していることの証左だろうか。

 とかいう御託はさておき、50年ものソウル/R&Bの流れやスタイル変遷をリアルタイムで体験してきた人だけに、久保田の楽曲と並べて聴けるR&Bも多種多様。例えば最新シングルの“1,2, Play”を聴いてアッシャーを思い出すのかサマー・ウォーカーを連想するのか、あるいは“Left & Right”にザップを感じるのかジェレマイを嗅ぎ取るのかといった感じで、先鋭化と回帰を繰り返す各時代のマナーを軽やかに出し入れしている印象だ。そうやってトレンドに振り回されない姿勢でスタイリッシュに歌い続けることができるのは、R&Bを愛して楽しんでいる彼がその流れの内側にいるヴォーカリスト/クリエイターだからだろう。 *轟ひろみ

『THE BADDEST ~Son of R&B~』と共に楽しみたい作品を一部紹介。
左から、トニー・トニー・トニーの93年作『Sons Of Soul』(Mercury)、ウィスパーズの編集盤『The Definitive Collection 1972-1987』(Robinsongs)、SWVの97年作『Release Some Tension』(RCA)、アッシャーの97年作『My Way』(LaFace/Arista)、サマー・ウォーカーの2019年作『Over It』(Interscope)、ミュージック・ソウルチャイルドの2000年作『Aijuswanaseing』(Def Soul)、ブライソン・ティラーの2020年作『Anniversary』(RCA)、ジャクイースの2022年作『Sincerely For You』(Republic)、ココ・ジョーンズの2025年作『Why Not More?』(High Standardz/Def Jam)、デスティン・コンラッドの2025年作『Love On Digital』(Above Ground/Empire)、ブレント・ファイヤズの2026年作『Icon』(ISO Supremacy)