フリーが参加してくれるなんて本当に気前が良い
――5曲目の“One Thing At A Time”にはレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーが、8曲目の“Same”にはフローティング・ポインツのサム・シェパードが参加してますが、まったく告知されていなかったので驚きました。フリーはあなたと同じオーストラリアのメルボルン出身で、ウォーペイントとも親しかったと思いますが、この2人はどういった経緯で参加することになったのでしょう?
「彼は確かメルボルン生まれで、ステラとは昔からの知り合いなんだよね。2人は一緒に曲作りもしているから、彼とは数回会ったことがあって。去年の始め、カーネギー・ホールで開催されたパティ・スミスのトリビュートライブに参加するためにニューヨークに行ったんだよね。そうしたらフリーがハウス・バンドの一員だった。一緒に1曲やって、それがすごく楽しくて、最高の夜になったんだ。
数週間後、スタジオでこの曲のレコーディングをしていたときにベースが必要になって、〈この曲のベースをやってくれない?〉って頼んでみたのが彼の参加の経緯。彼は素晴らしいし、すごく優しい。ご存じの通りミュージシャンとしても素晴らしいし、あの曲に参加してくれるなんて、本当に気前が良いよね。曲はすぐにまとまった。フリーとステラとライブ演奏して……数時間演奏したら、すぐに出来たんだ。頭の中で描いていた通りのサウンドになってた。
“Same”のデモを作っていたときは、ちょうどサムがジョシュア・ツリーに遊びに来てくれてたんだ。彼にも曲を聴いてもらっていて、キーボードの前に座って演奏してくれたのがメチャクチャ良かったから、レコーディング時に〈あのときのあの演奏を再現して〉って頼んだんだよね。言うまでもなく、彼もまた素晴らしいアーティスト。確か彼がハリウッド・ボウルで(ファラオ・サンダースとの共演アルバム)『Promises』のプレミア公演をした頃(2023年)だったかもしれない。こんなにも素晴らしいアーティストと仕事ができて、本当に恵まれてる」
――その“Same”の歌詞に出てくる〈flea〉というフレーズは、もしかしてフリーへの言及なのでしょうか? 言われてみたら“One Thing At A Time”もレッド・ホット・チリ・ペッパーズっぽく聴こえてきましたが、実際のレコーディングはいかがでしたか?
「歌詞に〈flea〉が出てきたのは、ちょっと不思議なめぐり合わせ。歌詞自体は1年前に書いたもので。映画『グリース』のセリフ(〈男なんてネズミにたかるノミ、いやそれ以下。ノミにたかるアメーバよ〉)からインスピレーションを受けたんだ。
“One Thing At A Time”はデモ制作中にギターパートを書いていたときに、頭の中でジョン・フルシアンテ的なサウンドを思い描いていて。次にベースラインに取りかかったときは、フリーだったらどんな演奏をするだろう?って考えていたんだけど、そのときはまさか本人がこの曲の演奏に関わってくれるなんて夢にも思っていなかった。でも、その1年後にパティ・スミスのトリビュートで一緒に演奏することになって。だから、そういう意図はなかったんだけど、運命的なものがあったんだよね。自分でも驚いたんだけど」
――あなたとステラの2人だけで録音された“Sugar Plum”の、〈I’m over my head yeah〉という歌い回しはカート・ヴァイルを連想しましたが、この曲のタイトルの由来は何だったのでしょう?
「あの曲は最後の最後に出来たんだ。別の曲の仕上げを後回しにしていたときに、ホームスタジオでドラムマシンを使ってデモを作っていて。ほぼその場で出来上がった曲。偶然に出来ちゃったみたいな曲なんだよね、良い意味で。だから、新たに何かにインスパイアされたというよりは、そのとき考えていたことが曲になったって感じ。
曲のタイトルは、私の犬のニックネーム。(スマホのカメラを隣の愛犬に向けながら)今ここに座っているんだけどね(笑)。ただの愛称だよ。曲とは何の関係もないんだけど」
――“Stay In Your Lane”や“Great Advice”ではありがた迷惑なおせっかいについて歌っていますが、これまでにもらった迷惑なアドバイスがあれば教えてください。
「う~ん、そんなことはたくさんあるはずなのに、今は何も思いつかないな。例えば、自分とは全く違う意見は聞くのが不快なこともあるけど、実は核心をついていることを言われたときは、より傷つくこともある。あの曲は、そういうことについても触れてるのかも。建設的な批判にどうやったらうまく対処できるか、あるいはそれを受け止められるのかとか」