(P)&(C)BIGHIT MUSIC / Netflix

BTSがニューアルバム『BTS The 5th Album ‘ARIRANG’』(以下『ARIRANG』)をリリースした翌日、〈BTS THE COMEBACK LIVE|ARIRANG〉と題した復帰ライブを開催した。Netflixを通じて全世界に向けて配信された同ライブでソロ活動を経た7人はBTSの名のもと、どんなステージを披露したのか。誰もが待ち焦がれていたBTSの帰還の模様を綴ったライブ評をお届けする。


 

〈成熟〉したBTS

カムバックライブの直前にBTSから届けられた『ARIRANG』を聴いて、〈成熟〉という言葉がまず脳裏に浮かんだ。彼らの作品に触れる際、これまでなら個々のメンバーよりもBTSというグループそのものを想起したが、『ARIRANG』は違った。アルバム全体を通してRM、Jin、SUGA、j-hope、Jimin、V、Jung Kookの顔がはっきりと浮かび上がり、それぞれがソロ活動で得た経験値をBTSという巨大な器に注ぎ込んだ作品、それこそが『ARIRANG』なのだと感じた。

メンバー7人の強烈な個性、そして韓国人としてのアイデンティティが全面に打ち出されたアルバムを携えて、BTSは帰還した。大勢の人で埋め尽くされた韓国・ソウルの光化門広場の様子は、グループとして活動できなかった期間を挟んでもなお、彼らが世界的人気を維持していることを物語っていた。正直、現地に何万人いたかどうかはどうでもいい。重要なのは、BTSの7人とARMY(BTSファンの総称)が同じ空間にいたという事実だ。

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韓国の歴史と文化を象徴する光化門を背に横並びで登場したBTSの7人。「ソウル、ただいま」とRMが一言発した後に鳴り響くブレイクビーツ、ワンリパブリックのライアン・テダーやディプロらが制作に関与した“Body to Body”からBTSの新章が開幕した。黒を基調とした7人の出で立ちはクールかつ華やか(この日の衣装は韓国のブランドSONGZIOが手がけ、各メンバーのキャラクターなどを参考に特注でデザインされたそう)。曲終盤では光化門の前でアルバムタイトルともなった韓国の民謡“アリラン”が披露され、『ARIRANG』のコンセプトを目に見える形で表現した。

BTSは、そのままアルバムと同じ流れで“Hooligan”をドロップ。1962年の映画「冬の猿」(原題「Un Singe En Hiver」)のサントラよりミシェル・マーニュが手がけた“Yang Tse Kiang”をサンプリングしたダンスナンバーは、7人の歌声がとにかく映える。j-hopeのしゃがれたラップがリードしつつ、Jin、Jimin、V、Jung Kookのハイトーンが甘いムードを醸し出す。RMの深い低音はアクセントとなり、SUGAはj-hopeとは違う攻撃性を纏ったラップでステージを支配する。改めて、7人の絶妙なバランスによってBTSが成り立っているのだと感じた瞬間だ。

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地を這うような重厚なベースラインと細かく刻まれたハイハットからすぐさまマイク・ウィル・メイド・イット印のトラックだとわかる“2.0”も、その曲名通り、BTSの新基軸と言えるヒップホップチューン。個人的にもアルバムで好きな曲の一つだが、パフォーマンスでは身体全体を使っての細かい音ハメが特徴的で、メリハリのあるカジュアルなダンスが新鮮だった。

 

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BTSはいま大きなターニングポイントを迎えている

この日『ARIRANG』の収録曲から披露されたのは8曲。“2.0”と同じくマイク・ウィル・メイド・イットと作り上げた“Aliens”、ジェイペグマフィアが制作に参加したアップチューン“FYA”、メンバーが抱えていたであろう迷いや葛藤を素直に吐き出したアルバムのリード曲“SWIM”など、いずれも止まっていた時計を今の時間に合わせるような、2026年現在の音楽シーンに必要な強度が備わっている楽曲がチョイスされていたように思う。今回ライブで披露されなかった曲は4月からスタートするワールドツアーまでお預け、といった感じだろうか。

今回のカムバックライブで特に印象に残ったのは、『ARIRANG』以外の曲、すなわち活動休止前の楽曲が披露された時だった。“Butter”“MIC Drop”“Dynamite”とまさにBTSの名を世界へ轟かせたヒットナンバーが披露されたわけだが、それらのパフォーマンスを見たときにも冒頭で述べた〈成熟〉という言葉が浮かんだ。

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兵役という避けては通れない事情に加え、新型コロナウイルスの影響による世界的パンデミックによって立ち止まることを余儀なくされたBTSのメンバーは、我々と同様に歳を重ねた。メンバーのほとんどが30代となった現実も含め、この先グループとしてどんなメッセージを発信していくべきなのか。“Butter”“Dynamite”といった彼らの栄光を象徴する楽曲のパフォーマンスを見た際、いまBTSは大きなターニングポイントを迎えているのだと確信した。

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ただ、最後に披露された“Mikrokosmos”からは希望を感じた。BTSがARMYによって支えられていることを街の明かりや星の輝きに例えて表現したミディアムナンバーだが、そこには経年変化などでは劣化することのない、BTSの変わらぬ思いが込められているように思えたのだ。

ライブ中盤でj-hopeが「BTS 2.0は始まったばかり」と話していたが、まさにその通りである。賛否を恐れず、生まれ変わったBTSを表現した『ARIRANG』と共に帰還した7人の新たな航海は、まだ始まったばかりだ。

 


SETLIST
1. Body to Body
2. Hooligan
3. 2.0
4. Butter
5. MIC Drop
6. Aliens
7. FYA
8. SWIM
9. Like Animals
10. NORMAL
11. Dynamite
12. Mikrokosmos

 

RELEASE INFORMATION

BTS 『ARIRANG』 BIGHIT MUSIC(2026)

リリース日:2026年3月20日(金)
​配信リンク:https://bts.lnk.to/ARIRANG

TRACKLIST
1. Body to Body
2. Hooligan
3. Aliens
4. FYA
5. 2.0
6. No. 29
7. SWIM
8. Merry Go Round
9. NORMAL
10. Like Animals
11. they don’t know ’bout us
12. One More Night
13. Please
14. Into the Sun

■関連リンク
BTS 公式サイト:https://bts-official.jp/
BTS ユニバーサル ミュージック公式サイト:http://www.universal-music.co.jp/bts/