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互いをリスペクトしながら暴れるアンサンブル

――『ORBIT』は、鬼怒さんのオリジナルナンバーで占められています。数多い自作の中から、この7曲を選んだ理由は何でしょうか。

鬼怒「暴れやすい曲、ということですね」

――冒頭の“Selva Oculta”は鬼怒さんが参加なさっているユニット〈空に油〉でも演奏されていましたが、そこでは12弦のアコースティックギターを生かした、8分の6拍子のリズムだったと思います。今回はロック的な要素が爆発した、とてもソリッドなアレンジになっていますね。

鬼怒「僕はアレンジを細かく決めるよりも、〈(シチュエーションごとに)好きにやってください〉というタイプです。空に油のときは、(打楽器奏者の)ヤヒロトモヒロがそういうリズムにしたがるんですよ。

今回のトリオで割とイメージしているのは、ジェフ・ベックの『Jeff Beck’s Guitar Shop』と、トミー・ボーリンがバンドに入っていたビリー・コブハムの初期のアルバムのようなハードなインストゥルメンタル。そういう意味で『ORBIT』は、〈これが俺らだ!〉という、すごくいいものができた。エネルギッシュで攻撃的なアンサンブルの演奏というか、3人がちゃんとお互いをリスペクトしながら攻めている、というか……」

――そこからラストの“I Was a Teenage Werewolf”まで一気に聴かせてくれます。“I Was a Teenage Werewolf”は鬼怒さんが参加なさっている別のユニットEraでも演奏されていた曲ですが、これがまたシンプルで、すごく乗れる曲ですね。

鬼怒「僕、ローリング・ストーンズがすごく好きなんですよ。“Gimme Shelter”とか“Brown Sugar”のような、僕が聴いたときに感じる〈かっこいい!〉を自分の音楽でも感じてもらえたらいいなと思って、すごく昔に書いた曲です。形は違うけれど、ロックンロール精神の発露、みたいな感じですね。

若い頃の僕は、メンバーにいろいろと指示していました。そうしないとリーダーとしてダメなんじゃないかと思ったこともあるし、指示していると偉くなったようで楽しいじゃないですか(笑)。ただ、今回のトリオは、メンバーを選んだ時点で、僕が思った以上の音楽になったし、アルバム化に際しても、ライブ録音した演奏をつなぎも削りもせずに生のまま作品にした。2日間ライブを行なった中からのチョイスなので、曲順は違いますが」

 

フュージョンとメタルを聴いて育ったベーシスト

――鬼怒さんの略歴は『フォーヴィスム』のリリース時にうかがいましたので、岡田さんと樋口さんのプロフィールについて教えていただけますでしょうか。

岡田「僕はフュージョンとヘヴィメタルがブームだった世代なので、若い頃はその両方を聴いていましたね。フュージョンだったら青山純さんがいらした頃の第2期のプリズムとか、カシオペアとか。メタルならマイケル・シェンカー・グループ、ラウドネス、アイアン・メイデン等ですね。ジャコ・パストリアスを初めて聴いたのは高校生の頃、“The Chicken”が入ったオーレックス・ジャズ・フェスティバルのライブ盤(『Twins I (Aurex Jazz Festival ’82))でした。

その後、ヤマハ音楽院に行って、卒業してから徐々にアイドルのバックバンドで演奏するようになりました。ジャズやフュージョンの世界に入ったきっかけは、ギタリストの竹中俊二さんにソロを習いに行ったときに、パワー・ウェイヴというバンドに入れてもらったことです。そのあたりから、六本木のピットイン等に出るようになりました』

鬼怒「あのベース、治郎ちゃんだったんだ!」

岡田「そうそう。僕は平石カツミさんの後任で」

鬼怒「凄い人がいるなあ、アホみたいにうまいなあと思ってた(笑)」

――プリズムに入られたきっかけは何だったんですか?

岡田「六本木ピットインでいろいろとセッションをしていたときに、和田アキラさんや木村万作さんと知り合いになって。和田さんもそこのセッションバンドの一員で、同じようなメンバーで毎月ライブをやっていて、僕もそこで結構長く演奏しました」