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――そして西寺郷太さん作の“愛のタワー・オブ・ラヴ”から外部作曲家路線になっていって。あれを生で聴いてまず一番驚いたのが、音の密度とか深みが全然違うことで。

Nao☆「ああ、音の厚みが違うし、ライヴ会場でもドン、ドン、ドンってくるものとかが違うんだなって思いました。ただ、connieさんの曲じゃない曲を歌うっていうことがすごくこわかったり不安だったりしたし、郷太さんから曲が来たときはいままでにない曲だったからビックリして大丈夫なのかなって思ったんですけど。郷太さんがNegiccoをアイドルっていうところから、いろんな人が幅広く聴いてくれるような感じになるように気持ちを込めて作ってくださったって聞いて、実際に出したら〈郷太さんのファンです〉っていう方もイベント会場に来てくれるようになったり。それで不安がなくなったというか……」

――たしかに、あのあたりから受け取られ方が変わってきた部分はありますよね。アーティスト枠にも出入りできるようになった感じというか。

Nao☆「はい」

――それが小西康陽さん作の“アイドルばかり聴かないで”につながっていって。

Nao☆「はい。〈アイばか〉も緊張しました。郷太さんの曲のときは、郷太さんがすぐそばにいて歌い方の指導をしてくれたりしたからレコーディングも結構落ち着いてできたんですけど、小西さんのときはスタジオもすごいし、変なプレッシャーで緊張して、みんなカチーンとなってたんで、その空気にやられて。もうちょっとちゃんと歌いたかったなっていう感じだったんですけど」

――それで「歌い直させてほしい」って直訴したんだけど、「これがいいんだ」って小西さんに言われたわけですね。

Nao☆「はい。小西さんがそう言うなら仕方がないので、妥協するしかないなと思って(笑)」

――意外とレコーディングでそうやって闘うタイプですよね。

Nao☆「納得いかなかったりすると、やっぱりちゃんと納得いくまで録りたいなっていう気持ちになっちゃいます」

――だから、西寺プロデュース第2弾“ときめきのヘッドライナー”のときも、歌い出しが自分だったはずなのにレコーディングのときは違ってた問題で、また直訴して。

Nao☆「郷太さんが、〈♪Don’t touch me〉ってひとりずつ出てきてっていうことを言ってたのに、自分だけ出てこないじゃんって思ったら悲しくなってきちゃって。しかも〈リーダーだからNao☆が一番最初に歌って〉って言われることが多くて、だから〈アイばか〉のときも自分が一番最初だったし。新潟で録ってれば、慣れてるし順番なんかどこでも大丈夫なんですけど、あとのほうが落ち着くんですよ。〈つかむのにNao☆ちゃん最初に歌って〉って言われると、すごい緊迫した空気のなかに自分からいくのでプレッシャーも大きいんですけど。難しいところを任せてくれるんだなってことで、それができなかったのがショックだったっていうか。自分が歌いたかったっていうよりも、郷太さんの期待を裏切ってしまったのかなっていう気持ちがあって 、もう一回ちゃんと歌いたかったっていうか」

――それで「私にやらせて下さい!」と直訴して、そうやってアピールしたせいで干されるんじゃないかと本気で悩んだ、と(笑)。

Nao☆「フフフフ、大物プロデューサーを怒らせてしまって私はもうこの業界から消えるんだと思いました(笑)。それでも言わなきゃ気が済まないので。〈ヌキ天(勝ち抜き! アイドル天国!! ヌキ天 )〉のときもそうなんですけど、〈彼女たちをどうプロデュースしていいかわからない〉って審査員の人に言われたとき、〈私たちは誰にもプロデュースされてないです〉って言わずに、そのまま帰ったら一生後悔すると思って」

――下手したらそのまま解散ですからね。

Nao☆「はい。だから変にそういうところで動くというか」

――〈アイばか〉に関しては小西さんの気持ちもわかるんですよ。アイドルの歌は危うい部分を活かしたほうがいいっていう。

Nao☆「小西さんのときはちょっと折れちゃいました。小西さんの曲だから、いろんな人が聴くわけで。そう思ったら、自分はこれよりもっといい感じに歌えるのにって思うと悔しくなっちゃって」

――でも、案の定かなりの広がり方をしましたよね。

Nao☆「はい。あの曲でNegiccoを知ったっていう人もいれば、あの曲でファンになったって言ってくださる方もいらっしゃるので」

――最初、「どんなに握手をしたって、あの子とはデートとか出来ないのよ、ざんねーん!」という小西さんの歌詞を見て衝撃は受けたけど(笑)。

Nao☆「あれはビックリしたし、〈これ歌っていいの?〉って思いました。〈怖いよー!!〉って。だけどやっぱり、Negiccoだから歌えるんだっていうことがわかったり、それこそAKB48さんのファンの人に〈余計なお世話だ〉って書かれたりしたけれど、誰かが〈Negiccoちゃんたちのこと知ってれば絶対そんなこと思わないよ〉って書いてくれたっていうのを聞いて、Negiccoってそういうふうに見てもらえてるんだなって思えたっていうか。それはアプガさんと対バンしたり、BiSさんと対バンしたときに、向こうのファンの人が温かく迎えてくれて実感した部分もあったりして。相手のファンの人が温かく見守ってくれるというか」