額装後のサイン *BEYONCE JPN

ビヨンセのサイン会……? 2024年3月29日、日本のビヨンセファン、R&Bファン、音楽ファンはその現実感のない言葉に釘付けとなった。ビヨンセが新作アルバム『COWBOY CARTER』のリリース日、突如来日してタワーレコード渋谷店にてサイン会を行ったのだ。

サイン会ではビヨンセの真摯な対応も話題となったが、参加したファンがSNSで発信する姿にも注目が集まった。中でもX(旧Twitter)で大きなバズを巻き起こしたのが、仕事の予定を変更してサイン会に駆け付けたBEYONCE JPNさんだ。その当日の一連の投稿には、熱心なファンの興奮が詰まっていた。そこで今回はその喜びを分かち合うべく、BEYONCE JPNさんに取材を依頼。サイン会の様子やビヨンセの魅力を聞いた。

写真提供・キャプション:BEYONCE JPN


 

〈やったるで!〉なディーバマインドに共感

――ビヨンセを好きになったきっかけはどういうものでしたか?

「ビヨンセをちゃんと認識したのは、レディー・ガガのフィーチャリングで参加されていた“Telephone”でした。渡辺直美さんがされているモノマネとかで小さい頃から知ってはいたんですが、デスティニーズ・チャイルドやビヨンセとして独立して活動され始めた頃、私はまだ邦楽ロックとかにハマっておりまして。本場のR&Bやヒップホップには触れていなかったんですね。

高校生の時にレディー・ガガにハマって、“Telephone”のMVを観て〈このコラボしている人は誰だろう。めちゃくちゃいい人がいるな〉と思いました。でも、その時はレディー・ガガを追いかけていたので、一旦目を離しちゃったんですね。

その後、2011年にトルコに用事があって行ったことがあって。ちょうど“Run The World (Girls)”を出された年ですね。トルコのケバブ屋さんに行ったら、壁一面にテレビスクリーンがあるお店で、“Run The World (Girls)”のMVに囲まれたんですよ。そこで完全に天啓が降りて(笑)。

そこからレディー・ガガと並走させながら、ビヨンセの全てのCDを買い、全てのライブ動画を観ました」

――全てのライブ動画を……?

「探せる限りのものは観た気がしますね。大学の単位などと引き換えにしながら(笑)。留年しかけながら、大学の図書館に籠ってビヨンセの情報を漁りました。

そんなにハマったアーティストって、洋楽・邦楽共にいなかったんですよ。自分が洋ヒップホップを好きなんだなっていうのは、なんとなく高校時代の終盤くらいから自覚はしていたんですけど。“Run The World (Girls)”で〈ウワァーッ!〉ってなったのが始まりでしたね。

そうやって沼っていくうちに、YouTubeとWebだけでは情報が取れなくなってきて、SNSをやらねばと思ってビヨンセ用のTwitterアカウントを作りました。アカウント名はビヨンセっていうワードと日本を繋ぐ言葉で、まだ空いていたところを取ったってだけなんです(笑)。それで古株ファンの先輩方の情報を見ながら、だんだん追いついてきて今に至ります」

――“Run The World (Girls)”のどういう部分に惹かれたのでしょうか?

「ビヨンセの芯にあるフェミニズムであったり、女性の自立を応援するようなマインド、主張の部分ですね。その彼女の思いがかなり響いたのかなと思います。

私は大阪出身なんですけど、小さい頃に親が離婚していて母子家庭で育ったんです。〈自分の食い扶持は自分で稼がなあかんで。金なかったら離婚もできへんで〉って言われて、〈わかった。ママ!〉って言いながら生きてきて(笑)。中学・高校生の頃から、〈将来は自立していっぱいお金を稼いで、自分のやりたいことは全部自分のお金でできるように頑張るんだ〉という思いで生きてきたんですよ。そういう成り上がり精神があったので、もちろん恋愛ソングだけのアーティストでもいいんですけど、どちらかといえば〈やったるで!〉というマインドの歌詞に共感したのが大きかったと思います」

――ビヨンセはまさにそこにぴったりハマるアーティストですね。

「そうですよね。すごい貧乏で、〈どうやって大企業に入ろう? どうやってメイクマネーしよう?〉って思いながら生きていたところに、ビヨンセが〈私を見ろ!〉みたいな感じで現れたんです。富・名声・格好良さを全て持っていて、しかも謙虚で、歌も上手くてダンスもできて。〈これがディーバか〉と思って、洗脳が完了したって感じですね(笑)」