額装後のサイン *BEYONCE JPN

ビヨンセのサイン会……? 2024年3月29日、日本のビヨンセファン、R&Bファン、音楽ファンはその現実感のない言葉に釘付けとなった。ビヨンセが新作アルバム『COWBOY CARTER』のリリース日、突如来日してタワーレコード渋谷店にてサイン会を行ったのだ。

サイン会ではビヨンセの真摯な対応も話題となったが、参加したファンがSNSで発信する姿にも注目が集まった。中でもX(旧Twitter)で大きなバズを巻き起こしたのが、仕事の予定を変更してサイン会に駆け付けたBEYONCE JPNさんだ。その当日の一連の投稿には、熱心なファンの興奮が詰まっていた。そこで今回はその喜びを分かち合うべく、BEYONCE JPNさんに取材を依頼。サイン会の様子やビヨンセの魅力を聞いた。

写真提供・キャプション:BEYONCE JPN


 

〈やったるで!〉なディーバマインドに共感

――ビヨンセを好きになったきっかけはどういうものでしたか?

「ビヨンセをちゃんと認識したのは、レディー・ガガのフィーチャリングで参加されていた“Telephone”でした。渡辺直美さんがされているモノマネとかで小さい頃から知ってはいたんですが、デスティニーズ・チャイルドやビヨンセとして独立して活動され始めた頃、私はまだ邦楽ロックとかにハマっておりまして。本場のR&Bやヒップホップには触れていなかったんですね。

高校生の時にレディー・ガガにハマって、“Telephone”のMVを観て〈このコラボしている人は誰だろう。めちゃくちゃいい人がいるな〉と思いました。でも、その時はレディー・ガガを追いかけていたので、一旦目を離しちゃったんですね。

その後、2011年にトルコに用事があって行ったことがあって。ちょうど“Run The World (Girls)”を出された年ですね。トルコのケバブ屋さんに行ったら、壁一面にテレビスクリーンがあるお店で、“Run The World (Girls)”のMVに囲まれたんですよ。そこで完全に天啓が降りて(笑)。

そこからレディー・ガガと並走させながら、ビヨンセの全てのCDを買い、全てのライブ動画を観ました」

――全てのライブ動画を……?

「探せる限りのものは観た気がしますね。大学の単位などと引き換えにしながら(笑)。留年しかけながら、大学の図書館に籠ってビヨンセの情報を漁りました。

そんなにハマったアーティストって、洋楽・邦楽共にいなかったんですよ。自分が洋ヒップホップを好きなんだなっていうのは、なんとなく高校時代の終盤くらいから自覚はしていたんですけど。“Run The World (Girls)”で〈ウワァーッ!〉ってなったのが始まりでしたね。

そうやって沼っていくうちに、YouTubeとWebだけでは情報が取れなくなってきて、SNSをやらねばと思ってビヨンセ用のTwitterアカウントを作りました。アカウント名はビヨンセっていうワードと日本を繋ぐ言葉で、まだ空いていたところを取ったってだけなんです(笑)。それで古株ファンの先輩方の情報を見ながら、だんだん追いついてきて今に至ります」

――“Run The World (Girls)”のどういう部分に惹かれたのでしょうか?

「ビヨンセの芯にあるフェミニズムであったり、女性の自立を応援するようなマインド、主張の部分ですね。その彼女の思いがかなり響いたのかなと思います。

私は大阪出身なんですけど、小さい頃に親が離婚していて母子家庭で育ったんです。〈自分の食い扶持は自分で稼がなあかんで。金なかったら離婚もできへんで〉って言われて、〈わかった。ママ!〉って言いながら生きてきて(笑)。中学・高校生の頃から、〈将来は自立していっぱいお金を稼いで、自分のやりたいことは全部自分のお金でできるように頑張るんだ〉という思いで生きてきたんですよ。そういう成り上がり精神があったので、もちろん恋愛ソングだけのアーティストでもいいんですけど、どちらかといえば〈やったるで!〉というマインドの歌詞に共感したのが大きかったと思います」

――ビヨンセはまさにそこにぴったりハマるアーティストですね。

「そうですよね。すごい貧乏で、〈どうやって大企業に入ろう? どうやってメイクマネーしよう?〉って思いながら生きていたところに、ビヨンセが〈私を見ろ!〉みたいな感じで現れたんです。富・名声・格好良さを全て持っていて、しかも謙虚で、歌も上手くてダンスもできて。〈これがディーバか〉と思って、洗脳が完了したって感じですね(笑)」

 

ビヨンセ基準のキャリアプラン

――日常生活において、ビヨンセから何か影響を受けたエピソードはありますか?

「二方向の話をしてもいいですか? まず一つは、〈どうやって生きるか?〉っていう指針にしています。彼女の驕り高ぶらない謙虚さを、常に心の中に留め置いていて。今回実際にお会いしても思いましたけど、彼女はあれだけビッグで長者番付にも載るような人なのに、すごい謙虚なんですよ。私もどこまで出世したとしても、ビヨンセを見習って謙虚で腰を低くして生きようと常々思っています。

それとアメリカのセレブあるあるですけど、彼女って慈善団体の活動とかもされているじゃないですか。ビヨンセのポリシーとして〈全てを取り残さない活動〉みたいなのが多分あると思うんですよね。私はただの一介のサラリーマンですけど、募金とかもなるべくしていますし、もし万が一、大金持ちになったらビヨンセみたいに奨学金の財団を作りたい。そうやって還元する姿勢や、謙虚な姿勢には大変影響を受けていますね」

――なるほど。

「あと、彼女はご姉妹にアーティストのソランジュさんがいたり、お母様もお洋服を作れる人だったりと一般家庭とはちょっと違うと思うんですけど、逆境を跳ねのけて成り上がってきたバックグラウンドの人でもあるので、そこに勇気を貰うことは多いですね。もちろんアメリカのブラックコミュニティの中にいる方なので、日本でマジョリティの日本人として生きている自分とは全然違うことはわかっているんですけど、マインドセットの部分として尊敬できるというのはあります。

もう一つがですね、これは多分ほかのファンの方とは違うことだと思うんですけど、私はこれまでのキャリアプランをビヨンセのライブがあるかないかで判断して組み立ててきたんですよ」

――どういうことですか?!

「私はこの春で社会人10年目なんですけど、4年目の時に転職をしているんです。2018年の年明けくらいから〈転職したいな〉と思って色んな会社を見ていたんですけど、どうしても腹落ちしないものが多くて、自分のマイルストーンにならなさそうだったというか。自分で締切を作れなかったので、何かきっかけを作ろうと思ったんです。

そんな時、2月にビヨンセ(とジェイ・Z)のツアー〈On The Run II Tour〉の日程が公開されて、チケットが販売されるってアナウンスが来たんです。会員用サイトの公開日の夜中にベッドの上で正座して日程を見ました。行けるとしたらお盆に行われるニューヨークのバッファロー公演かなと思って、チケットを取ったんですね。

それで、せっかくアメリカまでお金をかけてビヨンセを見に行くとなったら、身も心も綺麗にして行かないといけない。〈じゃあ、8月中旬には今の会社を退職して次が決まっている状態にしよう〉と思ったんですけど、当時勤めていた会社は3か月前くらいに退職の話をしないと怒られが発生するようなところだったんです。それで逆算して、7~8月くらいに有休消化期間をぶつけようと思ったら、4月くらいには転職先の内定をゲットしとかねばならんと。なので4月中に内定をゲットして会社に報告するのを締切にして、2~4月の間に転職活動をして上手く決まって、シャンシャンっていう大団円を迎えました」

 

ツアーは記憶を飛ばしていい回と記憶に焼き付ける回と2回行かねば

――すごすぎますね。ビヨンセのパワーって感じです。

「あはは(笑)。去年あった〈Renaissance World Tour〉も、お盆の時期のアトランタ公演に行ったんですよ。今、私が勤めている会社は案件単位で動くような業界なので、自分がビヨンセのツアーに行く日程が半年前くらいにわかっていたら、そこを目がけて携わる案件を調整できるんです。何があってもライブに行くため、全てをビヨンセに合わせてスケジュールを組みました。

それで去年の夏は忙しすぎて死にそうになっていたんですけど、身ぎれいな状態でアトランタに行って、その後は〈Renaissance World Tour〉を観た後の私として帰ってきて、フラットな状態で人生を邁進させていただいております(笑)」

RWTの写真 *BEYONCE JPN

――ビヨンセ基準で生きているんですね。ものすごいお話を聞いた気がします。ライブに行かれてどうでしたか?

「感動ですね。お金をかけて行った甲斐以上のものがありました。ライブは8万人規模のアメフトの会場とかでやっていて、スタンド席になると豆粒どころか、〈あの辺にビヨンセがいる〉って概念だけの状態になるんですよね(笑)。なので、なるべく近いところで肉眼で捉えなければと思ったんですけど、アリーナ席の方に寄って行けば行くほど値段も高い。〈On The Run II Tour〉の時は初めてだったので、肉眼で収められるけど10、20万円する席は取らなかったんです。でも、〈ビヨンセが近くで見えてありがたかった〉ってところで終わりました。

その時が初めて行ったビヨンセのライブだったんですけど、人って興奮しすぎると出来事を忘れるじゃないですか。なので、もう呆然としたまま終わってしまって(笑)。一緒に行ってくれた幼馴染からは〈あんまり泣かんかったな〉と言われたんですけど、ライブがあまりにも現実じゃないように見えてしまったんですよね。テレビ画面を見て〈ワァァーッ!〉って言っているみたいな状態でした。

その反省があって、〈Renaissance World Tour〉はどうせ大興奮してしまうので、記憶を飛ばしてもいい回と、全てを記憶に焼き付ける回とで2回行かなければならないと思ってですね(笑)。音楽の趣味が合う会社の先輩と一緒に、アトランタに2日間行きました。1日目はやっぱり興奮して何も覚えていないんですが、2日目はただただ〈ありがたい、ありがたい〉って泣きながら観ていましたね(笑)。〈本当にありがたいことです。労働の痛みも全て報われて、洗い流されるようです。キラキラですね〉みたいな心境でした。

しかもですね、〈Renaissance World Tour〉から、彼女のご長女のブルー・アイヴィーさんもご登場されたんですよ。ツアーの様子をSNSで先にずっと見ていたんですけど、実際に生で見るとすごい感動的だったんです。〈わ~、こんなに大きくなって。本当に素晴らしい。ちゃんとビヨンセとジェイ・Zの全てのいいところがマージされている〉って、よくわからない近所のおばさんみたいな気持ちで泣きながら見ていました(笑)。

映画「RENAISSANCE: A FILM BY BEYONCÉ」予告編。『RENAISSANCE』のツアーの様子を捉えたこの映画ではブルー・アイヴィーのパフォーマンスやその裏側も映される

RWTの写真 *BEYONCE JPN

そうやって泣きながら、ありがたがりながら観ていて、現地のファンの方と〈どこから来たの?〉〈日本です〉〈あら、珍しい〉みたいなやりとりもしました。現地のファンの方もアメリカのすごい遠いところや、ほかの国から来ているのがザラなので、〈あなたはどこから?〉って話はよくあるみたいですね。去年のビヨンセの現場では扇子を持って行く人が多かったんですけど、私と先輩は扇子を作る暇がなかったので、日本のオタクらしくうちわをデコったものを持って行きました。これを持って行くと現地でも目立つので、〈まぁ、かわいい〉みたいに話しかけられましたね」

 

風呂も入らずノーメイクで駆けつける

――それでは、いよいよサイン会について聞かせてください。情報を知ったのは何時頃だったんですか?

「11時20分にポストを見て、〈ヒエ!〉と声が出ました。ソニーミュージックさんが出してくださった情報を、もう三度見くらいして。私は自転車で行けば渋谷まで早くて10~15分くらいのあたりに住んでいるんですけど、あの日は大雨だったので、とりあえずダメもとでタクシーを呼びました。タクシーアプリの〈GO〉って追加料金を払えば優先配車ができるので、もちろん課金しましたね。それを使っても普段はあまり来ないんですけど、あの日はたまたまスムーズに来てくれて。

11時20分に知ってワタワタワタと上着を着て、財布と携帯を掴んで、25分くらいにタクシーが来てくれたんです。タワーレコードさんに着いたのは40分ちょうどくらいでしたね」

――ということは、見た瞬間には行くと決めた?

「見た瞬間でしたね。よく見たら〈11時から配布〉って書いてあるから、もう間に合わないかもと思いながらも、とりあえずガムシャラに行ったら少なくとも後悔はしないかなと思いました(笑)。

普段はお金をかけて現地に行って、やっと偶像崇拝ができるみたいな感じじゃないですか。それが、ご本人がリアルに来る、しかもサイン会も10何年ぶりだし、そもそもアジアにいらっしゃらない方なので。バケーションで来てくださっているだけでもありがたいのに、それが民草の前に現れるとはっていう(笑)。ちょっとでも迷っている隙があったら、ダメだった時に後で必ず後悔すると思ったんですよね。とりあえず服を着て、詳細を読むのは後でいいから、とにかく行かねばって感じでした。

私、前の日は夜中まで仕事をしていて、在宅勤務なので誰にも会わないからそのまま寝ちゃったんですよね。それでお風呂も入らずに朝起きて、顔洗って歯磨きした状態で、パンイチスポブラ一丁だったところに〈やべえ! ビヨンセだ!〉ですよ。〈Renaissance World Tour〉の頃にビヨンセがティファニーのミューズをされていたので、稼いだお金を全てティファニーに突っ込んでいた時もあってビヨンセとおそろいのピアスやネックレスも持っているんですけど、サイン会の詳細を読んでいなかったから整理券を貰ったらタワーレコードから出られないのを知らなくて(笑)。お風呂も入らず、髪の毛も洗わず、化粧もせず、ちいかわの靴下を履いてビヨンセに会いに行ったんですよね。ティファニー付けて、ツアーTシャツ着て、うちわも持って行きたかった……。後で自分の写真を見て本当に恥ずかしかったです(笑)」

 

神が降りてきた

――会場に着いた時はどんな心境でしたか?

「もうダメかもって思っていたので、なるべく期待しないように〈フフン〉と静かにタクシーを降りてですね。そうしたら入口の前に、〈ビヨンセのサイン会はこちらです〉という看板を持った係員さんがいてくださって。売り切れていると思っていたんですけど、まだ完売と書いていなかったので、〈これもしかして、行け、行け、行け、行け、行けるのか?〉と思いながらサササササって近付いて。〈あの、ビ、ビ、ビヨンセ、ビヨンセはありますか?〉みたいなことを言ったら〈中のレジへどうぞ〉と通されて。騒ぐとほかの方がすぐに検知して〈何? 何?〉みたいになっちゃうから、なるべく気配を消して騒がないように、静かにヌルヌルヌルヌルと店内に入りました。つまずいてコケている間に配券が終わってしまうかもしれないから、精神を落ち着かせて歩みを確かめながら向かって。

レジ前 *BEYONCE JPN

そうしたらレジの並びのところの入り口、〈最後尾はこちらです〉のところに立っていらっしゃった方が、まだ分厚いチケットの束を持っていたんです。それをこうやって(目を見開いて)見ながら〈まだある? まだある?〉とヌルヌルヌルヌルっと行ったら、手前で〈はい、そこでお待ちください〉とバイーンって止められました。ここで態度が悪いということでBANを食らっては、最後の最後で会えないと思って〈はい、わかりました。なんでも聞きます〉と大人しくしていました(笑)。なるべく落ち着いて冷静に、期待はせずに、でも歩みは一番早く行かなければと精神を研ぎ澄ませていましたね」

抽選当選で頂いたAMBUSHのTシャツと購入したCD *BEYONCE JPN

Tシャツ(非売品だそうで、とても嬉しいです) *BEYONCE JPN

――それで実際にサイン会に行けたわけですけど、会場で待っていて、ビヨンセがついに現れた時はどんな気持ちでしたか?

待ち中 *BEYONCE JPN

ビヨンセ入場 *BEYONCE JPN

「また例の興奮しすぎて忘れてしまうアレで、もはやよく覚えていないんですよね。ただ、距離が近すぎました。アメリカに行ってもやっと肉眼で数センチの〈お洋服が見える〉みたいな感じでしか会えない人だったのが、あれだけ距離が近いのは信じられない気持ちでしたね。しかも、ステージでがっつり作り上げている時じゃないビヨンセを見ることってなかなか叶わないのに、それが生でいるんですよ。ちょっと何も考えられなくなっちゃいましたね。〈ああ?! おお?!〉って感じです。とりあえずこっちを向いてくださっていて、どうやら目が合うらしいっていう(笑)。意味がわからなかったですね。

会える推しではない……というか、ビヨンセは私にとって推しですらないんですよ。信仰対象なので。神がふわっと浮いているところに民衆がワーって手を伸ばしている宗教画の状態がビヨンセとビーハイブ(ビヨンセのファンの愛称)の構図で、よくアメリカのファンの方が画像を上げているんですけど、それで神がふわーって降りてきたら〈ギィヤァァァァァァァァァー!〉ってなるじゃないですか(笑)。

日本のファンである私にとって〈そういうものですらないのです〉って感じだったのに、でもご本人と目は合うから、叫び手を振り、愛を伝えてはおりました」

 

やはり神は偉大

――ビヨンセは一人一人にファンサービスをしっかりとされていたと評判でしたが、そこに関しての記憶はありますか?

「後で写真を見たら、私に微笑み返してくださっていたことはわかりました(笑)。自分が何を喋ろうと思っていたかは覚えています。

私の番が近くなって呼びかけたら特大ファンサをしてくれました *BEYONCE JPN

壇に上がる前はなるべく気合を入れてスンって顔で行ったんですけど、〈次は私だ〉となったら〈うう、神様が。ありがたい。こんな人間があなた様の前に〉みたいになってしまって。鼻水と涙でグチョグチョの状態で、うう~って言いながら壇に上がりました。私の前の方は〈ダンスをやっているんです〉と言ってキメキメに踊っていてちゃんとされていたのに、私はこんな汚い、ボロボロな格好で鼻水垂らしながら、へっぴり腰でヨタヨタヨタって壇上に上がって(笑)。上がったら〈あ、挨拶から始めなきゃ〉と思って、〈Hello, how are you? It’s pleasure to meet you〉とか言ったんですけど、こんな泣いている人間から言われたら〈お前がHow are you?だよ〉って感じですよね(笑)。ビヨンセは〈ん?〉みたいな顔をされていて、〈あ、引かれた。終わった〉と思いました。その後、〈私は“Run The World (Girls)”で命をいただいて、今ここに来ているんです。『On The Run II Tour』も行って、『Renaissance World Tour』も行きました。日本にもあなたのファンがめちゃくちゃいるんです。本当に今日は来てくださってありがとうございます。最高です〉みたいなことを言ったと思います」

へっぴり腰の私です(恥ずかしい) *BEYONCE JPN

――それで、ビヨンセからは何かお声がけはいただいたんですか?

「〈ありがとうね〉みたいなことは言ってくださっていたんですが、どちらかというと〈うん、うん〉って話を聞いてくださっていた印象が強いですね。ほかの方とのやりとりを見ていても、みんなが思い思い喋って、〈そうなの。ありがとうね〉ってしっかりと聞いてくださっている印象でした。傾聴力に優れた方なんですよね。こんなよくわかんない汚いグチャグチャな人間が来ても、〈うん、うん〉って話を聞いてくださって、本当に優しいなと思いました。優しいというか、やはり神は偉大ですね。

それで私の話を聞いてくださりながら、何かありがたいサインを(ポスターに)してくださって。ちょっと後ろを向いたらライトがめっちゃ眩しくて、何も見えなくなってカメラのある方向に〈ええ~ん〉と泣きながら降りて帰りました(笑)。ほかの方が〈いい匂いがした〉とかすごい仰っていたんですけど、私は泣いていて鼻水を垂らしてたのもあってか、何も匂わなかったんですよね。握手の手の感触とかも何も覚えていなくて。手を握っていただいた、ハグをしていただいた、その時のお召し物はレザー生地だった、あぁ素晴らしいって感じだけでした。〈ワーッ!〉ってなりましたね」

Jay-Zもファンサービス *BEYONCE JPN

 

〈不眠セ〉になっています

――今回のサイン会は新作アルバム『COWBOY CARTER』のリリースと同日でしたよね。アルバムのご感想を聞かせてください。

BEYONCÉ 『COWBOY CARTER』 Parkwood/Columbia(2024)

「ご本人が〈これまでで一番いいアルバムかも〉っておっしゃっていたじゃないですか。ファンとしては全てが一番いいアルバムで、〈今回も最高峰でございます〉っていうボジョレー・ヌーヴォーの気分なんですけども、ビヨンセ本人が〈これが最高かも〉と言っていた意味が若干わかった気がしました。

今回、自分の彼氏とか友達とか、普段はヒップホップを聴かないような人たちからも〈このアルバムだけはいけるかも〉っていう声をよく聞いていてですね。今回は刺さる層、レイヤーが多いんだろうなと思います。あと、私はカントリーも好きなんですよね。そのカントリーにビヨンセが挑まれて、どの曲も最高で、もう最高ですしか言うことがないですね。

ただ、サイン会がありがたすぎてまだ思い出しちゃうので、あの後の数日はまだじっくり新作アルバムを聴けていなかったんですよね。興奮して眠れなくなっちゃうので。サイン会当日も2時間しか眠れませんでした。ほかの行かれた方も〈最近眠れていないです〉って言っているんですけど、私もですよ(笑)。〈不眠セ〉になっています」

――不眠セ。

「不眠セになっているんですけど、最近ようやく落ち着いて、新作をありがたく拝聴し始められたところです。色々なバックグラウンドがあって、そういうのに詳しい方が解説をされているのを読みながら聴いていきたいと思います。

ビヨンセのアルバムってどれもメッセージ性が強くて、米国の社会文化学みたいなところを掘り下げて学べるんですよね。そういった意味でも造詣が深くて、噛み締めても噛み締めてもまだまだ味が出る素晴らしいアルバムだなと、いつもながらに思っています」

――今回のアルバムについては本人が〈これはカントリーアルバムじゃなくてビヨンセアルバムだ〉と言っていましたが、実際にカントリー云々というより〈ビヨンセ力〉みたいなものでねじ伏せている印象を自分は持ちました。この〈ビヨンセ力〉ってどういうところから生まれていると思いますか?

「ビヨンセのアルバムって、毎回めちゃくちゃ考え込まれて作られているじゃないですか。なので、自分で英語の記事を読んで調べたり、ライターの方の解説を読んだりしていて思うんですけど、一種の念を感じるんですよね。歌詞だとか、歌い方だとか、ライブのステージでの彼女のパフォーマンスだとか、全てからそれが出ている。彼女の念の強さ、思いの強さこそが〈ビヨンセ力〉として出てくるのかなと思います」

 

〈ビヨンセに会えた〉という人生最高の成功体験

――ありがとうございます。改めて、今回はサイン会に行くことができて本当によかったですね。

「行かれた方はみんな言っているんですけど、もういつ死んでもいいですね(笑)。私はビヨンセが好きで去年ライブを観に行ったことも同僚とかに話しているんですけど、サイン会の後で会社のお客さんと会った時にもビヨンセの話をされたんですよ。〈ビヨンセがサイン会をしたらしいですね。僕の妻も好きだからずっとその話をしていたんですけど、行かれましたか?〉って。〈あの時ね、仕事を仮病使って抜けたりとか、色々と予定を調整して行かれた方もいるみたいですね〉と言われて、〈……それはSNSで回ってきたやつですかね?〉〈そうですね。結構リツイート数も多かったです〉〈……それは私めでございます〉ってやりとりもありました(笑)。

私はたまたまスマホを見ていて、たまたま融通が利く仕事で、たまたま融通が利く曜日で、たまたま渋谷のあたりに住んでいてサイン会に行くことができたんですよね。ほかのファンの方で、お子さんを育てていらっしゃるママさんとか、仕事にしっかり集中していて行けなかったっていうビーハイブの方もいっぱいいらっしゃるので、この喜びをどうにかして皆さんと分かち合いたいなと思っています」

会場に張りまくられていたポスター(ほしい) *BEYONCE JPN

いただきたてホカホカのサイン(会場外で他のhiveの方々と共有して感激) *BEYONCE JPN

タワレコ前を爆走していたデコトラ(最高) *BEYONCE JPN

――突然こんなことが起こるなんて誰も思わないですもんね。急すぎて残念ながら都合が合わなかった方も多いはず。私も最初サイン会の情報を見た時、まず〈なんで?〉って思いました。

「アジア圏だと、シンガポールや韓国、フィリピンとかもビヨンセが大好きな国なんですよ。いつもアルバムが出た時には何か国も同時にチャートでナンバーワンになる中、日本だけ入っていないみたいな状態なのに日本でサイン会をやってくださった。めちゃくちゃありがたいなと思います」

――サイン会に行ったことで、今後の人生に何か影響はありそうですか?

「私はタトゥーに興味があったんですけど、入れたいものがなくて入れなかったんです。でも、今回のビヨンセのサインをタトゥーにして入れようと思っています(笑)。

あと、私は自己肯定感が低いんですけど、必死で頑張って間に合ってご本人に会えたのは、今までの成功体験で一番大きいかもしれないです。醜いですけど、いい大学に受かったとか、いい企業に入ったとか、そういうのがこれまで自分の自己肯定感をちょっと押し上げるものだったんです。ただ、それって上には上がいるじゃないですか。でも、私はビヨンセに会えて、話を聞いていただき、ハグもして握手もして、サインもいただいたのです。それが、もう唯一無二の体験すぎました。自己肯定感が爆上がりしましたね。これまでなるべく誠実に生きてきてよかったなと思います。これからも清く正しく生きていこうと思います」

 


RELEASE INFORMATION

BEYONCÉ 『COWBOY CARTER』 Parkwood/Columbia(2024)

リリース日:2024年3月29日(金)
配信リンク:https://smji.lnk.to/BeyonceCOWBOYCARTER

■ビヨンセ公式オンラインショップ限定CD タワーレコード渋谷店限定で販売中
『COWBOY CARTER (snake face tray card)』
価格:2,690円(税込)

『COWBOY CARTER (cowboy hat tray card)』
​価格:2,690円(税込)

※在庫には限りがございます

■輸入盤・国内盤CD
詳細は後日公開予定

TRACKLIST
1. AMERIICAN REQUIEM
2. BLACKBIIRD
3. 16 CARRIAGES
4. PROTECTOR
5. MY ROSE
6. SMOKE HOUR ★ WILLIE NELSON
7. TEXAS HOLD ’EM
8. BODYGUARD
9. DOLLY P
10. JOLENE
11. DAUGHTER
12. SPAGHETTII
13. ALLIIGATOR TEARS
14. SMOKE HOUR II
15. JUST FOR FUN
16. II MOST WANTED
17. LEVII’S JEANS
18. FLAMENCO
19. THE LINDA MARTELL SHOW
20. YA YA
21. OH LOUISIANA
22. DESERT EAGLE
23. RIIVERDANCE
24. II HANDS II HEAVEN
25. TYRANT
26. SWEET ★ HONEY ★ BUCKIIN’
27. AMEN