新作と来日の前に改めて聴いておきたいDCFCが打ち立てたディスコグラフィー
前年に米ワシントンで結成されたバンドが地元のバースークから発表した初作。宅録によるザラっとした音が焦燥と倦怠を併せ持つ歌の純度を高めている。『Plans』20周年ツアーで収録曲“Your Bruise”が久しぶりに演奏され、ファンを喜ばせた。
この2作目は、ドラマーの脱退を受けて3人編成で制作された。ムーディーな“Title Track”、ノイジーなギターが鳴る“Company Calls”など、今回も宅録での制作だが、特有の生々しさを残しつつ、より繊細なメランコリアが広がっている。
DCFCはEPも傑作揃いだが、ひとつ挙げるならこれか。いまもライヴで演奏される人気曲“Photobooth”や隠れた名曲のセンティメンタルなバラード“Technicolor Girls”などを収録。全編に漂う冬っぽい凛とした空気がたまらない。
シアトルのスタジオ、ホール・オブ・ジャスティスで制作され、輪郭の太い音になった3作目。そうした変化もあってかラウドなギター・ロック盤という趣が強い。ドラマ「The O.C.」で使用された“A Movie Script Ending”はバンドの名を広めた。
ドラマーのジェイソン・マクガーが加入し、良い状態で作れたという4作目。ポスタル・サーヴィスによる『Give Up』との相乗効果もあり、DCFCをアリーナ級まで押し上げた。2019年の〈フジロック〉、豪雨のなかでの表題曲の名演も忘れがたい。
この5作目を前にメジャーへと移籍。完全デジタルによって制作されたからか、プロダクションが格段に整理されている。ダンサブルな“Soul Meets Boy”、ナタリー・インブルーリアがカヴァーした“I Will Follow You In The Dark”など名曲ばかり。
8分に及ぶクラウトロック調の“I Will Possess Your Heart”、フィル・スぺクター的な残響を効かせた“You Can Do Better Than Me”など編曲や音作りの面で挑戦した6作目。全米1位を獲得とチャートにおいてはDCFC史上もっとも成功した一枚だ。
シンセや鍵盤を前面に出し、若干プラスティックな質感の7作目は少なくないファンを戸惑わせた。エレクトロに接近したリミックス盤も作られており、2ベアーズやカット・コピー、ヤーセイヤーら参加陣から、この時期におけるバンドの志向性が見えよう。
全作でプロデュースも担っていたクリス・ワラが脱退。リッチ・コスティを制作に迎えた8作目は、ソリッドな“The Ghosts Of Beverly Drive”、ディスコ調の“Good Help (Is So Hard To Find)”など緻密ながらもメリハリの効いた音作りが冴えている。
引き続きコスティがプロデュースした9作目は、オノ・ヨーコの“Mind Train”をサンプリングした“Gold Rush”、推進するビートに美麗なピアノを重ねた“Near/Far”などがおもしろい。デイヴ・デッパーとザック・レイが加入し、ここから5人編成に。
リモート中心で制作した10作目だが、結果的に各々の自由な発想を引き出せたそう。プロデュースを担ったジョン・コングルトンならではの固めの音がバンドにエナジーを注入しており、なかでもノイジーな“Roman Candles”が最高にカッコいい! *田中亮太










