
夏向きな未録音の新曲も披露
その心躍るフィーリングは、もちろんそのあとのXinUバンドセットにおいても様々な場面から伝わってきた。ざっと振り返っていこう。
XinUバンドセットは、新しい季節と景色を伝えてくるような前奏からの“触れる唇”でスタート。「Zepp Shinjuku、辿り着きました! 音楽にダイブする準備はできてますか? 踊れる?」。そう煽って2曲目“とけてゆく”へ。大津惇のドラムがサンバのような華やぎをそこに加える。3曲目は初めて聴く曲だった。“Fools”という新曲で、あとで聞いたらまだレコーディングもしていないとのこと。これがよかった! トニー・バジル“Hey Mickey”のようなドラムパターンにのっけから引き込まれる曲。ポップでダンサブル。実に夏向きで、その上ラジオフレンドリーだ。

一転、4曲目はテンポを落として“余韻”。抒情が滲む。そこからR&Bチューン“Day 6”への流れもいい。そのあと数秒の静寂が訪れ、XinUがアカペラで「何も言えない 何も言わない」と囁くように歌い出した。声だけで温度と思いを伝えてくる。“ただそれだけ”だ。武藤勇樹の鍵盤音がフワッと声にかぶさる。それからしばらくしてドラムが静かにビートを刻みだし、間奏では庄司陽太のギターが泣くように鳴った。この日この曲のXinUの願うようなボーカル表現はかなり胸に響くものがあった。

ギターソロとサックスソロがフィーチャーされたフュージョン的なバンドセッションがしばらく続き、そこから「今日のために作りました」と言うXinUメドレーを。“合図 EYES 合図”“まだまだ”“眩暈”“揺らせ”“バタフライ”“Hora Hora”の6曲が滑らかな繋ぎで歌われた。

Aile The Shotaも登場、会場をひとつにしたMusic Collective
武藤勇樹のピアノに乗せて次にじっくり歌われたのは“愛おしいままで”だ。途中でギターやドラムが入ると曲展開がドラマチックになり、「超えていこう過去(きのう)を」という思いが強調された。
そしてM-Swiftこと松下昇平の手によるトラックにXinUのポエトリーを重ねたものが流れ、「一緒に揺れよう 何もかも忘れて 今だけは」という言葉が強調されたところで奏でられたのはダンサブルなポップソング“Timing”のイントロ。XinUが言う。「最高のタイミングに立ち会ってくれてありがとう。呼ぶよ! Aile The Shota!」。それを合図にAile The Shotaが軽やかに登場。“Timing”の音源でフィーチャーされ、制作も共にした彼だったが、その曲をこうして一緒にフルバンドで実演するのはこれが初めてだ。息の合ったデュエット。歌のみならずAile The ShotaのラップパートでもXinUは言葉を重ねた。そう、ここでもXinUは〈声を重ねる〉ことを思い切り楽しんでいた。その喜びが溢れ出しているようだった。

そのテンションをキープしたまま曲は“Kiss Kiss Kiss”、さらには“ECHOES & BEATS”をここではバンドバージョンで披露。こうして立て続けに曲が繰り出されるなか、XinUはステージを実によく動き回っていた。動き回りながら歌っていた。たいした体力だ。


「今日は本当に最高の日になりました。ひとりで始まった音楽人生だけど、活動していくなかで一緒に音楽をやってくれる仲間が増えて、JairoのYAMORI、John-Tに出会って。Shotaくんも活動初期から〈いつか一緒にやろうね〉って言っていて、実現したのがこのタイミング! バンドでみんなと一緒にできて幸せです。Music Collective XinUって言っているんですけど、今日はここにいる全員のことをCollectiveだと思っています」。そう話して、本編最後に歌われたのはやはり代表曲の“鼓動”だった。ステージの上と下がひとつになり、〈♪オ~、オ~オ~〉の声が会場中に広がった。