今年はクローメオ“Come Alive”への客演以外、これといって目立った動きのなかったトロ・イ・モワが、土壇場にきて突如別名義でアルバムをリリースした。2010年に始動した同プロジェクトは、過去に3枚のシングルを発表(すべてこのアルバムには未収録)。クラシックなハウスをはじめ、よりダンス・ミュージックに特化した活動を展開してきたが、そのコンセプトは今作でもしっかりと継承されている。強いてトロ・イ・モワ作品で例えるなら2011年のEP『Freaking Out』の方向性に近く、収録曲の大半はインストゥルメンタルで構成。そんななか光り輝いているのが、トロ・イ・モワとの折衷的な作風による唯一の歌モノ“Why”で、これは彼のキャリアでも上位にくる極上のディスコ・ファンクだろう。