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各種リヴァイヴァルから日本の諸相まで~座談会からこぼれたトピックをより詳細に解説! 【OPUS OF THE YEAR 2015】Pt.7

OPUS OF THE YEAR 2015

[特集]2015年の100枚+
ゆく年くる年。ゆく音くる音。ゆきゆきて音楽──2015年もいい作品は山ほどあった!という毎度の感慨と共に素敵な新年を迎えたいものです。でも、まだ安心し……ないでください、ここで紹介する作品を聴かずして、新しい年はやって来ないですよ!

★Pt.1 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 1⇒25
★Pt.2 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 26⇒50
★Pt.3 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 51⇒75
★Pt.4 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 76⇒100
★Pt.5 改めて、2015年ってどうだった? bounce編集部スタッフによる座談会
Pt.6 結婚、脱退、再結成、解散、訃報……2015年の音楽ニュース総まとめ!



こちらでは雑談からこぼれたトピックをより詳細に解説!

ポスト・グランジ・リヴァイヴァル

 突然ですが、90年代のグランジから枝分かれした最大派閥と言えば何でしょう? 答えは、クリードニッケルバックを筆頭に、よりラウドな音を纏ってハード・ロック化した、いわゆるポスト・グランジ勢です。で、2014年を騒がせたグランジ復興運動も時代を一歩進め、2015年はポスト・グランジ再評価とも言える動きが見られるようになってきました。その中心にいたのは、ダイナソー・パイル・アップ『Eleven Eleven』やタイガーカブ“Centrefold”を手掛けるトム・ダルゲティです。ロイヤル・ブラッドの2014年作『Royal Blood』で名を上げた彼ですが、もともとはオーペスなどへヴィー・ロック系の作品に関与してきた人物。ハードな音はお手の物なのです。そのほか、ジェイソン・ジェリスクラウド・ナッシングス)のサイド・プロジェクト=トータル・ベイブス『Heydays』や、〈ネクスト・ロイヤル・ブラッド〉の呼び声も高いダーリア『Petals』にも、〈ポスト〉な汗臭さ&マッチョ感がプンプン!

ダイナソー・パイル・アップの2015年作『Eleven Eleven』収録曲“11:11”

 

ダーリアの2015年作『Petals』収録曲“Queen Of Hearts”

 

 また、2014年のブームがもたらした影響として、ライオット・ガールズの活躍ぶりにも目を見張るものがありました。スリーター・キニーの10年ぶりとなる大復活盤『No Cities To Love』の後を追うように、L7ベイブズ・イン・トイランドが再結成。そんなお姐様方の音を聴いて育ったピンズバリーがデビューするなど、百花繚乱の様相を呈しています。なかでも、個人的には10代のイライラを剥き出したモーンに胸キュン。同郷のハインズも間もなく世界進出するので、2016年はスペインを気にかけていきたいです。 *山西

モーンの2015年作『Mourn』収録曲“Your Brain Is Made Of Candy”

 

 

Black Lives Matter

 非武装の黒人青年を警察官が射殺した前年の〈ファーガソン事件〉など、同種の事件とそれに対する抗議行動がアメリカでは巻き起こっている。そんな現実を時代の空気として取り込んだような作品が、ディアンジェロケンドリック・ラマーを筆頭に広く親しまれたのも2015年の重要な流れだろう。なかでもロバート・グラスパーがトリオ編成で発表した『Covered』は強烈なメッセージを備えていたし、彼もプロデュースに参加したニーナ・シモンのトリビュート盤『Nina Revisited...A Tribute To Nina Simone』がここで出た意図も明白だろう。その延長線上に映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」の大ヒットがあるのも頷ける。ただ、一部の〈黒人音楽は意識が高くあるべきものだ〉という安直なステレオタイプ視は微妙だし、チンピラっぽい人もコンシャスな曲を出していたりするので、そのへんは注意深くありたいところです。 *出嶌

ロバート・グラスパーの2015年作『Covered』収録曲“So Beautiful”

 

2015年のトリビュート作『Nina Revisited...A Tribute To Nina Simone』からローリン・ヒルによる“Feeling Good”

 

 

ブリット・ポップ・リヴァイヴァル

 当然のように全英チャートを制したブラー『The Magic Whip』という大きなタマもあり、UKロック界には〈ブリット・ポップ・リヴァイヴァル〉なんてフレーズが躍っていました。往時を知る人なら、スーパーグラスマッカルモント&バトラーのデラックス復刻だったり、ブルートーンズのリユニオン報道にドキドキしたんじゃないでしょうか。

 もちろん、オリジナル世代だけなら盛り上がりはここまで広がらなかったはず。ブラーやシャンプーの所属したレーベルからバンド名を拝借して初作『Don't Say That』を発表したスーパーフード、〈ギャラガー・チルドレン〉と評されて日本でもEP『DMA's』が評判のDMA'sらアイドル性も備えたヤングなギター・ロック・バンドが躍動し、目と耳を喜ばせてくれました。今後もそのDMA'sやブロッサムズのアルバムが予定されていて、あとはあの兄弟が仲直りしてくれたら完璧!? *山西

スーパーフードの2014年作『Don't Say That』収録曲“You Can Believe”

 

DMA'sの2015年のEP『DMA's』収録曲“Delete”

 

 

KiliKiliVilla

 LIFE BALLのレア音源集を第1弾として2014年12月に始動したKiliKiliVilla。オフィシャルサイトの説明には〈元銀杏BOYZ安孫子真哉をチーフ・プロデューサーとしてパンクハードコアギター・ポップなどアンダーグラウンドから飛び出してくる生き生きとした音楽をリリースする〉とあるが、まさにその通りのラインナップを抱えるレーベルだ。外部からHomecomingsHi, how are you?も参加したコンピ『While We're Dead.: The First Year』がそのカラーを如実に示しており、2015年はCAR10の2作目をキックオフとして、NOT WONKのファースト・アルバム『Laughing Nerds And A WALLFLOWER』やレーベルの立ち上げに寄与したSEVENTEEN AGAiNなど、コンピに参加したアーティストたちの作品を着実に送り出している。

NOT WONKの2015年作『Laughing Nerds And A WALLFLOWER』収録曲“Laughing Nerds And A Wallflower”

 

SEVENTEEN AGAiNの2015年作『少数の脅威』収録曲“リプレイスメンツ”

 

 そもそもKAKUBARHYTHM角張渉と共に安孫子が運営していたSTIFFEENや、LIFE BALLがかつて出演していた西荻窪WATTS~武蔵野周辺のパンク/ハードコア勢に通じるミクスチャー感覚——いまで言うなれば、インディー・シーンを追っているリスナー層にフィットしそうなポップネスも纏ったパンク・サウンド、が現時点のカタログに通底する点だろうか。耳触りはさまざまなれど、どのアクトも〈2015年の青春パンク〉と言いたいピュアな輝きを湛えていて、そこに主宰の審美眼を感じさせる集団だ。 *土田

 

 

300

 フェティ・ワップの大ブレイクを演出した300は、デフ・ジャムの帝国化を推進してアイランドワーナーのトップを歴任した豪腕リオ・コーエンが、2012年に設立したレーベル。2015年はコヒード・アンド・カンブリアの『The Color Before The Sun』も出したが、期待されるのは初のオリジナル作『Yung Rich Nation』を出したミーゴスのほか、リッチ・ザ・キッドT・ウェインらサウスの有望株を抱えるヒップホップ~アーバン部門の活躍だろう。で、『Barter 6』も配信ヒット済みのヤング・サグが、いよいよ新年1月にアルバムを投下する模様!

コヒード・アンド・カンブリアの2015年作『The Color Before The Sun』収録曲“Eraser”

 

ミーゴスの2015年作『Yung Rich Nation』収録曲“One Time”

 

40周年 プレイリスト
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