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『Foreign Tongues』をさらに深く知るための10作

THE ROLLING STONES 『Hackney Diamonds』 Rolling Stones/Polydor/ユニバーサル(2023)

オリジナルアルバムとしては18年ぶりにリリースされた待望の復活作。チャーリーが生前にレコーディングしていた音源を用いた“Live By The Sword”にはビル・ワイマンが参加するなど所々感傷に浸りたくなる場面もあるが、悲しみを抱えたまま前進してきたストーンズならではの不屈のクリエイティブに胸が熱くなる作品だ。エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダー、レディー・ガガといったゲスト陣との共演も新鮮ではあるが、バンドの根幹は決して揺らいでいない。ミックのブルースハープとキースの煙たいギターが最高な“Rolling Stone Blues”(マディ・ウォーターズ“Rollin' Stone”のカバー)で締めくくられる構成も素晴らしい。

 

PAUL McCARTNEY 『The Boys Of Dungeon Lane』 MPL/Capitol/ユニバーサル(2026)

ポールの5年半ぶりとなるニューアルバムはアンドリュー・ワットとの共同プロデュース作で(ちなみにストーンズにアンドリューを推薦したのはポール)、ジョン・レノンと共に過ごしたリバプールでの思い出や両親について歌うなど、これまでにないほど内省的な作品となっている。3コードをメインとする“As You Lie There”やリンゴ・スターと初めてデュエットした“Home To Us”などは実にビートリーな作りで、そのメロディは歳を重ねたことによる〈枯れ〉を纏いながらもいまだ万人の心を掴んでやまないキャッチーさに満ちている。未来に向けてロックするストーンズ、過去を辿り新たなポップスを生み出すポール。同じプロデューサーが関与した2組の新作が対照的な作風なのもこれまた面白い。

 

THE CURE 『Songs Of A Lost World』 Polydor(2024)

『Foreign Tongues』の参加ゲストで最も意外だった人物がロバート・スミス。そんなロバートも2024年にザ・キュアーとして16年ぶりとなるオリジナルアルバムを完成させた。下は4分弱、上は10分弱とストリーミング主流の現代とは逆行するように長尺な楽曲で編まれた本作は“Alone”を筆頭に丹精かつ精巧な仕上がりで、第68回グラミー賞では最優秀オルタナティブミュージックアルバム賞を受賞するに至った。ストーンズの新作でスミスは“Divine Intervention”“Never Wanna Lose You”の2曲に参加していて、ポップロックな後者では彼のバックボーカルを聴くことができる。ロバートをストーンズと引き合わせたのはやはりアンドリュー・ワット。改めてその人脈の広さに脱帽。

 

STEVE WINWOOD 『Back In The High Life』 Island(1986)

ストーンズと共に60年代初頭からキャリアを築いてきたスティーヴ・ウィンウッドは『Foreign Tongues』では9曲に参加。スペンサー・デイヴィス・グループやブラインド・フェイスなどでも活躍した彼の代表作といえば、チャカ・カーンも参加したヒットチューン“Higher Love”も収めたソロ通算4枚目となる本作を挙げる人も多いはず。ストーンズの新作ではピアノやオルガンなどで貢献しているが、本作ではロックからAOR、R&Bまでを取り込んだマルチプレイヤーな彼の魅力を存分に堪能することができる。『Foreign Tongues』収録の“Mr. Charm”の冒頭で聞こえる「回ってる?」という声は彼のもの。

 

RED HOT CHILI PEPPERS 『Return Of The Dream Canteen』 Warner/ワーナー(2022)

“Beautiful Delilah”でコンサートバスドラムを叩いているのがレッチリのチャド・スミス。正直贅沢すぎる起用の仕方だが、ミックとキースだけの世界に臆することなく入っていけるのは彼ぐらいかも。ストーンズの新作での起用方法については正直チャドでなくてもいいのでは?と感じなくもないが、あえて『Foreign Tongues』と親和性が高いレッチリのアルバムを挙げるとするなら本作だろうか。ドラムにおいてはベーシックなファンクビート、ラウドかつミクスチャーなアプローチなどチャドの持ち味を活かした楽曲が多い。個人をプッシュするのではなく、その曲に自らを捧げるかのようにアプローチできるのもチャドが卓越したドラマーであることを証明している。