ザ・ローリング・ストーンズがニューアルバム『Foreign Tongues』をリリースした。前作『Hackney Diamonds』以来およそ3年ぶりとなるオリジナルアルバムは、様々なゲストが参加した新曲群のほか、ストーンズらしいチョイスのカバー曲も収められたまさに充実作と呼ぶにふさわしい一作となった。本稿では新作のレビューに加え、〈『Foreign Tongues』を深く知るための10作〉と題して関連作品もあわせて紹介していく。 *Mikiki編集部
またロックンロールを心から楽しむ時がきた
前作『Hackney Diamonds』から約3年、我々リスナーに向けて〈もうお前たちを待たせない〉と言わんばかりのスパンでカムバックを果たしたザ・ローリング・ストーンズ。伝家の宝刀とも言える鉄板のロックンロールナンバーも収録した前作には少なからずチャーリー・ワッツとの別れが滲んでいたが、ニューアルバム『Foreign Tongues』には再びストーンズが心からロックンロールを楽しむ姿が刻まれているように感じた。
ロンドンとロサンゼルスでレコーディングが行われた本作は、前作に続いてアンドリュー・ワットがプロデュースを担当し、ポール・マッカートニー、スティーヴ・ウィンウッド、ロバート・スミス、チャド・スミスなどがゲスト参加している。そうした多彩な客演陣を招きつつも、『Foreign Tongues』は一貫して彼らだけが作り出せる色によって塗り潰された、歴としたストーンズのオリジナルアルバムとしての威厳を示した作品でもある。ストーンズという名を伏せ、コックローチズ名義で発表した先行曲“Rough And Twisted”のイントロが鳴った瞬間、彼らの歴史にまた新たな1ページが書き足されたのだ。
プロデューサーが同じという点においても前作の延長線上にある作品ではあるが、彼ら自身が意識的・意図的に伝統的なストーンズサウンドを練り上げていったであろう前作とは違い、本作ではミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッドの3人とアンドリュー・ワットの足並みがようやく揃ったことでアルバムとしての統一感がナチュラルなかたちで強調されている。彼らのシグネチャーサウンドが炸裂した“In The Star”は再度ストーンズが数万人規模のスタジアムライブを行うのではないかと予感させるほどのキャッチーさを持っているし、聴き手を鼓舞するハードなロックチューン“Hit Me In The Head”は、もし前作に収録されていたらかなり浮いた曲になっていたはずだ。
古き良きカントリーを彷彿させる“Ringing Hollow”やキースのしゃがれた歌声が胸に沁みる“Some Of Us”、そしてエイミー・ワインハウスとチャック・ベリーのカバーなどバラエティ豊かなトラックが並んだ『Foreign Tongues』は、ストリーミング全盛のこの時代にアルバム全編を通して聴くことでしか得られない充足感に満ちている。とはいえ、これに満足してバンドがその歩みを止めるとは到底思えない。再びロックンロールを楽しみはじめたザ・ローリング・ストーンズは、この先も過去と現在を燃料に未来を創造し続けていく。
