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より自由になって、グラデーションが増えた

――新曲は2曲で、“風になる”と“KAMINARI”。“風になる”はいつ作ったんですか?

「今年の3月に相模原で制作合宿をしたんです。新しいトレーラーハウスみたいなスタジオで、そこに10人近く来たのかな。Kota Matsukawa らw.a.uのメンバーが5人と、ヒップホップのプロデューサーのuinと、キーボーディストのKashiwa Taroと……。1週間のうちに代わる代わる人が来て、ふたつある部屋の片方で誰かがビートを作って、もう片方の部屋で私がトップラインを考えて録音していく感じで。

6泊7日で13曲作ったんですけど、最初の日に作ったのが“風になる”なんです。初めにw.a.uのドラマーのRyuju Tanoueがビートを作って、そこに何人か来て一緒にやって。そんな感じでできた曲」

――さらささんにしては明るい曲ですよね。

「そうですね。まずアップテンポの曲を書いてみたいと思ったんですよ。私の曲って“ネイルの島”に始まり(リズムを)刻んでるトップラインが多かったので、もうちょっと大きくてメロディアスなトップラインを書いてみたいと話していたんです。あと、前向きな曲を書きたい気持ちもありました。といっても、頑張ろうぜ!みたいな曲ではないんですけど」

――〈帰りたい〉って歌ですもんね。

「そう。早く帰りたいっていう。仕事が終わって名古屋から新幹線に乗って帰って来るときに、早く家に着かないかなって思って、その気持ちをメモしておいたんです」

――とはいえ、早く自分の部屋に帰りたいではなく、〈君の待つ場所〉に帰りたいと歌っている。

「今までの私の歌には特定の誰かが出てこなかったんですよ。意識的に避けていたから。でも去年くらいから誰かが出てくる曲も書いてみようかなと思い始めて。

こうやって〈君〉って書いたり、明るい曲を歌ってみたり、そういう意味でも最近は自由になってきてますね。グラデーションが増えた感覚です」

――〈口癖が移ること ふたりだけの出来事〉というフレーズがとてもいい。

「好きな人の口癖ってうつるじゃないですか。それが可愛いなって」

――明るい曲を歌うにあたって歌唱面で意識したところはありました?

「〈もっと明るく歌える?〉って5回くらい言われたんです。どうやって明るく歌えばいいんだろう? 明るく歌ってるつもりなんだけどな、みたいな。5段階分は明るくなったはずだけど、たぶんまだ標準の明るさに達してない(笑)。そこ、課題ですね」

 

音楽ってやめるやめないじゃない、カラダに流れているもの

――2曲目は“KAMINARI”。これも制作合宿で作った曲ですか?

「そうです。鍵盤をKashiwa Taroが弾いてくれて。最初はシティポップっぽくなりそうなアレンジだったんですけど、結局どこにも属さない曲になったかなと。私としては、トップラインはメロディが大きくて歌謡曲っぽくしたかったんです」

――シャーデーっぽさもありますよね。シャーデー的なR&Bに歌謡の要素を合わせたシャーデー歌謡、みたいな。

「シャーデー、好きですね。高校で軽音部に入ったときに聴いて、これだ!と思った。声の低い人に憧れていたんです。シャーデーとか、(松尾)レミさんとか」

――因みにご自身の歌声は好きですか?

「いやぁ、めっちゃ好きって感じではないです。もっと低い声で歌えないかなってずっと思っていました。さすがに最近は受け入れていますけど、思ったより高いなって思います。低い声の人に憧れがあるので、もっと低く響かせられないかなって思いますね」

――“KAMINARI”の話に戻すと、コーラスワークがまたいいですね。こんなにコーラスが立ったさらささんの曲は珍しい気がする。

「今までなかったです。どういうコーラスを入れようかってアイデアを出し合って、ソウル・トレインふうのコーラス大喜利になって(笑)。コーラスの歌詞もみんなで考えて、一番ダサいやつを入れよう!と」

――〈♪I got you, baby  just you and me〉ですね。

「そう。いい意味でダサさを追求したコーラスライン」

――とはいえ、ここがこの曲の核心部分だったりもしますよね。

「そうですね。すごく気に入ってます。このコーラスは高校の後輩のDesire(Nealy)というドラマーと、お世話になっているボイトレの先生のMegさんにやってもらいました。この曲は女性賛歌、女性への応援歌みたいなところもあるので、自分と縁の深い女性ふたりにやってもらいたかったんです」

――〈この体 流れている 愛のリズムだけは奪えない〉というフレーズも強くていい。

「それが一番言いたいことだったんです。音楽を一回やめた時期があるんですけど、音楽ってやめるやめないじゃないんだな、リズムというのは鼓動とか血液と同じようにカラダのなかに流れているものなんだなって、そのときに気づいて。それをテーマに書いてみようと」