
RYUSENKEIのクニモンド瀧口が選曲するコンピレーションアルバム『CITY MUSIC TOKYO』シリーズ。新旧の隠れた名曲を〈CITY MUSIC〉のイメージでセレクトしてきた好企画だが、そのなかでも比較的新しいアーティストに焦点を当て、レーベルの枠をまたいだ自由選曲がテーマの第6弾『CITY MUSIC TOKYO gradation』がリリースされる。
現代のシティポップ再評価に大きな役割を果たしてきた瀧口は、この『gradation』ではどのような視点で楽曲を選び、現在の音楽シーンをどのように捉えているのだろうか。タイトル通りグラデーションを感じさせるバラエティに富んだ選曲をもとに、セレクトの秘訣や楽曲に対する評価、現在のシティポップの立ち位置など、彼の視点でじっくりと語ってもらった。
来島エルを起点に色彩の移り変わりを表現
――今回の『CITY MUSIC TOKYO gradation』では、どのようなところから選曲を始めたのでしょうか。
「最初に選んだのは、来島エルさんの“点と線と点”です。彼女はウクレレを弾くシンガーソングライターなんですけど、すごく引っかかるものがあったんです。声の抜け感もそうですし、メロディの進み方がちょっと独特なんですよね。そこを起点にして、今回は最新の楽曲から少しずつ遡るようなイメージで選曲していきました」
――この曲が起点で、しかも1曲目に置かれているというのは意外でした。
「普段だともっと暗いというか、もう少しメロウで哀愁のある楽曲を選びがちなんです。でも今回は、開放感のある彼女の曲からスタートしたことで、選曲全体の流れも変わっていった気がします。これまでだったらあまり選ばなさそうな曲が結構入っているんですよ」
――タイトルにある〈gradation〉というのは。
「毎回ジャケット制作をお願いしている高木康行さんの写真を選んだ段階で〈gradation〉という言葉がしっくりしてきたんです。結果的に、来島さんから始まって、作品全体に色彩の移り変わりのような流れができたんですよね。
もともとこのシリーズは、有名とか売れているとか関係なく、パッと聴いた時の感覚で選んでいて、流して聴いて気持ちいいコンピレーションにしたかったんです。取っ散らかっているように感じるかもしれないけれど、いい感じの〈gradation〉になっていると思います」
優河から菅原信介まで多様なR&Bを選曲
――今回はR&Bやソウル的な要素が多く、『gradation』の主軸なのかなと思うのですが、その中でもいろんなタイプの曲が選ばれています。優河と菅原信介では同じR&Bでも全然タイプが違いますよね。
「優河さんの“Don’t Remember Me”は岡田拓郎さんのアレンジなんですけど、ファンクやアフロビートっぽい感覚があってすごく好きなんです。最近はポリリズムやアフロ的なリズムに惹かれていて、2024年にナツ・サマーをプロデュースした時はアマピアノを取り入れたんだけど(『オレンジ通信』収録曲“2025”)、そういう感覚が選曲にも反映されたのかもしれない。
一方、菅原信介さんの“NEW DAY”なんて、今までの僕なら選ばなかったかもしれないんだけど、でも単純にいい曲だと思ったんですよ。おそらく、MARTERさんや渡辺シュンスケさんなんかは僕らしい選曲かなと思いますが、菅原さんを選ぶのは意外に思われるかもしれない。でも、良いなと思ったというそれだけなんです。自分のカラーや好みということに縛られず、紹介したいと思える曲だったので選びました」
――ウワノソラの“Sweet Serenade”なんかも、瀧口さんらしいなと感じました。
「そうですね、ウワノソラもいろいろとアルバムを出していますけれど、ちゃんと聴いたことがない方も多いと思うので、ぜひ紹介したかったんです。たしかに、僕らしいセレクトかもしれないですね(笑)」
