解散を目前にして4人が選んだ答えは、最後の瞬間まで最高を更新し続けること――輝かしい到達点となった最高傑作『zION』はどんな未来を照らし出す?
〈WACK合同オーディション〉で選ばれた2名を中心にプロジェクトが立ち上がり、そこからEMPiREとして結成されたのが2017年の夏。2022年のリニューアルを経て進んできたExWHYZが、この8月31日に解散を迎える。本記事が出る時点ではすでに最終ワンマン〈ExWHYZ LAST LIVE ‘光’〉を残すのみの状況ながら、その姿勢は最後まで変わらず、ある意味ではいつも通りの多忙さで4人は最後の日々を駆け抜けてきた。その通常運転ぶりの最たるものが、このたび届いたラスト・アルバム『zION』だろう。ダンス・ミュージックを基軸とした楽曲の良さにこだわり、初作『xYZ』(2022年)から多彩なクリエイター陣と組んでハズレなしの名曲ばかりを生み出してきた彼女たちだが、ここまで着実に積み上げてきた成果は、ここにとんでもない置き土産を残していくことになった。
辿り着いた先の答え
――最後の取材になりますが、普通にニュー・アルバム『zION』の収録曲について伺います。イントロの“zION”とそこから繋がる“WHERE”が幕開けですが、これはKBSNKさんとISLTRさんによる幻想的な楽曲ですね。
mikina「“WHERE”は抽象的な世界というか、夢の中みたいな言葉で書かれていて、私の中では広い場所に光が射しているような風景をイメージするんですけど、どう考えても自分たちのことだなって思ってしまうぐらい、気持ちがリンクする曲ですね。自分たちがやってきたこと、積み重ねてきたマスター(ExWHYZファンの総称)たちとの関係がホントに素晴らしいものだったし、一般的に〈ザイオン〉って〈理想郷〉みたいな意味だと思うんですけど、そういうのとか置いといて、ホントに〈私たちが辿り着いた先の答えはこう〉って自信を持って言えるような曲です」
――トラックも歌唱も全体的に柔らかい雰囲気で、これまでKBSNKさんが提供した“Sweet & Sour”などにも通じます。
mayu「声のトーンは明るく歌いました。最初のほうとかはまだ迷いというか、まだ不確かな感じがあるけど、〈やっと辿り着いたね〉のところとかは開けていく感じがあったから、そこは自分の声の持ち味的にスッと貫いていけるかなと思って、そこはうまく曲に合うように意識しましたね」
――レコーディングはいつ頃でしたか?
yu-ki「7月の頭ぐらいで、この曲がいちばん最後のレコーディングでした。私とmayuちゃんは歌割が決まって後から録ったので、私のパートは優しく歌うことを心がけたんですけど、全員の透き通るような歌声が曲に合ってて心地良いなって思います。でも、ホントはやっぱりサビの〈やっと辿り着いたね〉のところを歌いたかったんですよね(笑)。それで家でいっぱい練習してたのに、歌割を貰ったらなくて、エ〜ンって思いながらレコーディングに臨んだのを覚えています(笑)」
mayu「ちょい萎え?」
yu-ki「完成したのを聴いて凄く素敵だなと思ったけど。〈まあ、私がやったらもっと素敵だっただろうな〉って(笑)」
――最後だからって何を言ってもいいわけではないですよ(笑)。
mikina「大丈夫。私は録ったのに歌割なかったから……」
maho「ちょっと! 悲しい話に持っていかないで(笑)。“WHERE”は聴いても歌っても、幼い頃の自分を思い出したりする曲で、でもそれをただ振り返ってるだけじゃなくて、〈いまもその時とリンクする気持ちはまだあるな〉〈これから先の未来でも同じ気持ちはあるよな〉とか、走馬燈じゃないですけど、自分の人生っていう大きい空間のなかを走り回っているような気持ちになりましたね。この曲で始まるのが凄く良いなって思いました」
mayu「マジで良い曲だよね」
――それでいうと、今回は特にアルバム全体の曲順も素晴らしくて。
yu-ki「そうなんです。〈これから歌うのは僕らの旅の途中〉って歌い終わって、アルバムが始まって」
――一周して戻ってくると、〈これから歌うのは僕らの旅の途中〉がエピローグみたいに響くっていう見事な構成です。この記事が出る頃にはもうパフォーマンスも披露されていることになりますね。
mayu「はい。“WHERE”と“SONNET”の振りは、EMPiRE時代からずっとお世話になっているYUKA先生に付けてもらいました。あと、もともと自分たちで作っていた“zION”の振付けがあって、豆柴の大群との対バンと〈YATSUI FES〉でSEとして流した際にしれっと披露してたんですけど、“WHERE”からの繋がりで“zION”も先生に付けてもらいました」
yu-ki「前の振付けは幻の2回になった」
mayu「そうだね(笑)」
――それに続くのが、80KIDZによるアッパーなダンス・トラックの“TONIGHT TONIGHT”です。5月に先行配信されて、もうライヴの定番になっていますよね。
yu-ki「“WHERE”が〈旅の途中〉で終わって、次にこの騒げる曲が来るのが、ExWHYZとして活動してきた時間を感じられて好きですね。お客さんが自由に騒いでくれるのをダイレクトに感じられる曲だから、やってる私たちも楽しいし、自由に楽しんでくれてるみんなをステージから見るのも楽しくなる曲です。聴くとライヴの風景が思い浮かぶというか」
mayu「新曲だけど、そうとは思えないぐらい、もうフロアにも自分にも馴染んでる感じがしていて。毎回セトリに入って、かかるたびに〈よしよし〉って思ってますね(笑)」
maho「5月に初めて披露して、まだ3か月ぐらいなんですけど、急スピードで力をくれる曲になりました。最後の〈Let’s Go〉のところのmikinaちゃんも、音源で聴くと違和感あるぐらいライヴ仕様になっていたりするので、ツアーのなかでの変化もおもしろかったです」
mikina「不安なく、すぐにカマせる曲です(笑)。先日の〈TIF〉のような初めて見てくれるお客さんが多いフェスでも自分たちらしさを提示できたから、凄く良い曲を持てたっていう気持ちと、ロングトーンとかラップとかいろんな歌の要素が詰め込まれているので、歌うのが楽しくなりました。アルバム全体通してですけど、歌うのが楽しいです」
――そこからDONGROSSOとの“DON’T CRY”でさらにアゲておいて、続いての“00:00”はShin SakiuraさんとRachelさんによるチルなラップ曲です。これはMVもいい雰囲気でした。
yu-ki「マジで良い曲(笑)。大好きすぎて、デモもそうだし、みんなで録ったラフの音源もずっと聴いてました。Rachelさんには初めてリリックを書いてもらったんですけど、〈なんでわかるの?〉ってぐらい、いまの私たちの気持ちとリンクしてたり、例えば私のパートの〈土砂降ったとか トラブったとか〉みたいに、それぞれ〈自分っぽいな〉って思えるフレーズが散りばめられてて」
mikina「歌詞を見て〈めちゃくちゃわかるな〉っていう部分が、普段のメンバーの素を感じるから、〈長く一緒にやってきて、いろんな思い出を重ねてきたんだな〉って改めて思うし、あとは言葉選びが凄く好きなので、カレンダーを囲むペンの〈ピッピッ〉っていう擬音とアラームの音を繋げてる部分とか凄いし、おもしろいなって思って。文章としても好きです」
mayu「ShinさんとRachelさんにはディレクションもしていただいたんですけど、もっとどうやって書いたか訊けばよかったなって思うぐらいドンピシャな内容を書いていただいて。その歌詞があるうえでスタッフさんと〈ここは誰っぽいから誰にしよう〉みたいに相談しながら歌割を決めていったんですけど、そういうのも楽しかったです(笑)。意外とそういうパートの決め方ってなかったけど、この曲では全員が自分っぽいところを歌ってるし、レコーディングも楽しかった。最後にこんな曲を出させてもらえるのが嬉しいです」
――ビートやラップのノリは日常感がありつつ、リリックは〈ラストステージ〉やその後を歌ったものですね。
maho「私にとって〈理想のバイバイ〉ですね。私はできるだけ悲しい気持ちから逃げたいので(笑)、後から思い出してちょっと温かい気持ちになるというか、良い記憶を思い出させてくれそうな、この距離感や温度感のサヨナラがめっちゃ〈ありがとうございます〉の気持ちでした」
