いま言葉にしたいのは――愛おしい軌跡に思いを巡らせれば新しいリズムが聴こえてくる。パソコン音楽クラブと80KIDZの手掛けた美しいニュー・シングル、そして……

神聖な気持ちになった

 3周年特別公演や2本の全国ツアーの開催、2作のシングルをリリースに至るまで、充実の活動を展開してきた2025年のExWHYZ。解散の年となる今年に入ってからは、UKツアーやWACKツアーを経て、この3月に昨年のツアーからの振替公演となる〈ExWHYZ REVENGE TOUR ‘Wide Open Again’〉を開催したばかり。さよならが動き出したなかで4人はそれぞれの思いを抱えて進む。

maho「3月1日に始まった〈REVENGE TOUR〉は今年に入って初めて4人でやるワンマンだったので、その時にはやっぱり感じたことない気持ちというか、去年までとは違う部分で、歌っていて感情がこもっちゃう瞬間があるなって感じました」

yu-ki「解散が発表された時はそこまで実感がなかったんですけど、例えば先日のWACKツアーで〈事務所のみんなと回るツアーは最後なんだな〉とか、この間の〈REVENGE TOUR〉で〈埼玉でのライヴはもう最後なんだな〉って、何かをするたびに〈最後の瞬間〉が増えていく感覚で、寂しい気持ちになったりして。そうやってだんだん実感が湧いてきているのを感じています」

mayu「いまの自分的には寂しい感情よりも楽しみたい気持ちのほうが強いなって、〈REVENGE TOUR〉が始まって感じました。もっと寂しい気持ちになっちゃうかな~って思ってたけど、意外と〈目の前のことを楽しみたい〉みたいな気持ちになってるなって」

mikina「ライヴの最後に、みんなの前で自分の口で発表した時は、〈言っちゃったな〉って思ったんですよ。〈言っちゃったから、もう取り消しできないんだな〉みたいな気持ちで、けっこう唇噛んでたんですけど(笑)。でも、最近は自分で考えないようにしてるのかわかんないんですけど、そのことがあんまり頭の中に出てこなくて。それよりは、この間の埼玉もそうですけど、ライヴが凄く素晴らしくて、自分も楽しめていて、それが良いなって思ったんですよ。だから、気持ちはあるけど、〈最後だから〉って言葉にはしたくないというか。いまが凄く良いから、もっと良くしたい。たぶん、いつまでもこんな感じなのかもしれないなって思ってます」

ExWHYZ 『GIVE YOU MY WORD』 ユニバーサル(2026)

 そんな状況にありつつも、ExWHYZの芯にある楽曲の完成度はもちろん揺るぎない。このたび届いたサード・シングル“GIVE YOU MY WORD”は、モダンなしなやかさを備えたハウス・トラックで、制作を手掛けたのはパソコン音楽クラブ。状況のドラマ性を過剰に強調するわけでもなく、美麗なダンス・ビートと品のあるメロディーに乗せた悠然とした魅力を届けてくれる。パ音にとっては昨年4月のオールナイトイベント〈ExWHYZ presents ‘CLUB Ex Vol.1’〉出演時の楽曲制作依頼に応えた格好だが、そこで彼らの“Day After Day”を4人がカヴァーする姿(前シングル『DON'T CRY/リグレット』に付いたBD/DVDで確認できる)も観たうえで制作されたという。なお、ひとつの終わりを受けて先へ進むような示唆的な歌詞はグループの状況とは関係なく以前から書かれていたそうだ。

maho「パ音さんにはいろんなことが決まる前に作っていただいていた曲で、去年からめっちゃ好きで聴いてました(笑)。日々を紡いでいくなかで持っていたい希望って、大小関係なく生きていくうえでめっちゃ大事だよなって感じて。だから、グループのことがどうとかってより、私が生活を続けていくなかで、この曲が凄く好きだっていう自分のこの感覚をずっと持っておきたいなって思う曲です」

yu-ki「私もずっと聴いてるんですけど、だいたい夜とかに一人でちょっと落ち込みそうな時とか、寂しい気持ちになった時に、凄く寄り添ってくれる曲で。自分にとってのお守りのような曲だなって感じています」

mikina「自分の人生のなかでこの歌詞を〈そうだよね〉って理解できて共感できるタイミングが、ホントにドンピシャでいまだった感じで。だから、凄く好きなんですけど。初披露した埼玉のライヴの後に〈めっちゃ楽しくて浮き足立って帰った〉みたいなポストをしたら、ファンの人が〈そういう日々を紡いできたから、そう思えるんだね〉みたいなリプライをくれて。それを見た時に、〈この歌詞がいま好きだって思えるのも、ちゃんと人と人のことを諦めなかったり、関係を紡いできたから、そう思えるんだな〉ってわかって、〈そういう日々がちゃんとあったんだな〉って思えた曲でもあって、もっと大事になりました」

mayu「ライヴでやる前にTVの収録やMV撮影もあって、たくさん歌ったり踊ったりはしてたんですよ。でも実際にライヴで初披露したら、いっぱい練習してきたのに初めてやるみたいな気持ちになって(笑)。ファンのみんなが、ホントにこの曲を大切に感じ取って、歌詞を聴き取ろうとしてくれてる雰囲気を凄く感じたし、私たちも凄く大切に歌うことができた。みんながこの曲を大切に寄り添ってくれて、この曲もみんなに寄り添ってくれる、みたいな。そういう神聖な気持ちにExWHYZの楽曲でなれたのが初めてで、〈こういう気持ちになることもまだあるんだな〉って思えたし、その初披露の思い出も込みで、ギュッて好きになりました。これはMVも撮影していただいて、めっちゃひたすら踊ってるので(笑)観てほしいです」

 

君と出会ったせいで

 一方のカップリング収録曲“Floating Romance”は、初作『xYZ』(2022年)に収録された“Obsession”から昨年のシングル表題曲“iD”に至るまで長い縁のある80KIDZが提供したドラムンベース。mahoの歌詞が採用されているが、それぞれが作詞に取り組み、「女川で歌詞を書いてました」(mikina)と語るように、こちらは直近のタイミングまで制作されていたものだという。

maho「私が書いてることって、たぶん、いつもあんまり変わらないんですけど。いま目の前にあるものにちゃんと目を向けていきたいという願いとか、それが希望でありたいっていう願いを書きました。書こうと思って書きはじめてから、いままででいちばん行ったり来たりして、〈あ~、書き切れないかも〉みたいに思って最後のほうは心折れそうになったけど、でも歌詞をあと何回書けるだろうとかも思ったら、執念で(笑)。書きたいという気持ちだけで書き切って、達成感がエグかったです(笑)」

yu-ki「自分たちも作詞に挑戦したからこそmahoちゃん凄いなって思いました。でも、mahoちゃんの歌詞が届いた時に、私なりの勝手な解釈で〈わかる、わかる〉っていう部分や心情が重なる部分が多かったので、感じてることや見てるところが一緒なんだなって思って嬉しかったです。〈君と出会って 君と出会ったせいで〉のところとかが私は好きなんですけど、みんなと過ごす日々で生まれたいろんな感情とか衝撃とか全部が、この活動をしてなかったら出会わなかったもので、それもみんなに出会えたおかげだから、〈ああ、わかるな〉って」

mayu「mahoちゃんのこの感じ、久々って思いました(笑)。80KIDZさんが作ってくださったトラックの雰囲気がけっこうダークなトーンなので、自分は歌詞を書く時に曲調に引っ張られすぎて迷っちゃったんですけど、そんななかで、メロディーの雰囲気を拾ってうまく曲と調和しながら、mahoちゃんらしく前向きさ、情熱、愛みたいなのが落とし込めてて、凄いなって思いました」

maho「書いてて思ったんですけど、たぶん私、希望的じゃないと歌詞が書けない。そのモードじゃないと」

 ドラムンベース系統の楽曲という意味では、以前の“メトロノーム”や昨年の“goodbye”もあったが、抑制を効かせながら流れていくような展開はそれらともまた違うクールなカッコ良さに溢れている。

yu-ki「歌うのは難しかったです(笑)」

maho「めちゃムズだったよな」

mikina「“メトロノーム”も難しかったけど、これもなかなか難しかったですね。歌詞に引っ張られすぎると、リズムが崩れるっていうのがあって、そこの軽さを保ちながら歌うのが難しくて」

mayu「〈生まれてきた意味なんて手にしてもまた求める〉の部分が、〈生まれてきた〉までは音がなくて、〈意味なんて〉のところでバーッてくるんですよ。そこが気持ち良すぎて、ここの歌割が欲しかったけど貰えなかった(笑)」

maho「しょうがないよ。その後に続く最後のパートがmayuちゃん良すぎちゃったもん(笑)」

mayu「そっか(笑)。でも〈生まれてきた〉を刻んでるところがめっちゃ気持ち良いポイントです。ここ好き」

mikina「わかる。めっちゃ気持ちが乗るもん(笑)」

 

大事にするもの

 充実した2曲を引っ提げて、ストーリーはいよいよ終局へ向かう。シングル・リリースの4月1日にはLIQUDROOMにてスペシャルなイベント〈ExWHYZ ‘GIVE YOU MY WORD’〉とmikina初主催のアフターパーティーを行い、その後は5月から7月にかけて最後の全国ツアー〈ExWHYZ LAST TOUR ‘DANCE YOUR DANCE’〉が開催される。初日となる5月6日の舞台は大阪城音楽堂。mahoとmikinaが2018年にオーディション合格を発表された場所でもある。

mikina「そうなんですよ。ずっとやりたいと思ってたので、絶対来てほしい」

maho「野音は絶対来てほしいね、ツアー初日ですし」

yu-ki「野外でのワンマンは初めてになるので」

 大阪を皮切りに広島、新潟、愛知、福岡、山形、香川、宮城、北海道と各地を巡り、7月4日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でファイナルを迎える。最後のツアーを前に4人はそれぞれにコンディションを整えているようだ。

maho「いまもそうですけど、その時に何を感じるか、やっぱり予想がつかないし、先日のライヴもそうだったように、準備や予想をしてステージに立っても、やっぱりメンバーの発する言葉をそこで聞いて、みんなの反応があって、そこで初めて生まれる感情とかもやっぱりまだまだあるし、例えば歌詞もそうですけど、この何年間の集大成みたいなことを書きたくても〈まだまだ途中だな〉って現時点では思うから、その瞬間瞬間、感じ取れるものをちゃんと感じ取り切れるような状態でツアーを回っていきたいなって思いますし、やっぱり人生が続いていくなかで、その時その時のベストでいたいということは変わりないから、このツアーも変わらず、その時の自分が思う良い姿で走り切りたいなっていう思いが強いです」

yu-ki「2か月ってあっという間だと思うし、ライヴになると〈わっ、楽しい! やった!〉って一瞬で過ぎちゃうので、楽しいだけに寄り切らないように、ちゃんと一回一回を自分の中で大事にする気持ちも忘れず、来てくれた一人一人と向き合う時間をしっかり作ってライヴしたいなって思います」

mayu「そうですね。毎回〈このツアーの目標はこうだから、こうやったほうがいい〉〈自分はこう立ち回ったほうがいい〉とか、考えすぎて視野が狭くなっちゃうタイプなんで、このツアーはそうじゃない自分でいたいし、もう少し楽しみたいなって。素直に自分のその時の状態とか気持ちとか、みんなとの空気とかをしっかり感じ取って、楽しめる自分で、ふわふわな自分で臨みたいです(笑)」

mikina「まず、元気でいることが凄い大事。元気でいるからこそすべてを感じ取れると思うので、全公演にベストコンディションで臨めるように生活しつつ、ライヴでは目に焼きつけたいですね。来てくれるお客さんの顔も、そこで自分が見た景色も、全部焼きつけて忘れないようにしたい。あと、最後まで自分の気持ちを……誰かに影響された気持ちや言葉じゃなくて、自分がどう感じたかを大事にして、言葉にするのを諦めないでいたいです」

ExWHYZの作品。
左から、2024年のEP『Sweet & Sour』、2025年のシングル“iD”『DON'T CRY/リグレット』、2022年のアルバム『xYZ』、2023年のアルバム『xANADU』、同年のEP『HOW HIGH』、2024年のアルバム『Dress to Kill』(すべてユニバーサル)

関連作品を紹介。
左から、パソコン音楽クラブの2024年作『Love Flutter』(HATIHATI PRO./SPACE SHOWER)、80KIDZが参加した2025年のサントラ『New PANTY & STOCKING with GARTERBELT The Soundtrack』(flying DOG)

 


【特報】新連載〈聴き酒ゆーき〉スタートのおしらせ!
4月25日発行の509号から、bounceでExWHYZ yu-kiの新連載〈聴き酒ゆーき〉が始まります! #ゆーきとケェピィでライヴ後の一杯をSNS投稿するなど、お酒大好きなyu-kiがツアー先の各地やホームタウン東京や埼玉で訪れた居酒屋、購入した地元限定のお酒などExWHYZの音楽とぴったりな幸な一杯とアテ、そしてそんなお酒にペアリングする音楽を紹介! 次号をお楽しみに!