インタビュー

IGGY AZALEA 『Reclassified』―小生意気でドープ、そしてキュート。世界一ファンシーなMCが本邦初上陸!

【COLOUR ME POP ホット・ガールズ2014】 Part.1

COLOUR ME POP
[ 緊急ワイド ]ホット・ガールズ2014

さまざまなフィールドからポップな女性アーティストたちが大集結! 
彼女たちがいるから、冬の寒さも気にしてなんかいられないっ!!

 


 

 IGGY AZALEA

 

入るなと言われたら……

「こうして歌にして語るのを楽しんでたら、現実の暮らしなんてどうでもよくなるわ。その世界に入るなと言われたら、私は入っていく。そこに何もないとしても、〈入っちゃダメ〉と言われた場所に入るだけで、すごくワクワクするの」。

 イギー・アゼリア。彼女はまさに〈アウトサイダー〉がラップの世界に〈入り込んだ〉という視線と闘い続けている人でもある。徐々にステップを踏んでいくような段階を世間にわかりやすくプレゼンするには、ブレイクが急すぎたと思う人もいるのだろうか? いずれにせよ、ファレル・ウィリアムズ“Happy”やメーガン・トレイナーの“All About That Bass”と並んで〈2014年を代表するポップソング〉となれば、多くの人がイギーの“Fancy”を挙げるはずだ。チャーリーXCXをフックに招いた同曲は7週連続で全米チャートの首位を独走。ブーティーなエレクトロ・ホップ(というかサザン・スナップ)に乗せて金髪の白人女性がクセのある語り口でナスティーな言葉を吐く姿はインパクトがあった。

 もちろん、アウトサイダーといえばアウトサイダーではある。イギーはオーストラリアはニューサウスウェールズ州マランビンビーという田舎町で育った。彼女をとりまく環境は決して裕福なものではなかったそうだが、幼い頃に祖母と旅行したアメリカへの憧れは常に抱いていたそうだ。

「田舎出身ってだけでヤワな女だと判断するわけ(笑)? 私の地元は過酷な場所で、自由になるのは本当に大変だから、みんな逞しく成長する。とにかく何か失いそうになったら、戦わなくちゃいけないの」。

 10代になると憧れは別の興味を伴ってくる。資料によれば、バスタ・ライムズミッシー・エリオットフィールド・モブ(!)、そして2パックに夢中になったことで、彼女の中でアメリカへの夢とヒップホップへの愛が繋がっていったのだ。地元では話の合う友人もなかった16歳の彼女は、ネット経由で自分のラップを聴かせていた相手を頼ってマイアミへ渡り、そのまま戻らなかった。

 それから6年後、22歳になったイギーはヒップホップ専門誌XXLの選ぶ〈Top 10 Freshmen〉の一人として表紙を飾っている。着実に注目の輪を大きくする彼女を後見したのは〈南部のキング〉ことT.I.だ。彼女の名を一躍有名にした最初のミックステープ『Ignorant Art』(2011年)とディプロの手掛けた『TrapGold』によって彼女のスタイルは確立されるが、その頃からさまざまなノイズが彼女を悩ませることとなっていく。

【参考動画】イギー・アゼリアの2012年のミックステープ『TrapGold』収録曲“1 800 Bone”


 

エナジーが大事

「私はすごくイライラして、怒り狂ってた。XXLの表紙に載ったことで嫌がらせをしてきた奴らに腹を立てたし、人間関係で潰されそうだったの。『TrapGold』の後は、そんなすべてを吐き出したいと思った。爽快感を味わいたくて……」。

 名声が高まるにつれて鬱憤も大きくなっていく。同業者と名指しでやり合うようなゴシップの洗礼も浴びながら、T.I.のサポートを得て昨年メジャー・デビュー、そして今年4月に発表したのがファースト・アルバム『The New Classic』だ。そこから先述の“Fancy”が大ブレイクし、リタ・オラとの“Black Widow”もそれに次ぐヒットとなったことで、今回リパッケージされたのが『Reclassified』というわけである。

IGGY AZALEA Reclassified Hustle Gang/Virgin/ユニバーサル(2014)

 アルバムでは数曲が差し替えられ、新たにムーとの“Beg For It”や、先日客演したお返しにジェニファー・ハドソンを招いた“Trouble”、さらにエリー・ゴールディングとの“Heavy Crown”などが収録されている。もとよりダーティー・サウスの影響下にあるクランクトラップに馴染み、EDM系のビートもポップに乗りこなすイギーは、批判されようと自身のスタイルをブレさせることはない。ちなみに彼女が南部のラップに傾倒したのには理由があるそうだ。

「南部のラッパーは、いろいろ気にせず、もっと楽しんでるわ。早口でラップをやると別の言語のように感じるし、リスナーもそれを全部は理解できない。そこが好き。ワルい言葉を使ってるからじゃなくて、その言い方、そのエナジーが大事なの」。

 そのエナジーが大事なのだ。

 

▼イギー・アゼリアが参加した作品の一部

左から、ショーン・ポールの2013年作『Full Frequency』(Atlantic)、ジェニファー・ロペスの2014年作『A.K.A.』(Capitol)、2014年のサントラ『Million Dollar Arm』(Interscope)
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▼『Reclassified』に参加したアーティストの作品の一部

左から、T.I.の2014年作『Paperwork』(Grand Hustle/Columbia)、リタ・オラの2012年作『Ora』(Roc Nation/Columbia)、ミューの2014年作『No Mythologies To Follow』(Chess Club/RCA)、ジェニファー・ハドソンの2014年作『JHud』(RCA)
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