LAの気鋭MCによる4年ぶりの新作がCDでも登場。スヌープ・ドッグをメンターとしながらウェッサイ流儀に止まらない折衷ぶりは、ふたたびウォーリン・キャンベルがメインで制作した今作でも変わりない。が、蕩けるようなエレピやカマシ・ワシントンの甘いサックスが郷愁を誘う地元讃歌的な“On My Way To Inglewood”など、全体を通してジャズの様式を取り入れた作風はクールで淀みないラップも含めて狭義の東海岸ヒップホップに近く、ある種の思慮深さが窺える。リズミックなビートに揺られる“Now That's Love”ではロバート・グラスパーを招き、ミュージック・ソウルチャイルドがデバージ名曲のフックを快唱。PJ・モートンやBJ・ザ・シカゴ・キッドらとの手合わせも含め、歌ゴコロに溢れた好作だ。