インタビュー

20年以上のキャリア誇るトランスの貴公子、アーミン・ヴァン・ブーレンが送るファン投票ベスト盤が映したレジェンドたる所以

【UNITED ON THE FLOOR】 Pt.3

UNITED ON THE FLOOR
[ 緊急ワイド ]今年も熱狂は終わらんよ!!

グローバルなダンスフロアを支配するハードウェルを筆頭に、EDMブーム以降の景色でムーヴメントを推進していくのはやはりこいつらだ!

 


 

ARMIN VAN BUUREN
揺るぎない帝政と、時代を超えて愛されるアンセムたち

 

 

 EDMが現象化したことの喜ばしい余波をひとつ挙げるとしたら、それはいままで旧来的な音楽ジャーナリズムの外側に置かれていたトランスユーロダンス系のクリエイターたちが、他ジャンルのアクトと同様に評されるようになったことだと思う。もちろん、そういう旧式の視点やオーヴァーグラウンド観とは関係なくダンス・ミュージックのシーンは昔から存在してきたわけで、もともとのサポーターたちにとってはあまり関係のない話なのかもしれない。とはいえ、EDMブームの範疇で語られることによって新たなリスナーが生まれたのは確かで、例えば“This Is What It Feels Like”がアーミン・ヴァン・ブーレンというレジェンドに新たな価値を与えたことは疑いないだろう。

 〈トランスの貴公子〉〈皇帝〉とも呼ばれるアーミン・ヴァン・ブーレンは76年生まれ、出身はオランダのライデンで、いわゆるダッチ・トランスのDJ/クリエイターとして20年ものキャリアを誇るヴェテランだ。〈EDM以前〉からのキャリアも圧倒的で、本国では『Imagine』がダンス・ミュージックとして初めてアルバム・チャートの1位に輝いている。また、近年でこそ大きく騒がれるDJ Magの〈Top 100 DJs〉では2007年から4年連続でNo.1に輝き(2012年も1位。2014年は3位)、流行の波や浮き沈みの激しい世界でティエストに比肩する別格的な支持を集めてきた人なのだ。

 そんな大物がEDM以降のオーディエンスに向けて提示したアルバムこそ、先述の“This Is What It Feels Like”を含む5枚目のアルバム『Intense』だった。そして、そこでまた支持層を広げた結果を受けて企画されたのが、ファン投票によるベスト盤『Armin Anthems: Ultimate Singles Collected』というわけである。前後して、ティエスト主宰(当時)のブラック・ホールに残した初期のミックスCD『Boundaries Of Imagination』(99年)もリマスター復刻されたが、改めて重鎮のキャリアを振り返る良いタイミングが今なのかもしれない。

ARMIN VAN BUUREN Armin Anthems: Ultimate Singles Collected Armada/avex trax(2014)

 「シングル・カットされたヴァージョンを見つけられなかったりして、特に昔のトラックに対する需要がたくさんあったから『Armin Anthems』のリリースを決めたんだ。ファンに投票に参加してもらって本当にたくさんの票が入ったよ。どの曲も重要だと思うけど、いくつかの曲はキャリアのなかでもかなり大事な位置付けにある。例えば“Communication”(99年)はUKのシーンで活躍できるきっかけになったし、“This Is What It Feels Like”はグラミーにノミネートされたり、“In And Out Of Love”(2008年)はYouTubeでもっとも視聴されたビデオの1つになったからね。なのでご存知の通り、キャリアの点ではこれらのトラックは重要になってくる。でも、そういったトラックを1つの〈ベスト・アルバム〉には入れたくない。だってほら、まだまだ音楽を作り続けているし、〈ベスト・アルバム〉を出すなんて凄く歳をとったように感じるよね(笑)。本当のベスト・アルバムは60歳になった時にリリースしたいな」。

 彼自身がホストを務めるプログラム〈A State Of Trance〉と連動したファン投票によって選ばれたのは、地元ライデンのレーベルから97年に発表した“Blue Fear”からドラマティックな最新シングル“Hystereo”(2014年)まで、時代を超えた問答無用のアンセムたち。優美なメロディーと壮麗なシンセが並走するアーミン節の“Burned With Desire”(2003年)、ナーヴォのペンによるエモーショナルな“Not Giving Up On Love”(2010年)、ピンポン玉を模したクリスピーな音色の飛び道具ぶりも愛された“Ping Pong”(2014年)など、音の意匠は時代の変遷を如実に照らす鏡だが、同時にそこにはブレることなくオーディエンスの期待に応え続けてきたレジェンドのレジェンドたる所以も明瞭に映し出されている。実に8度目となった来日を〈electrox〉出演で果たし、今年はオリジナル・アルバムも控えているというアーミン。その帝位はいよいよ盤石だ。 

 

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