デビュー40周年の節目を祝う会心作『Forever』に豪華なコラボ相手を迎えた〈Legendary Edition〉が登場! いつか訪れる完全復活を待ちながら、アニヴァーサリーを続けよう!
記念すべきデビュー40周年を迎えた2024年、4月にはドキュメンタリー「Thank You, Goodnight: The Bon Jovi Story」公開に続き、6月には4年ぶりのニュー・アルバム『Forever』を完成させたボン・ジョヴィ。重たいムードの前作『2020』(2020年)から一転してポジティヴな勢いに溢れたこれは全米チャートで5位まで上昇し、2016年の『This House Is Not For Sale』(全米1位)以来のTOP 5ヒットとなった。そんな結果もあってか、ジョン自身も「『Have A Nice Day』以降の作品でいちばん良い作品」で誇りに思っているという。
一方の日本ではファン投票の集計結果を反映した独自ベスト・アルバム『All Time Best 1984-2024』がリリースされてこちらもヒットし、年間洋楽アルバムの年間セールスでは2位と3位をボン・ジョヴィが獲得したというから衰えぬ人気ぶりに驚かされた。そこからさらに〈デビュー40周年イヤー〉を謳ったリリースは今年に入っても続き、84年作『Bon Jovi』と85年作『7800° Fahrenheit』、86年作『Slippery When Wet』という初期3作品に日本独自仕様のデラックス・エディションが登場したのも記憶に新しい。
そんななかで懸案だったのは『Forever』に伴うツアーが先延ばしになっていたことだろう。先述のドキュメンタリーでも明かされていたように、ジョン・ボン・ジョヴィは声帯萎縮症を患って2022年に再建手術を受け、その影響を鑑みながら制作されたのが『Forever』だったわけだが、スタジオでのレコーディングは可能でも長時間のライヴや過酷なツアーを行えるまでには喉が回復せず、残念ながらここ数年のバンドは望まれるようなパフォーマンスの機会を設けることができていなかったのだ。このたび2026年7月から始まる〈Forever Tour〉の開催が晴れて告知されたばかりだが、それまでの空白を少しでも埋めるべくバンドがリリースしたのが今回の『Forever (Legendary Edition)』だ。

これは『Forever』の収録曲すべてを豪華ゲストとのコラボ仕様にリメイクし、さらに新曲“Red, White, And Jersey”を追加収録した作品となる。もちろん迎えられたゲストは名前の豪華さだけでなく、共演することに意味や刺激が感じられる名前になっているのは言うまでもない。なお、2024年の2月にジョンは社会貢献が認められて音楽チャリティ団体のミュージケアーズ(MusiCares)が選出する〈パーソン・オブ・ザ・イヤー〉を受賞したのだが、今回の〈Legendary Edition〉に参加した面々は、ブルース・スプリングスティーンを筆頭にジェリー・ロール、レイニー・ウィルソン、ウォー&トリーティ、マーカス・キングらその授賞式のトリビュート・パフォーマンスに参加した顔ぶれとも重なっている。
これまでもボン・ジョヴィは“Who Says You Can’t Go Home”(2005年)と“Do What You Can”(2020年)でジェニファー・ネトルズ(シュガーランド)とデュエットし、他には『Lost Highway』(2007年)にもゲストとしてリアン・ライムスとビッグ&リッチを迎えたことはあったが、それらはいずれもカントリー・ミュージシャンに挑む企画という意味合いも強かったわけで、ロック・ナンバーでも別のヴォーカルが入ってくるような構成は単純に新鮮である。今作のリリースにあたって、ジョンは以下のようにコメントを寄せている。
「このアルバムは単なるコラボレーション集ではなく、必然から生まれた作品だ。声帯手術とその後のリハビリは、2024年6月に『Forever』をリリースする過程でのドキュメンタリー的な旅路だった。スタジオでのレコーディングでは十分に歌えたが、過酷なツアーで求められる歌唱にはまだ届かなかった。誇りに思っているアルバム『Forever』をツアーやプロモーションで届けられない状況のなか、私はこの窮地を救うため友人たちに協力を求めた。皆が素晴らしいシンガーであり、アーティストであり、そして何より素晴らしい人間だ。こうして新たな視点と精神を宿したアルバムが生まれたのは、〈友の助けあってこそこの世を生き抜ける〉という証なんだ。この作品をリリースする喜びと感謝は計り知れないし、アルバムにもそれが表れていると思う。こう断言できる――常に私(Me)よりも大きな存在がある、それは私たち(We)なんだ」。
そうした〈私たち〉についての詳細は下掲の楽曲紹介コラムをご覧いただくとして、今回の新作は1CDの〈通常盤〉と2CDの〈デラックス〉という2形態で登場し、いずれも高音質のSHM-CD仕様となる。日本でのみ登場する2CDのデラックス盤は、オリジナルの『Forever』も合わせた2枚組を7インチ紙ジャケでパッケージしたもので、さらに海外の公式ストアなどで限定入手できる2LP用の新曲“Fight Somebody”も追加で収録されている(同曲のCDリリースは現時点で日本盤の〈デラックス〉のみ)。危機から生まれた副産物ともいえるこの豪華な作品を楽しみつつ、完全復活の日を心待ちにしていたい。
ボン・ジョヴィの日本独自デラックス・エディションを紹介。
左から、84年作の豪華盤『Bon Jovi(Deluxe Edition)』、85年作の豪華盤『7800° Fahrenheit(Deluxe Edition)』、86年作の豪華盤『Slippery When Wet(Deluxe Edition)』(すべてMercury/ユニバーサル)
ボン・ジョヴィの近作を紹介。
左から、日本独自選曲による最新ベスト盤『All Time Best 1984-2024』、2020年作『2020』(共にIsland/ユニバーサル)