シーンの制空権は誰のもんだ? それはもちろん……オランダ!
いまの日本でもっとも幅広い層にそのサウンドを馴染ませているダンス・ミュージック系のクリエイターといえば……例えばSEKAI NO OWARI“Dragon Night”のプロデュースも手掛けるニッキー・ロメロ、あるいは三代目J Soul Brothersの“Summer Madness”も記憶に新しいアフロジャックだろうか。この両名の共通点として挙げられるのは、出身地/拠点のオランダである。
そうでなくてもDJ Magの選ぶ昨年の〈Top 100 DJs〉では、2年連続で首位に輝いたハードウェルをはじめ、3~5位にアーミン・ヴァン・ビューレン、マーティン・ギャリックス、ティエストと新旧オランダ勢がひしめき、ニッキーも8位、アフロジャックは12位にランクイン。以下13位にブラスタージャック、14位にダッシュ・ベルリン、17位には本頁の主役たるショウテック、そして18位にW&W……と、上位20組中の半分をオランダ勢が占めている。シーンの内外に轟く彼らのパワーは、(控えめに言っても)EDMファンにとってはもう一般常識ということだ。
もっとも、ティエストやアーミンは10年以上に渡って同ランキング最上位の常連だったわけだが、こうしたいわゆる旧来の〈硬派な音楽ジャーナリズム〉からスルーされてきたトランス~プログレッシヴ系の要人たちの奮闘が現況に繋がっているのは衆知の通り。いまや大手のスピニンをはじめ、ショウテックの立ち上げたスキンク、ニッキー・ロメロ主宰のプロトコル、ダイロ(前出のランク27位)やダニック(30位)らを輩出したハードウェル主宰のリヴィールドなど、イキのいいレーベルがフックアップし合う緩やかな連帯ぶりも相乗効果を生み出しているのだろう。そんな活況と支持の一般化を反映して、〈Ultra Japan〉出演に合わせたニッキーの編集盤や、リハブ(23位)のミックスCDなど、ビギナーへの入口となる鉄板曲集も増えているので、ショウテック『Essentials』も含めて、ここに掲載した作品はすべて必携だと言っておきたい。
なお、ここで挙げた以外にもフューチャー・ハウスの旗手オリヴァー・ヘルデン(34位)、プレEDM時代から人気のフェデ・ルグラン(35位)、ハードスタイル系だとアンガーフィスト(37位)やアルバムを出したばかりのワイルドスタイルズ(95位)、他にもファイアビーツ(56位)やドン・ディアブロ(82位)と、オランダには新旧の多彩な強豪がまだまだいることを付記しておこう。