インタビュー

札幌発トラックメイカー・PARKGOLF、自身の成長過程の記録とも言えるリスニングを意識したDay Tripperからの初フル作

【特集:インディー・ポップ百景】 Pt.7

IF YOU'RE READING THIS ITS (NOT) TOO LATE
[ 緊急ワイド ]インディー・ポップ百景
10年代も半ばまで過ぎました。まだそんなこと言ってんの?という声もおありでしょうが、旬も流行も浅薄な理屈も時代のムードも超えた地平で響いてほしい音楽たちは、世界中から毎日のように登場しています!

 


 

PARKGOLF
時代にホールインワンしちゃうぜ!

 

 

 「ホントにつまらない理由で申し訳ないんですけど、2012年まで名義にしていた本名が〈カッコ良すぎるから変えたほうがいい〉という、友人のBUDDHAHOUSEの意見があってスタバでダラダラ話していた結果、いつのまにか決まっていたという……最初はダサくて嫌だったんですけど、響きが良かったのと、変な名前でもずっと続けてれば変じゃなくなるという自己暗示をかけて、この名義でやっていくことになりました」。

 もちろん、その名前は少しも変じゃなくなってる。このPARKGOLFは、FOGPAKのコンピ参加やMaltine発のEP『CAT WALK』を出した一昨年から注目を広げているトラックメイカーだ。先述のBUDDHAHOUSEやQrionNinja Drinks WineDJ YENという『VANDCAMP』に集った仲間たち同様、彼も札幌を拠点とする新進の才能である。もともとは高2の時に購入したMPC1000-BKでどこに発表するでもなくヒップホップのインストを作っていたといい、MPCを選んだのはKREVAMitsu the Beatsが使っていたからだそうだ。

 「昔はポップスもヒップホップも日本のアーティストが好きでした。単純に何を言ってるかわかるからっていう理由ですけど。『新人クレバ』はラップも聴きやすいし、曲のスカスカな感じがホント良かったし、いまもたまに聴きますね。あとはJazzy Sportoil works周りも好んで聴いてました。〈間〉のある曲が好きなんだと思います」。

PARKGOLF Par Day Tripper(2015)

 ともかく、本人いわく〈作らない期間〉を経てDTMに取り組むところからPARKGOLFは始まった。ここ2年ほどの間に三回転とひとひねりスパズキッドPa's Lam SystemtofubeatsSEBASTIAN X禁断の多数決らの公式リミックスを次々と手掛け、並行して昨年にはエレガントな“Kiss Me”や“Woo Woo”を公開。今年に入ってからは天川宇宙DAOKOのプロデュースも担いつつ、それらの評判を受けて完成された初のフル・アルバムが『Par』だ。ただ、「アルバムの半分くらいは1年以上前に出来ていた」とのことで、いわゆる即時性を意識しないで作られた楽曲集ということにもなるのだろう。

 「コンセプトのあるアルバムというより、PARKGOLFとして始めてからひとまず現在まで、という成長過程の記録みたいな感じかと思います。EPならともかく、ウェイヴ・レーサーとかいわゆるフューチャー系みたいな曲でアルバムを作っても、アンセム的な曲があったとしても消費が早いし、そういうアルバムは作ってても聴いてても疲れるなという気持ちはあったので、そこは気をつけましたね。あと、“Woo Woo”以外はクラブをまったく想定してなくて、どちらかと言うと家の中や移動中に聴ける感じのものが作りたいと思っていました。完成予想図はなかったんですけど、曲を作るごとに次はこうしようみたいにバランスを取っていて、だいたい2曲作るごとにモードが変わっていたので、“Sexual attraction”と“Kiss Me”が自分の中ではセットだったり、“Glass City Billiards”と“HERSHEY'S”がセットだったりという感じでこの並び、内容になりました」。

 また今作はSeihoが主宰するDay Tripperからのリリースという点でも注目だろう。

 「Day Tripperの作品は、フィジカルでのリリースやアートワークを含めた世界観が好きですね。Seihoさんと会ったのは、僕が〈INNIT Sapporo〉に出演した2013年の6月1日が最初でした。僕が初めてライヴをする日だったし、仕事を辞めた初日だったのでとても記憶に残っています。そこからSeihoさんとはよく遊んでて、僕が“Kiss Me”をSoundCloudに上げてちょっとくらいの時に〈アルバム出そうや〉と誘ってもらったのが今回に至りました」。

 先述のアンセム群をはじめ、『VANDCAMP』で披露されていた“Purple Pulp”も収録。ゴルフ用語の〈パー〉から取られた表題は当初「『デートスポット』っていう案もありました……!!」とのことだが、何ならそれでも差し支えないほど、バウンシーなリズムで躍る幻想的なグラデーションにはどこかセクシャルな含みがあって麗しい。

 いまさら〈オンライン世代のポップス〉なんて命題を掲げる必要もなく、それはそこで鳴っていて、多くの支持を集めるものが勝手にポップスになる。PARKGOLFが鳴らすのはまさにそれだ。

 

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