UPTOWN IS KICKIN IT
永遠のアップタウン

 ジョデシィを世に出したアップタウンは、“Genius Rap”(81年)をヒットさせたラップ・デュオ、Drジキル&Mrハイドの片割れであるアンドレ・ハレルが86年に設立したプロダクション。ハレルはラッパー業と並行してラッセル・シモンズの下でビジネス修行を積み、ヒップホップ産業が巨大化していく過程を追ってきた人だ。

 マネジメントを手掛けるアルB・シュア!のブレイクに前後してMCA傘下でレーベル業も始めたアップタウンは、90年代に入るとハードコア化していくヒップホップの流れをうまく活用してそのストリート性をR&Bに注いでいくようになるのだが、その動きを推進したのがインターンから出世したパフ・ダディことショーン・コムズであり、彼が急先鋒としてシーンに投入したのがジョデシィとメアリーJ・ブライジだったのである。最初期のジョデシィはニュー・ジャック・スウィングの申し子たるガイテディ・ライリーを手本にしていたはずだが、結果的には彼らがダンサブルなガイの時代を終わらせたのだった。

【参考動画】メアリーJ・ブライジの92年作『What's The 411?』収録曲“Real Love”

 

 結果を出したコムズは独立してバッド・ボーイを立ち上げ、手腕を買われたアンドレ・ハレルもモータウンの社長に転身したことでレーベルは落日を迎えるが、アップタウン出身での兄貴分だったジェフ・レッドはMCAのA&RとしてK-Ci&ジョジョのデビューを仕掛けるなど、そこでの縁は以降もメンバーたちを照らし続けた。ディヴァンテが昨年プロデュースした新人のアンソニー・ルイスが“Candy Rain”(ソウル・フォー・リアルのカヴァー)を歌っていたことに、ニヤリとした人も多いのではないだろうか。

【参考動画】アンソニー・ルイスの2014年のシングル“Candy Rain”

 

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