今年の2月に突如として配信リリースされた、いわくつきのドレイクの新作。全体を覆うのは、ボーイ・ワンダやノア“40”シェビブらお馴染みのメンツによる〈トロント・サウンド〉とも言うべき、ダークでアトモスフェリックな雰囲気。音数は少ない独特のサウンドながら、ドレイクのフロウを存分に引き立てる。ユーモアと攻撃性、そして愛情に溢れたリリックを、幾通りものフロウに乗せてラップできるのはドレイクならではだし、今作では“Know Yourself”で顕著なように、自身の故郷や仲間に対してことさら情感豊かなラップを聴かせてくれる。リリース直前に発表されたショートフィルムを含め、どこまでもアーティスティックに、かつ内省的に表現力を高めつつある、ドレイクの真骨頂を味わえる一枚。
DRAKE
『If You’re Reading This It's Too Late』