入り口がめちゃめちゃ多くて切り口も人それぞれだけど、だからこそ各々が好きに楽しめばいいタイプの傑作だ。ハウスやバウンスのグルーヴに全振りしたダンス・アルバムで、信頼のおけるドリームをほぼ全曲に配し、ノヴァ・ウェイヴやラファエル・サディーク、ルーク・ソロモン&クリス・ペニーにハニー・ディジョン、P2Jらに舵取りを委ねたビヨンセの采配は毎度のセンスで流石。細かく見ればジェイ・Zやドレイク、070シェイク、ラッキー・デイ、ラミ・ヤコブら多彩すぎる顔ぶれがコライトに名を連ねてはいるが、そんな多様な面々が居合わせたダンスフロアでそれぞれ泣き踊りしている様子を想像しておけばいいぐらいの感じ。大胆なネタ選びも効果的で、控えめに言ってもこの10年のビヨンセ絡みではいちばん楽しい!