コラム

ガチオタ美人モデルの市川紗椰が小西康陽プロデュースでシングル・デビュー、浅川マキと鉄道から広がるディープな世界観

ガチオタ美人モデルの市川紗椰が小西康陽プロデュースでシングル・デビュー、浅川マキと鉄道から広がるディープな世界観

 美女なのにガチオタ——そんなギャップが話題を集めている市川紗椰。「sweet」「MORE」「BAILA」といった多数の女性ファッション誌で活躍するなど、本業のモデルとしての人気は言うまでもないが、一方ではそのディープすぎる趣味人としての一面(アニメ、ガンプラ、相撲、階段、ハンバーグ……)を、TVのヴァラエティー番組などで目にしたことがあるという人も多いのではないだろうか。とりわけ彼女が愛してやまないのは鉄道の世界で、老舗の専門誌「旅と鉄道」で連載を持つほど。そんな彼女が写真集と同時にリリースしたデビュー・シングル“夜が明けたら”は、列車のSEから始まる。

市川紗椰 夜が明けたら TOWER RECORDS(2015)

  この“夜が明けたら”は、昭和のアングラ・シーンにおける伝説のシンガー、浅川マキが69年に発表した(再)デビュー・シングルで、翌年のファースト・アルバム『浅川マキの世界』でも別テイクでオープニングに置かれたナンバー。列車に乗って出立する情景が描かれ、機関車のSEが入ることもあって、この曲を思いついて提案したのはプロデューサーの小西康陽だというが、もともと古いロックやフォークも自分で掘っている市川もレコードを持っていた曲だというから流石である。

 そんな縁も結ばれたレコーディングには北方寛丈(ピアノ)、河上修(ダブル・ベース/ギター)、有泉一(ドラムス)が集まり、小西と北方のアレンジによるシンプルなピアノ・トリオのアンサンブルで、雰囲気のある市川の歌声に寄り添っている。市川本人がこのために旅行先で録音してきたという列車の走行音が使用されているのもポイントだろう。

 さらに、〈ボーナス・トラック〉という名目で10トラック収録されているのは、これまで趣味で採取してきた鉄道にまつわるフィールド・レコーディングから市川が厳選したというベストな録音。それぞれ“ぼっち営業”“通り雨”“二日酔い”など独自の情趣に富んだ表題が付されているのも流石である。ジャズの調べと走行音に乗せて、彼女の世界に引き込まれるのも一興ではないだろうか——。