まだまだ知らない曲が沢山あることを思い知らされる1枚。フランスのオペラ作曲家、ブリュノーの秘曲。リュリやカンプラなど、フランスの宗教音楽の歴史は長い。これも、そんな歴史の中から生まれた傑作。トランペット6本、ハープ2台、オルガン、独唱者、(児童合唱を含む)合唱団にオーケストラという編成の壮麗な作品。途中、グレゴリオ聖歌を用いたりしながら、オペラ作曲家らしく抑揚に富んだ美しい旋律を紡いでいく。特に、ブリュノー自身が「煙のように」と表現している、消え行くようなラストの、美しさ極まりない一節は、天にも上る穏やかさ。