伝統とモダンが交差……なんて決して珍しいことではないけれど、このたびサウンドウェイから初作をリリースしたファンタズマは独自の音楽文化を育んでいる南アフリカから登場したコレクティヴということで、何となく気になった次第。

ファンタズマは、同郷のDJムジャヴァが世界的に南アフリカのゲットー・ハウス=クワイトを知らしめたワープからのヒット曲“Township Funk”でパーカッションを担当したというDJスポコをはじめ、幅広いバックグラウンドを持つメンバーが集まっているらしい。それを象徴するかのように、今回リリースされた初アルバム『Free Love』ではかの地のフォーク・ミュージックであるマスカンディを軸にしたアフリカならではな音楽を、ヒップホップやクドゥロ、エレポップ風などエレクトロニクスを駆使して今様に仕立てた一枚だ。ロッキッシュなダイナミズムを持つ楽曲はあるものの、なんとなく全体にユルいムードが流れているのもイイ感じ。