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シーンでの立ち位置

 

――2014年の年末に初ライヴを行って、そこからけっこう積極的にライヴをこなしていますよね。その辺の活動について訊きたいんですが、5月にピーチ・ケリー・ポップの来日公演に参加していて、これはSaToAとしても大きかったのでは?

【参考音源】ピーチ・ケリー・ポップの2015年作『Peach Kelli Pop III』

 

Tomoko「めっちゃ楽しかったです。あれはテンションあがりましたね。予習していったし、弾けました」

――ピーチ・ケリー・ポップ周辺のバーガーとかは聴きますか?

Tomoko「知らなかったです」

――傍から見ると、無意識かもしれないけどギター・ポップやパンクやガレージを通過した〈いま〉っぽいポップ感がバーガー的な流れとシンクロして見えるんですよね。

Tomoko「そうなんですか? 音楽を詳しく知らないからわからない……実際そんなに聴いてないですし」

――なかなか教えてもらえないなぁ……。

Tomoko「(笑)。ほんと何も聴いてなくて、何も知らないんですよ」

――しきりに言うけどほんとかな(笑)。

Tomoko「本当に知らないよね。全然対等に話せない……」

――いやいや(笑)、知識くらべじゃなくて、単純に好きなものが知りたいんです。だから遠慮なく話してください!

Tomoko「好き嫌いがはっきりしてると言えば、してるのかもしれない」

――どこかでそういう部分がないと音には出ないですしね。あと気になったのが、KiliKiliVillaのイヴェントにも出てたじゃないですか。あの周辺のパンク・シーンはいま新しくておもしろいバンドが多いと思うんですが、好きなバンドや注目しているバンドはいますか?

AmiCAR10は前から好きですね」

――CAR10カッコいいですよね! CAR10って昔のハードコア・パンクっぽいサウンドからどんどん進化して、いまはずっとディストーション・ギターにコーラスがかかりっぱなしの独創的なパンク・ロックを鳴らしてますが、SaToAの“Trees”を聴いたときに〈ギターの音が似てるな〉と思ったんです。CAR10の影響ではないと思うけど……

 【参考動画】CAR10の2015年作『RUSH TO THE FUNSPOT』収録曲“Rambunctious H-kun”

 

Sachiko「コーラスはかかってますね」

――元ネタがあるのかな?って思ったんですが、曲の最後はキュアーの“Boys Don't Cry”?

Ami「似てるって言われたけど、全然知らなかったんです」

Tomoko「後から聴いたら一緒で(笑)。私はiPodに入ってて、普通に聴いてたんですよ。でも気付かなかった」

 ――何もかもが無意識なんですね(笑)。そのほか、沢山ライヴをこなしてきたと思うんですが、ターニングポイントになったライヴはありましたか?

Ami「でもやっぱりピーチ・ケリー・ポップでやっと〈楽しい〉と思えた感じがします」

――そこまでは楽しくなかった?

Tomoko「緊張しちゃって……いまも緊張はするんですけど、ピーチ・ケリー・ポップの日は初めて笑えた」

――昨日のライヴはどうでした?

Tomoko「昨日は楽しかった」

――だんだん慣れてきてるんですね。

Tomoko「ちょっとだけ」

Ami「でもまだ緊張しますね」

――こうやってお話を訊いてると、それぞれ音楽の趣味は違うけど、シャイな部分というか性格的な部分で通じ合っているのかなと。

Tomoko「通じ合っていると思います。3人でいるとすぐ固まっちゃうので。3人でいると落ち着きます」

――練習するとき以外でも3人で遊びに行ったりするんですか?

Tomoko「ないですけど……3人で出かけたりしたいです(笑)。楽しいんじゃないかなと思って」

Ami「スタジオで会ってるから別に遊ばなくていいかな……」

――温度差が(笑)。

Tomoko「スタジオでは会ってますもんね……」

――さみしそうですね(笑)。

Tomoko「わかんない、どっちでもいいです(笑)」

――同じガールズ・バンドで意識する人たちっていますか?

Ami「男の子と対等に見られたいから特にないかも」

――男の子と対等に見られたい。

Ami「別にガールズ・バンドって感じじゃなくて、一緒の括りで見てほしいですね」

Tomoko「そのためには、上手くなればいいって結論に至ったんです。ただそれだけの話だっていう結論に至ったので」

――そういう話し合いが持たれたんですか?

Tomoko「そういうことはけっこう考えてて、でもそれ(上手くなること)以外は何もないっていうことに気付いた」

――よくそういったミーティングはするんですか?

Tomoko「ライヴ終わりはいつも反省の塊になっちゃいますね」

――じゃあWWWのときなんかは大変だったり。

Tomoko「あれは無言になりました(笑)」

Ami「無です、無(笑)」

――ガールズ・バンドに限らず、いま仲が良いバンドっているんですか?

Tomoko「浮かばない……」

Ami「いないです……」

――そんな落ち込まなくても(笑)。共演して話したりしたバンドはいますよね。

Ami「けっこう話してるんだけどね」

Tomoko「話してます。昨日もWanna-Gonnaとしゃべったし。でも本当に人見知りだからその後が続かないですね」

Ami「友達にならないですね」

【参考動画】Wanna-Gonnaの2015年作『New Town EP』収録曲“New Town”

 

――〈今度一緒にライヴやろうよ〉みたいな話にもならないんですか?

Tomoko「やりたいけど、自分たちの演奏が全然上手くないから、とにかくいまのままじゃ何も出来ないって思いますね」

――もっと自信を持っても大丈夫だと思うんですが……このインタヴュー自体が反省会みたいなノリになってないですか(笑)?

Tomoko「ほんとですよね……」

――ともかく、バンドの目標としては〈演奏が上手くなりたい〉と。

Tomoko「日々精進って感じですね、とにかく」

――アメリカにシャッグスっていうめちゃくちゃ演奏の下手な3姉妹のバンドがいるんですけど、彼女たちの場合は上手くなっちゃうとバンドの魅力も減っちゃうけど、SaToAはソングライティングがきちんとしてるからそういうジレンマはない気がするんです。

Tomoko「もっと上手くなったら、もっといい感じになれるかなとは思います」

――ちなみにシャッグスってカーペンターズのカヴァーもしてるんですが、そういう古い時代の音楽は聴きますか?

【参考音源】シャッグスによるカーペンターズ“Yesterday Once More ”のカヴァー

 

Ami「古い音楽は好きですね。昔のガールズ・コーラス・グループとか」

――“Sprout”にもそういうフィーリングはありますもんね。では最後にバンドから何かありますか?

Tomoko「これ、ちゃんと答えられてるのかな……」

――いやいや、シャイな部分がそのまま出たという意味では興味深いインタヴューになったんじゃないでしょうか。ただ、もともとシャイっぽいイメージはあったけど、まさかここまでとは思いませんでした(笑)。

Ami「ごめんなさい……」

――ごめんなさいって(笑)。でも3人だけでいるときは最強のトリオなんだろうなって印象は受けました。

Tomoko「最強って響きはヤバいですね(笑)」