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【NEW URBANe POP】Vol.11 the telephones石毛輝×LUCKY TAPES(高橋海&濱田翼)のスペシャル対談が実現!(前編)

Mikiki編集部が自信を持ってオススメしたい、ア~ベインな気鋭の若手を紹介する連載……の特別編!

【NEW URBANe POP】Vol.11 the telephones石毛輝×LUCKY TAPES(高橋海&濱田翼)のスペシャル対談が実現!(前編)

今年5月、the telephones石毛輝さんがMikikiのブログに〈僕から見た今の日本の若い人がやってる素敵な音楽〉と題した文章を寄せてくれて、そのなかでYogee New Wavesを筆頭に新世代のアーティストの名前を挙げながらこんなことを書いた――

名前を挙げさせてもらった皆さんといつか対談とかしてみたいな。
てか自分にしか出来ない対談というかインタヴューをこのMikikiであげるとかアリな気がしますね。アリなのか!?

そこにさっそく編集部が〈やりましょう〉とレスポンスしたあの日から3か月……ついにそのときが来ましたよ! ということで今回は、待望のファースト・アルバム『The SHOW』が本日8月5日にリリースされ、前述のブログで石毛さんに注目されていたLUCKY TAPESより、メインのソングライターである高橋海と、多感な時期にthe telephonesを愛聴していたというドラムスの濱田翼のお二方が輝兄さんと対談することに! 出会いのエピソードからディープな音楽話、お互いの新作の感想まで、濃い~内容となった相思相愛トークを下掲のダイジェスト動画と合わせてじっくりとご堪能ください!

★後編はこちら

 


 

イメージとは違ったお互いの印象

――今回の対談の発端は、石毛さんが若い世代のアーティストを取り上げたMikikiのブログでLUCKY TAPESの名前を挙げていて、〈自分にしか出来ない対談というかインタヴューをMikikiでやりたい〉と。それをうちが目ざとく見つけちゃったもので……。

石毛:〈よし、引っ掛かった!〉と思って(笑)。自分でもインタヴューをやろうとしていたんですよ。LUCKY TAPESや同じブログで挙げたYogee New Wavesのみんなに。若い子たちに話してもらって、俺は見守るっていうのがやりたかったんです。

――とはいえ、今日は石毛さんからどんどん訊いてもらうスタイルで進めたいなと考えていまして。そもそもLUCKY TAPESを知ったきっかけは何だったんですか?

石毛:まず最初に、Yogee New Wavesと仲良くなったんです。それで彼らに〈最近、周りにいいヤツいないの?〉って訊いたら、LUCKY TAPESだったり、ブログに書いたようなアーティストの名前がいっぱい出てきて。そこから〈ライヴを観たい!〉って話になって、YogeeがLUCKY TAPESと一緒に演る機会があるから〈来てくださいよ〉という流れになりました。渋谷のO-nestだったかな?

濱田:『Touch』のリリース・パーティーかな?

高橋:そうですね。

石毛:それとは別で、RALLYEの近越さんにはレーベルの海外アーティストの作品にコメントを依頼されたり、2~3年前から良くしていただいていて。あとは、僕のソロ作品の音楽性がわりとRALLYE寄りとも言える音なので、そういった縁もあってやりとりがありました。そしたらある日近越さんから〈今度うちから新しいバンドの作品を出すので聴いてみてください〉とLUCKY TAPESの音を先にもらったんです。

――それが『Touch』だったんですか?

石毛:『Peace and Magic』だったかな。

 

――音を聴いてみてどんな印象でしたか?

石毛:う~んと、メンバーがこんなに若いとは思わなかった(笑)。

高橋:それはよく言われます。

石毛:これまでのRALLYEにいそうな若手のイメージじゃなくて、〈これは新しい!〉と思いました。おもしろいな、と。

――実際に会ったときはどんな感じだったんですか?

石毛:O-nestの上のフロアで〈やっと会えたね〉みたいな感じで挨拶しましたね。

高橋:その前にTwitterでも少しやりとりしましたよね。

石毛:そうだったね。でも初めて会ったときは海くんとしか喋れなかったよね。バタバタしていたので、みんなに軽く挨拶したくらいで。〈海くんはどういう人かな?〉って想いがあって、職質しようと考えていたんです(笑)。そしたら思った通りのオルタナティヴな……オルタナティヴって言い方もちょっとアレだけど、いい感じに捻くれたミュージシャンだったので、とても好感が持てました(笑)。正直、僕は先輩ぶりたくないタイプの人間なので、お酒の勢いを借りてラフな雰囲気で話しかけた記憶がある(笑)。Yogeeのケンゴ(角舘健悟)にも〈敬語使わなくていいから〉と言ってるし、全然気にしなくていいんだけど……。

濱田:さすがにそれはちょっとなぁ。

石毛:一回飲めばね。

高橋:あまり飲めないんですよね。

石毛:じゃあ、一回ハッピーなヴァイヴスを共有すれば、全然大丈夫(笑)。フランクでいいと思うんだけど。

――そのnestの後に会う機会はあったんですか?

濱田:〈Shimokitazawa SOUND CRUISING〉というイヴェントに石毛さんがDJで出てはって、石毛さんとノブさん(岡本伸明:the telephones)が、僕らの出番が終わった後、機材を片付けているときに来てくれたんです。ズカズカとステージまで上がってきて〈おつかれ!〉って(笑)。すごく嬉しかったですね。

高橋:ね! あれは嬉しかった。

石毛:その日はLUCKY TAPESに合わせて会場のERAに行ったから。

高橋:そうだったんですね! ありがとうございます。

石毛:だからYogeeは観てない(笑)!

濱田:そうなんですね(笑)。時間も5時くらいでしたよね。

石毛:〈早い!〉〈眠い!〉と思って(笑)。

濱田:石毛さんは朝方、最後のほうのDJでしたもんね。

石毛:俺は3時か4時くらいだったね。ERAは昔から出演していたライヴハウスだったので、そんな場所でLUCKY TAPESを観れることがちょっと嬉しかったな。お客さんもめっちゃ入ってて〈いいぞいいぞ!〉って呟いたり(笑)。ライヴもめちゃくちゃ良かった。

高橋:nestで初めてお会いしたときに、音楽で聴いたイメージしかなくて普段からハイテンションな方だと思っていたから、結構ビックリしました(笑)。

石毛:音楽をやっているとき以外は全然普通だよね。あ、ノブはテンション高いか。あと日本語がおかしい(笑)。

高橋:でもソロ作品の音源を聴かせていただいて、すごく納得しました。

【参考動画】石毛輝の2014年作『Dark Becomes Light』収録曲“Pororoca”

 

濱田:全然違いますもんね。

石毛:最近は、ソロもthe telephonesもひとつのプロジェクトだと捉えていて。オラオラな自分がいないわけではないけど、そのバンドやプロジェクトに合わせて音楽をやるという感覚になってきたのかな。若い頃は衝動しかないじゃん。なんかもう全部が嫌いだし、全部ブッ壊したいって気持ちだったけど、歳を取ると〈あれってなんだったんだろう?〉って想いも生まれてきて。いまは純粋に音楽が好きという気持ちしかないから、合わせるようなスタンスで各プロジェクトに取り組んでる。

高橋:当時作ったプロジェクトを〈演じる〉というか……。

石毛:それに近いのかな? でも、それも結局自分が作ったものだから〈自分で自分を演じるのか?〉というか、難しくなっちゃうけど……この話はお酒を飲みながら話したい(笑)。

高橋:深い話になりそうですね。

 

タキシードとLUCKY TAPESの音像

――お互いディープな音楽話はまだしていないんですか?

石毛:そうなんです。だから〈ご飯食べに行こうよ!〉ってずっと言ってて。

高橋:僕らもアルバムの制作やらで結構忙しかったので、お互い予定が合わなくて。

――〈普段、何聴いてるの?〉みたいな会話もまだしてないんですか?

石毛:まだですね。でもなんとなくわかる(笑)。共通して好きなものもあるだろうし、僕が知らないものもあるだろうし、海くんが知らないものもあるとは思うんだけど。好きな音のセンスや精神性は近い気がしますね。

――そこを掘り下げていったときに、例えば具体的に〈このアーティストがキーになる〉という人はいますか? お互いの音楽性でこのへんが共通するんじゃないかな?みたいな。

石毛:共通項はあまりないかもしれないな……最近何聴いた? 新譜系で。

高橋タキシードとか。

石毛:タキシードいいよね!

高橋:あとトロ・イ・モワの新譜も良かったです。

石毛:まさにタキシードのことを言おうとしてたんだ。タキシードはいわゆるディスコだよね。でも音像がいまのエレクトロニック・ミュージックっぽいから、キックやスネアの音がすごく(聴感的に)近くて、貼りついて聴こえる 。でもLUCKY TAPESの新譜を聴かせてもらったら、そういう部分が……。

【参考動画】タキシードの2015年作『Tuxedo』収録曲“Number One”

 

高橋:空気感というか。

石毛:そうそう、エアー感がしっかり出ていて、ドラムなんか特にアンビエンスが強く出てる。どちらかと言うと、しっかりバンド・スタイルの音楽をやろうとしているなと感じました。マスタリングも無理に音圧を稼いだりしていないし、それはすごくいいなって。

高橋:ありがとうごいざます。

石毛:例えば、若手のイケイケなヤツがLUCKY TAPESみたいなバンドをやろうとしたら、タキシード的な〈アゲ!〉な音像にすると思うんだよね。でもそういう方向に行かない音響処理が最高だと思います。むしろカウンターになっているというか。

高橋:でも個人的には、音圧を上げたような若い世代の音にも憧れがあって。

石毛:嘘っ(笑)。

高橋:そういう音にしたいという話もあったんです。そこをエンジニアさんの意向で……。

濱田ceroを録ってる得能直也さんのアドヴァイスもあって、録り音重視にしたんです。最初はコンプレッサーすら掛けないような感じで進めて。でも、海くんや曲を作っている人のイメージは、どちらかと言うとそういう(音圧を上げる)ほうの音像に近かったので。

高橋:その中間で落ち着いた感じかな。

濱田:そうだね。自分らだけだったら、完全に音圧を上げる方向に寄せていたかもしれないので、結果としては得能さんに録ってもらってすごく良かったと思います。

石毛:音って正解/不正解はないからさ。いまはそういう運命というと大袈裟だけど、フィーリングだったわけじゃない?

濱田:そうですね、でも着地点としてはいいポイントを見つけられた気がします。

石毛:でもバキッ!とした音もいつか聴いてみたいね。

高橋:いつか試してみたいですね。

石毛:自分でセルフ・リミックスをやっちゃうとか?

高橋:実はセルフ・リミックスは一回だけやったことがあるんです。ただ録音環境がそこまで整っていないから、いつかちゃんとした環境で作ってみたいですね。

石毛:そういうときは素材を渡してくれれば。

2人:おお~!(笑)。

 

LUCKY TAPESの音楽遍歴

――話は戻るのですが、海さんが憧れると仰っていた音圧高めの音の若い世代のアーティストって、どのあたりの人たちですか?

高橋:同世代だとSuchmosとか。

【参考動画】Suchmosの2015年作『THE BAY』収録曲“YMM”

 

――なるほど。LUCKY TAPESって、もともとは打ち込みの宅録的な音から始まって、だんだん生音指向になってきているじゃないですか。ひとまずはこの方向で突き詰める感じなんですか?

高橋:前身バンドSLOW BEACHの頃から生バンドへの憧れはずっとあったんです。ただメンバーがなかなか定まらなくて、サポートを入れ替えながら作っていくなかで、デモを宅録で作るというやり方しか当時は出来なくて。生バンドをやりたかったけど、できなかったというのが実際のところです。

【参考音源】SLOW BEACHの2013年作『Lover Lover』

 

――そうだったんですね。

高橋:なので今後、打ち込みに戻ることはないと思うし、バンドはバンドとして生演奏を重視して作っていきたいですね。

――その意味では石毛さんは逆というか、the telephonesでのバンド活動を経てからソロに展開していっていますよね。

濱田:そのあたりすごく気になるんですよ。ソロは本当にRALLYE寄りというか、the telephonesとはかなり違う方向だから。

石毛:僕はポスト・ロック世代なので、わりとそっち寄りなんだよね。

濱田:ああ~!やっぱりそういうことなんですね。自分はシガー・ロスだったり、RALLYEだとカイトあたりがすごく好きなんです。

【参考動画】カイトの2012年作『Love To Be Lost』収録曲“Love To Be Lost”

 

――LUCKY TAPESのお2人は世代的にはポスト・ロックは通ってないんですか?

濱田:自分は27歳で、ほかのメンバーよりもちょっと上なんです。

高橋:僕は今年24歳で、Yogeeのケンゴと同い歳です。

石毛:そっかそっか。

濱田:だから自分が高校や大学生の頃はみんなthe telephonesを聴いてましたね。

石毛:話がポスト・ロックじゃなくなったね(笑)。

濱田:いや、それくらい世代だったんですよ(笑)。でもそれと並行して、同時期にポスト・ロックも聴いていました。キツネがちょっと流行ってきたようなタイミングで。

石毛:なるほどね。実はthe telephonesって、もともとああいう音楽をやろうとしてたわけじゃなくて、ほぼノリで組んだバンドなんだ。当時別のメンバーがいて、そいつが〈バンドやろう〉って誘ってきたんだけど、俺はその頃バンドを解散してライターにでもなろうと思っていたから〈暇だしいいかな〉って。最初はいまのメンバー3人と、その辞めた奴とでやってたの。そいつは〈Polarisみたいな曲がやりたい〉って話してたけど、俺は俺で当時海外ではディスコ・パンクニューレイヴがきてたから、そういう曲とPolaris的なまったりした曲を並行してやってて。

2人:へぇ~。

石毛:でもそれだとうまくいかないよね(笑)。それで彼が辞めて、ノブが入ることになるんだよね。ニューレイヴやディスコ・パンクはまだ日本で流行っていなかったから〈いまだったらイケるんじゃね?〉みたいなノリもあった(笑)。昔のthe telephonesって、シューゲイザーっぽかったり変拍子のインストやったり、あまり方向性が定まっていなかったんだけど、ディスコ・パンクで〈コレだ!〉って確信して。そしたらいい感じになった(笑)。

高橋:そうだったんですね(笑)。ちなみに当時海外で流行っていたディスコ系の音楽ってどんなのですか?

石毛:俺たちのときは、クラクソンズとかラプチャーレディオ4

高橋:それこそキツネあたりの流れですね。

石毛:そうだね。まさしくトゥー・ドア・シネマ・クラブとか。

【参考動画】トゥー・ドア・シネマ・クラブの2012年作『Beacon』収録曲“Handshake”

 

2人:あぁ~はいはい。

石毛:the telephonesは、外タレ系のイヴェントにオープニング・アクトなんかでよく出てたんだよね。いま挙げたようなバンドよりもインディーな連中とも一緒にやったり。あ、でもクラクソンズとは共演したよ。

――確かに当時のthe telephonesにはそういうイメージがありましたね。LUCKY TAPESの2人は、ニューレイヴやディスコ・パンクは通っていないんですか?

高橋:あんまり聴いてこなかったかな……でも、トゥー・ドア・シネマ・クラブは大好きです。

濱田:あとフォールズのファースト(『Antidotes』)。

【参考音源】フォールズが2008年に発表したファースト・アルバム『Antidotes』

 

石毛:そうだね、同じ時期かな。トゥー・ドアだと少し後だから、洗練されててイイ感じになってる。ニューレイヴやディスコ・パンクのブームは消えるのが超早かったから(笑)。シットディスコってバンドが出てきたあたりで〈終わった〉と思ったんだけど、でもthe telephonesは続けなきゃいけないし、どうしようって感じてた。俺らは海外の音とリンクしていくのが好きなんだろうね。LUCKY TAPESはそのあたりはどう?

高橋:あまり意識はしていないかも。邦楽や邦ロックも全然聴きますし。

石毛:そっかそっか。

高橋:LUCKY TAPESだと、ベースの田口(田口恵人)がブラック・ミュージックを小さい頃から聴いていて、彼が一番このバンドのグルーヴを引っ張ってるかな。

石毛:俺もずっと洋楽育ちで。日本のバンドは、Hi-STANDARDBRAHMANだったり〈AIR JAM〉界隈のバンドにはすごく衝撃を受けて好きだったけど。ところで、海くんはどんなブラック・ミュージックを聴いてたの?

高橋:小学生の頃に2000年代のUSヒットチャートに上がってくるようなR&B……アリシア・キーズジェイZだったり、カニエ・ウェストとか聴いてきましたね。

石毛メアリーJ・ブライジは?

高橋:ああ、懐かしい。

石毛:いいよね~。俺の姉は某レコード店のヒップホップ/R&Bのバイヤーだったんだよ(笑)。

高橋:そういう人たちが聴くような音楽を聴いていましたね。

――そのへんの音楽を聴いていたのに、そっちの方向には進まなかったんですね。

高橋:行かなかったですね。ただその後にJ-Popにハマって、Mr.Childrenコブクロを好きになったんです。それで高校生の頃はアコギでずっと弾き語りしていました。バンドや海外のインディーに触れたのはここ数年のことですね。

――流れがすごい(笑)。

高橋:そうですね(笑)。

石毛:ブラック・ミュージックから入っているから、こういう音楽のミックス・バランスになるんだね。おもしろい。この流れが逆だったら、もっとあざとくなってると思うんだよね。若い頃に聴く音楽って、その後とは肌への染み込み方だったり聴き方が絶対違うから。俺なんてボン・ジョヴィだからね、小学生のとき(笑)。

高橋:渋い(笑)。

石毛:そりゃあこういう大人になるよね(笑)。濱田くんは?

濱田:自分はブラック・ミュージックだと、母親がシャーデーを好きでした。ブラックとは違うけど、TOTOだったりガッツリAORが流行った時代の音楽の影響が大きいかもしれないです。

石毛:じゃあその括りを外して個人的に聴いてた音楽だと何になる?

濱田:小学校の頃はビートルズのアルバムとか……あと宇多田ヒカルさんがすごい好きでしたね。

高橋:最近CD買ってたもんね(笑)。

濱田:『First Love』のレコードがどうしても欲しくて買いました(笑)。

【参考動画】宇多田ヒカルの99年のシングル“First Love”

 

高橋:しかも大阪遠征のときに、高速のインターで。

濱田:静岡あたりに出張レコ屋みたいのが……。

石毛:あるあるあるある!

濱田:ありますよね(笑)! ギターの健介(高橋健介)はエリック・クラプトンのアルバムを買ってた。自分は、持っていなかった宇多田さんのセカンド(『Distance』)とサード(『DEEP RIVER』)を購入しました。

★後編はこちら

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