今年5月、the telephonesの石毛輝さんがMikikiのブログに〈僕から見た今の日本の若い人がやってる素敵な音楽〉と題した文章を寄せてくれて、そのなかでYogee New Wavesを筆頭に新世代のアーティストの名前を挙げながらこんなことを書いた――
名前を挙げさせてもらった皆さんといつか対談とかしてみたいな。
てか自分にしか出来ない対談というかインタヴューをこのMikikiであげるとかアリな気がしますね。アリなのか!?
そこにさっそく編集部が〈やりましょう〉とレスポンスしたあの日から3か月……ついにそのときが来ましたよ! ということで今回は、待望のファースト・アルバム『The SHOW』がリリースされたばかり&前述のブログで石毛さんに注目されていたLUCKY TAPESより、メインのソングライターである高橋海と、多感な時期にthe telephonesを愛聴していたというドラムスの濱田翼のお二方が輝兄さんと対談することに! 出会いのエピソードからディープな音楽話、お互いの新作の感想まで、濃い~内容となった相思相愛トークを下掲のダイジェスト動画と合わせてじっくりとご堪能ください!
〈洋楽〉と〈邦楽〉の世代間の受け止め方の違い、そして日本語で歌うこと
石毛:でもさ、洋楽と邦楽を隔てずフラットに聴くってことで言うと、俺の世代は周りが偏ってる奴しかいなくて(笑)、邦楽聴いた瞬間に〈それは認めない!〉みたいな風潮があった。俺らの前の世代も、洋楽と邦楽で聴く人ははっきり分かれてたよね。やっと最近になって〈両方聴いてもOK〉みたいな空気があるのかも。自分より下の世代はすごくフラットに音楽を聴いてる感じがあって、羨ましいなと思う。
2人:へぇ~。
石毛:いまは、それこそLUCKY TAPESやYogee New Wavesを聴いている若い子は〈日本の音楽聴いてます!〉って堂々と言えると思うんだよね。俺自身は自分の音楽って洋楽を意識しすぎていて、微妙なバランスのところにいるなと客観的に思うのね。でもLUCKY TAPESやYogeeは完全にフラットに吸収してて、自然だと思う。自分自身はフラットじゃないと思ってるから羨ましくてああいう記事を書いたし、素敵だなって思ってる。
高橋:〈邦楽を聴いちゃいけない〉というのはダサいと思われるということですか?
石毛:それに近いかな。混ざらないんだよね。思想が違うというか。
高橋:その感覚はわからないな……。
濱田:自分の先輩たちには若干そういう風潮があったかも。高校生の頃や先輩とバンド組んでたときに。
石毛:BOREDOMSやROVOとか、そういういわゆる難解な日本の音楽は〈カッコいい〉って認識だったの。でもJ-Popを聴いた瞬間に〈イケてない〉みたいな風潮が周りにはあって。俺はまったくそんなことは思っていないけどね。違う人もいるだろうけど、自分より上の世代はいまだにそういう人がいるような気がするな。そういう人はLUCKY TAPESや俺らみたいな音楽が出てきたときに、〈はい、英語がダメ~〉みたいなところからまず批判しはじめる(笑)。でもLUCKY TAPESは今回の新譜では日本語詞の曲にもトライしていたよね。
高橋:そうですね。
石毛:いま、すごい自然な質問の流れだった(笑)。
高橋:たしかに(笑)。でも日本語詞は初挑戦でしたね。
石毛:照れはあった?
高橋:あまりなかったかな。高校の頃にJ-Popの弾き語りをしていたから、その頃の経験だったり感覚が残っていて、日本語は自然と出てきましたね。そこまで意識してやったわけじゃなくて、まずオケを作ってからその上にメロディーと歌詞を乗せるんですけど……。
石毛:俺も一緒。
高橋:やっぱり踊れる楽曲を作ろうとするとそうなりますよね。オケから作る流れ。
石毛:そうだね、大体ドラムとベースから作って。
高橋:その過程で、オケに合う歌詞の音節だったり、音に対する言葉の乗り方が、英語よりも日本語のほうがハマる曲が出来上がってきたんです。それで思い切って日本語に挑戦してみました。
石毛:なるほどね。じゃあ逆に英語で書くときは、これは英語モノっぽいなって雰囲気で判断してるの?
高橋:そうですね、そのときのフィーリングで。
石毛:俺も一緒だ。それまでずっと英語でやってきたけど、5年前にソロで初めて日本語にトライしたの。最初はめっちゃ照れたんだ(笑)。スタジオの録音ブースで顔が赤くなって〈何歌ってんだよ、ヤベェ〉って。〈好き〉とか言ってるよどうしよう、みたいな気持ち(笑)。そういうのはなかったんだ?
高橋:ライヴだと多少はあるかもしれないけど、音源を作る過程ではほとんどないですね。ライヴで歌っていると歌詞は直接お客さんに伝わるので。
石毛:そうだね、それはわかる気がする。ところで、海くんは歌詞を客観性を持って作るの?
高橋:う~ん、どうだろう。
濱田:発声的には歌いやすそうに聴こえますけどね。
高橋:客観性はそんなにないかな。自分自身がどうしたいか、どっちに転がしたいかってことだけを考えて進めているんだと思います。こうしたら共感してもらえるとか、もっと盛り上がるんじゃないかってことは、まだあまり考えられてないですね。
石毛:自分のフィーリングが大事だと。
高橋:そうですね。
石毛:いいなぁ。俺はめちゃくちゃ照れたからさ(笑)。
高橋:英語だと表現が和らぎますもんね。多少恥ずかしい内容でも歌えてしまうというか。
石毛:俺のイメージだけど、英語だとメロディーと言葉が混ざる〈歌詞〉になるんだよね。そしていまの自分の日本語詞だと、メロディーよりもより〈言葉〉の重みを感じる歌詞に思えてしまって。日常的に日本語を使っているからだとは思うけど。
高橋:日本語だと踊るときに詞が邪魔になるって話はよく聞きます。英語だと言葉が入ってこないから音に身を委ねられるけど、ダンス・ミュージックに日本語の詞を乗せると、どうしても言葉が先に入ってきてしまう。
石毛:そういう人もいるんだ。おもしろいね。
高橋:音節的にも、日本語だと1音1音が長くなるじゃないですか。英語だと同じ音のなかにギュッと詰めこめられる。リズム的な面での違いもあるのかなと思います。
石毛:いろんな定義があるから難しい話だよね。〈ダンス・ミュージックとは何か〉って話に入っていっちゃう。
〈黒〉と〈白〉のフィーリング
――いまのお話を聞いていると、LUCKY TAPESは〈踊らせたい〉という気持ちありきで曲を作っているのかなとも思ったんですが、いかがでしょうか。
高橋:〈踊る〉というニュアンスとは少し違うかもしれないけど、身体が自然に揺れるような心地よさは大事にしてますね。
――ちょっと無理矢理ですけど、the telephonesはディスコのイメージが強いからそのあたりが共通項と言えなくもないのかなと感じて。
石毛:俺らの場合は言葉として〈ディスコ〉というワードを打ち出しているだけで、音的には最初のほうにも話題に出たディスコ・パンクに近いかな。多少はディスコ・マナーに則っているかもしれないど、音の作り方としてはどちらかというと……
高橋:ロックっぽいですよね。
石毛:そうだね。ポスト・パンクというか、根本的な部分ではオルタナティヴ・ロックやグランジが大好きだったから。新譜は割とそっちに寄せているけど、俺のイメージだとディスコ・ミュージックはジョルジオ・モロダーのようなエレクトロニックな方向なものと、最近のダフト・パンクや、もちろんシックのような生音の方向があって。ざっくりだけど。
高橋:そうですね。
石毛:その意味ではthe telephonesの〈ディスコ〉はやっぱディスコ・パンクの〈ディスコ〉なんだよね。基本は白人ロック。うちはベースの涼平(長島涼平)がとても巧いナイスなベーシストだから、そこで黒いグルーヴが出たりするんだけど、ドラムの誠治くん(松本誠治)のグルーヴがどちらかと言うとロック寄りだから、そこで生まれるグルーヴが面白くて。総じて〈黄色いな、日本人だな〉って思うんだよね(笑)。個人的にそのバランス感はおもしろいなと思って。
――LUCKY TAPESは〈黒〉〈白〉みたいなところは意識しますか?
高橋:うちはベースが真っ黒なので、そこの部分が強いんだと思います。
――白人のロックからの影響はありますか?
石毛:いわゆるイギリスのロック、オアシスやU2とかは通ってないの?
高橋:コールドプレイは好きでしたね。
濱田:アークティック・モンキーズとか。
石毛:なるほど、8ビート!
高橋:LUCKY TAPESは縦ノリの曲が1曲もなくて、どんなに激しく叩いてもどうしても横ノリになるんですよ。
石毛:それは音符的に議論しようと思えばわかりやすいんだけど……読者がおもしろくないかな(笑)。
高橋:個人的にはすごく聞きたい(笑)。
作品に対する熱量と鮮度の関係
――the telephonesは今年の11月3日にさいたまスーパーアリーナで行われるイヴェント〈Last Party~We are DISCO!!!~〉をもって活動休止に入りますが、その後の石毛さん個人の活動のプランやヴィジョンはありますか?
濱田:気になります。
石毛:いまはまだ何も考えていなくて。半年くらい前に、気軽に音源を出せるレーベルを作りたいと考えたことはありました。朝起きて曲を作って夜には出す、みたいな。
高橋:インターネット・レーベルみたいなフットワークが軽い感じの。
石毛:そうそう、そういう感覚。それのもうちょっと自分っぽいラフなやつを考えてて。でもまあ、半年経ったら考えに飽きてきた(笑)。自分のモチヴェーションが戻ってきたらやろうかなとは思ってるけどね。
濱田:いいですね。
石毛:CDって、作ってから出すまでがすごく長いよね。特にメジャーに行くと基本的には3か月くらい前までには作らなきゃいけなくて。その後作品がリリースされる前に取材を受けたりするわけだけど、正直俺たち作る側は作っているときが一番熱があるじゃん? そこが一番ピークだから、その熱が高いうちに世に出せたらという想いはあるよね。
高橋:それは僕も今回のアルバムですごく実感しました。完成したのが結構ギリギリだったんですが、作品には制作していたときの想いを込めたから。この1か月で心境も変わってきているし、次に向けて曲も作っているし……若干〈もうコレじゃない〉って感じになったりしませんか?
石毛:わかるかも(笑)! 毎回3か月もあるから、もう1回録り直したいって思うようなアイディアも浮かんだりして。もちろんその時々でベストを尽くして、そういうことがないようにはしているけど。でも1~2か月経つとさ、その間にいろんな音楽から影響を受けて〈そういう解釈があったのか、しまった!〉みたいな反省も生まれるから、最近はマスタリングが終わった後はすぐに聴かないようにしてるんだよね(笑)。そういう面もあって、一度レーベルをやったらどう思うんだろうなって。
高橋:なるほど。
石毛:楽曲ってさ、ドレミファソラシドの組み合わせとリズムの組み合わせだけだと、もう新しいものは生み出しづらいよね。どういう構成にするか、どういったサウンド/コンセプトをクリエイトしていくかで、〈新しい/新しくない〉が決まっていく時代になってきていると思うなぁ。あとは、若手のみんなとおもしろいことをやりたい。どういうやり方がいいのかな。そういえば、2人は車の免許持ってる?
――唐突ですね(笑)。
高橋:持ってないんですよ。
石毛:一緒に取り行く? みんなで合宿行こうか(笑)。
濱田:それはおもしろいですね(笑)。
シーンを発展させるために
――石毛さんから冒頭に〈先輩ぶりたくない〉というお話はありましたが、経験を重ねた先輩として石毛さんはLUCKY TAPESのどんな部分に期待しますか?
石毛:結局は自分たちがどうなりたいかってことだと思う。もっと多くのお客さんを獲得したいと思うなら、もしかしたら、いまやりたくないこともしなくちゃいけないかもしれないし。そういうヴィジョンがあるなら、そのためにどうするべきかを考えていくことも大事かも。今後音楽でご飯を食べていくためには、音楽以外の部分も考えなきゃいけない場面も多くなっていくと思うんです。不景気だし。でも、もしそういうときに苦しむことがあったら、いつでも電話をくれれば相談に乗るよ。何ができるかはわからないですけど。
高橋:心強いですね。
石毛:楽しく音楽をやるのが一番だからね。特にLUCKY TAPESはいまファースト・アルバムをリリースするタイミングで、超楽しい時期だと思う。ファースト・アルバムのツアーも1回しかないから、その時間を思う存分楽しむことが大事だよね。
濱田:とりあえずはアルバムを出して、近いところから精一杯やっていくことに集中したいですね。
高橋:無理して背伸びするんじゃなくてね。
石毛:いまはただただピュアな気持ちでいいと思う。変に頭を使いはじめて〈なんか考えはじめたぞ〉ってなるとLUCKY TAPESぽくないじゃん(笑)。
高橋:メンバーはみんな、好きな音を鳴らせていたら満足っていう人たちだから、その部分は貫き通せるかと。
石毛:そんな感じがする。
高橋:あと、フェスに沢山出たいな。
濱田:今年の野外は〈つくばロックフェス〉と〈BAYCAMP〉だけかな。来年の夏になったら、フェスも毎週のように出てみたいですね。
石毛:結構ね、キツイよ(笑)。
濱田:キツイんですか(笑)!?
石毛:ネガティヴなことはまったくないし、すごく楽しいけどね。ただ夏休みはない(笑)。今年は何本だっけな……10本!?。
スタッフ:10本です 。
石毛:夏が何か月あるんだよって話だよね(笑)。昨年も10は超えてたな。楽しいけど、そのペースが何年も続くと〈普通に夏に旅行したいな〉とか思うよ(笑)。でもさ、夏フェスみたいなロック・バンドが多い現場にLUCKY TAPESのような音楽性のバンドが入っていくことは、すごく意味のあることだと思う。
濱田:実現させたいですね。
石毛:そういう現場に新しいバンドが出て行かないと、音楽的にシーンが変わっていかないと思うんだよね。俺たちもフェスに出たことでいろんな人に知ってもらえて、さいたまスーパーアリーナや武道館でワンマン・ライヴをやれるようになった部分があると思うし。いまLUCKY TAPESがいるコミュニティーも大事だけど、そこから誰かが風穴を開けて進むということも大事なんだよね。
濱田:ほんとそうですね。
石毛:俺たちも、THE BAWDIESやQUATTRO、PILLS EMPIRE、いまNILE LONGをやってるThe Brixton Academyと一緒に〈Kings〉というイヴェントをやってたのね。最初に代官山のUNITでやったのを売り切って、次にやったLIQUIDROOMも売り切って、最後に新木場STUDIO COASTまで売り切った。そのCOASTの前あたりで俺たちとTHE BAWDIESがメジャー・デビューしたのかな。あと、俺たちはDJと一緒にやることがその当時のカルチャーの大事な要素だと思っていたから、DJチームのFREE THROWとも組んだ。そういうコンセプトでやってたら、いろいろなメディアも取り上げてくれるようになったんだ。
高橋:なるほど。
石毛:俺たちは世代的にも〈AIR JAM〉から〈シーンってこういうことか!〉というのを学んだ気がするんだよね。音楽的にはパンクじゃないけど、アティテュードを受け継ぐというか。メディアより先に、自分たちがカッコいいと思う奴らだけでイヴェントをやることで、逆にメディアに取り上げてもらうってことをやってみたかった。あと俺たちは〈Kings〉とは別に〈version 21.1〉というイヴェントもやってたんだよね。サカナクション、OGRE YOU ASSHOLE、the telephonesの3バンドでやってて、最終的には横浜アリーナで9mm Parabellum BulletやTHE BAWDIES、andymoriも呼んで世代を象徴するようなイヴェントにしてきた。もちろん、すべてを象徴してるわけではないけどね。
濱田:レヴェルが違いすぎて……(笑)。
石毛:関係性としては普通なんだけどさ。でもそんなアティテュードでやっていくと、音楽性はそのままでもうまくやっていける思う。そのほうが健全だし、精神的にもいい。何かに合わせて〈音楽性を変えなきゃ〉と考えはじめると、本来の良さを失っていく気がしてさ。そういうバンドも見てきたから、LUCKY TAPESにはそうなってほしくないと思ってる。
――石毛さんから見て、LUCKY TAPESやYogee世代のバンドやシーンはまだまだ大きくなりそうな可能性を感じますか?
石毛:そんな偉そうなことを言うのはアレですけど……すべてのバンドに大きくなる可能性はあると思っていて。というか、まずthe telephonesも最初はここまで人気が出るとは思っていなかったので、どのバンドにも可能性はあると思うんです。ただ、好きなことをやっているだけだと、そのコミュニティーのなかだけで終わっていく風景も見てきているから、結局、LUCKY TAPESがどうなりたいかが大事。
濱田:やっぱりそこなんですね。
石毛:俺たち世代の現場はいわゆる〈ロック〉を聴いてるお客さんが圧倒的に多いと思うんだけど、そういうモッシュやダイヴしか知らない人に〈踊る〉っていうカルチャーを伝えたかった。モッシュやダイブじゃなくて〈踊る〉ことを伝えたかったんだよね。
お互いの新譜について
――LUCKY TAPESのお2人は、先日にリリースされたばかりのthe telephonesのニュー・アルバム『Bye Bye Hello』を聴いてみてどうでしたか?
濱田:自分のなかのthe telephonesのイメージは、出会った頃に聴いた最初のアルバム『JAPAN』のときのイメージなんですよね。自分が若くて多感な時期で、当時はポスト・ロックのようなバンドをやっていたんですが、そのバンドと近いところがあって。音像の話ではなくて、すごく壮大なイメージを受けましたね。実はアルバムを聴かせてもらう前に武道館のライヴにお邪魔して、そこで先に何曲か聴いていたんですが、アルバム全体を通してすごく洗練されたような印象も受けました。あと、録り音がすごく綺麗やなぁと。
石毛:ありがとうございます。
高橋:壮大なスケール感というか、まさにフィナーレのような雰囲気も強く感じました。
濱田:音がシュッとしてるけど大きいというか。どないして生まれてるんやろ?
石毛:そこは30代だから(笑)。
濱田:経験の蓄積って部分は、武道館公演でもすごく感じて。音源でもそれと同じような感じ方をしました。それにしてもライヴは感動したよなぁ。
石毛:先輩の背中見せられて良かった(笑)。ちなみに『JAPAN』て2008年だっけ?
濱田:そうです。
石毛:俺が24歳のときだったから、いまの海くん一緒だよ。
高橋:えー!
石毛:といったところで俺からもLUCKY TAPESのアルバム『The SHOW』の感想を(笑)。曲だと、“夜が明けたら”って曲がとても好きです。日本語の歌と、海くんの声とメロディーがバンドのグルーヴと絡み合って。ああいう曲を聴いてときめくリスナー、特に若い子が増えたら素晴らしいよね。あと最初に戻るけど、もっとバキッとした音像で録った曲も聴いてみたい。
濱田:嬉しいですね。
石毛:出しちゃおうよ。そういうEPをサラッと作っちゃおう(笑)。
濱田:とりあえずパッとやりたいです、そういうの(笑)。
高橋:実験的にやってみたいですね。
濱田:手応えがあればアルバムにして、そのまま制作していくみたいな。
石毛:おもしろいかもね。新しい武器になるかもしれない。
高橋:1回やってみたいですね。
石毛:まだファースト・アルバムだし、これからLUCKY TAPESがどうなるのかすごく楽しみ。今後何らかの形で絡めたらいいなぁ。
――リスナーとしても両者のコラボは見たいですね。
石毛:レッドブルでも持ってレコーディングに遊びに行くかも(笑)。アナログ・シンセも持って。
濱田:それ最高ですね。
石毛:シンセとか貸すよ。アナログ・シンセいっぱい持ってるし、LUCKY TAPESに合いそうなシンセもあるから。そういう機材でその時代の音を再現するのもおもしろいかもね。いまはソフト・シンセを使ってるの?
高橋:そうですね。
石毛:あとnord? ※ヴァーチャル・アナログ・シンセサイザーの人気機種
高橋:nordはあまり使ってないかな。プラグイン・シンセを使っていて。
石毛:ソフト・シンセは何を使ってるの?
高橋:ソナーのプリセットのもので、プラグインも買い足していないです。
石毛:なるほどね。じゃあ今度レコーディングするときに教えてくれれば、マジで持って行くよ(笑)。実は俺もそれをナカコーさんからいただいて、そういう音は継承していかないといけないと思ってるんだよね。
――元スーパーカーのナカコーさんですよね。
石毛:そうです。僕の師匠です。
濱田:ああ、そうなんですね!
石毛:まあ俺が勝手に言ってるんだけどね(笑)。でも普段よく飲む間柄の人でもあり、本当にいろいろと相談にも乗ってもらっています。
濱田:ちょっと年齢は上ですよね。
石毛:今年で39歳かな?
濱田:the telephonesと同じタイミングで聴いてた覚えがあります。高校生の頃かな。
石毛:さっきの邦楽の話に戻るけど、スーパーカー、くるり、ナンバーガールは(洋楽志向の人でも聴いて)OKだったの(笑)。
濱田:なんとなくわかります(笑)。
石毛:そういうサウンド・プロダクションを試みたLUCKY TAPESのセカンド・アルバムがどうなるかも楽しみだな。でもまずはファースト・アルバムの喜びを噛み締めて、〈バンドって超いいじゃん!〉って楽しんでほしい(笑)!
濱田:どういう気持ちなんやろ……ひとまずは『The SHOW』のリアクションが楽しみですね。