コラム

実写版「進撃の巨人」と巨匠・鷺巣詩郎の幸運な出会い―彼の才能という名の“立体機動装置”は軽々とアニメの“壁”を越えてきた

(C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 (C)諫山創/講談社

 

大作とマエストロの出会いが繰り広げる新たな『進撃の巨人』

 『進撃の巨人』と『鷺巣詩郎』。この2つのキーワードで、そこに生み出されるであろう世界観を想像できたあなた。そう。それ正解です。と言い切れるくらい、どハマリする作品と作家の幸運な出会い。

鷺巣詩郎 進撃の巨人 オリジナル・サウンドトラック SPACE SHOWER MUSIC(2015)

 我々が巨大なモノに遭遇する際に、幾度となく聴かされてきた楽曲。例えば〈ゴジラ〉や〈ウルトラマン〉系のどこか宇宙を想起させる、スペイシーなアプローチから、中世や、古代、レンガ造りなどを想起させるグレゴリオ聖歌のような重厚なたたずまい。果ては「ワンダと巨像」の儚くも美しい世界観など、やっぱりこのあたりが何故か、我々ジャパニーズたちの琴線に触れることを、幾人かの天才たちは知っていて、鷺巣詩郎もその一人なのである。

 だが、今作はあまりにも有名で、あまりにも世界観が出来すぎている。アニメ版で澤野弘之Linked Horizonにより、進撃の巨人のひな型は出来上がってしまった。

【参考動画】劇場版「進撃の巨人」前編 ~紅蓮の弓矢~ 予告編映像

 

 さて、鷺巣詩郎。ティンパニーの連弾のみで、今や日本だけでなく世界中に「あッ!エヴァのあれだ」と言わせることに成功した天才が、ひな型が出来上がってしまっている『進撃の巨人』をどう料理するのか? もちろん彼の代表作『エヴァンゲリオン』も巨大なモノ、得体の知れないモノとの対峙を、そして圧倒的な“差”を音楽で描いている。いうなれば得意分野。だが、特大級の代表作を持っているがゆえに、アニメが先で実写が後の今作品。事前期待値を圧倒的なまでに超えてみせないと、ファンは納得しない。アニメの世界観に、寄せていくことはできる。だが、そこはやはりマエストロ、鷺巣詩郎。ここぞとばかりに放たれる、彼の才能という名の“立体機動装置”は軽々とそのアニメの“壁”を越えてきたのである。

 好きな演者が出ているということで、今回の実写から、初めて『進撃の巨人』に触れる方も大勢いるだろう。そのことを考えると、後進に対し、鷺巣詩郎はまた高い“壁”を残したことになるだろう。

 

INFORMATION
「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」
原作:諫山創 (講談社「別冊少年マガジン」連載中)
監督:樋口真嗣 特撮監督:尾上克郎
脚本:渡辺雄介 町山智浩 音楽:鷺巣詩郎
出演:三浦春馬 長谷川博己 水原希子/他
www.shingeki-seyo.com/

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