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HOSTESSスタッフが見どころを紹介! 〈HCW〉秘蔵エピソードも 

――では、今回の出演アーティストの見どころ、皆さんの思い入れなど聞かせていただけますか? まずは1日目のラインナップから。 

小澤「僕は、断然メルヴィンス推しです。グランジっ子だったので(笑)、当然ニルヴァーナが好きで。彼らのルーツを辿っていくうちに必然的にメルヴィンズへ辿り着きました」

メルヴィンズ(photo by Erin Broadley)

 

小澤「実は弊社で扱っているメルヴィンズのアルバムは、過去にリリースされたレア盤を2枚コンパイルした編集盤(『The Bulls & The Bees + Electroretard』)だけなんですね。今後は旧譜も取り扱っていこうかという話になってはいるのですが。で、その編集盤の権利が来た時に、結構さらっと〈これは輸入盤オンリーでいいでしょ〉みたいな風潮が社内にあったんですよ。〈ダメダメ! 何言ってんの!〉って猛反対しました(笑)。〈だってウチはソニック・ユースピクシーズダイナソーJrもやってるのに! メルヴィンズはオルタナの元祖なんだよ?〉って説得して、それで日本盤にした経緯がある。そんな彼らが、こうやってヘッドライナーを飾ってくれるのは感無量です(笑)」

北林「おそらく、ドーターやクリストファー・オウエンスドーニクあたりを聴く人たちって、メルヴィンズは普段あまり聴かないんじゃないかなと思うんです。そういう人たちが〈いい機会だし、観てみようかな〉と思ってハマってくれたら嬉しいですね。そして、そのドーターですが、現在サポート・メンバーを入れた4人でライヴをやっています。新作『Not To Disappear』がものすごくいいんですよ。スケール感もだいぶ大きくなっているし、楽曲のヴァラエティーも以前よりかなり増えている。独特の世界観を保ちつつ、ビートの速い曲まであって。その新作からどこまでやってくれるのかも含めて期待大ですね。根強いファンも多いし、個人的にも一番観たいアクトです」

2016年1月にリリースされるドーターのニュー・アルバム『Not To Disappear』収録曲“Numbers”

 

近藤「クリストファー・オウエンスは、何度かオファーしていたのですがスケジュールがうまく合わなくて。今回、最新作の『Chrissybaby Forever』という作品が、ガールズに立ち戻ったかのような内容で。私の世代って、結構熱狂的なガールズのファンが多かったので、〈この出演枠どうしようか?〉となったときに、もう一回クリストファーを呼ぼうという話になったんです。なので、個人的にかなり楽しみです」

クリストファー・オウエンスの2015年作『Chrissybaby Forever』収録曲“Selfish Feelings”

 

小澤「ドーニクは、デビュー・アルバム『Dornik』を〈タワレコメン〉にも選んでいただいて。(今回の出演は)そういうことも大きな要因だったりします。彼は所属レーベルが、ジェシー・ウェアディスクロージャーと同じPMRということで、かなり注目アーティストです。〈HCW〉では、ウィリス・アール・ビールみたいな〈謎めいた新人〉枠がこれまでもあったじゃないですか。そこでのステージからブレイクしていく、みたいな。〈HCW〉に来るお客様は、新人アーティストとの出会いを楽しみにされている方も多いと思うので、ぜひ観ていただけたらと」

ドーニクの2015年作『Dornik』収録曲“Strong”

 

――続いて2日目はどうでしょう。

近藤「ブロック・パーティーは新メンバーのジャスティン・ハリス(ベース)、ルイーズ・ バートル(ドラムス)が加入して、楽曲もこれまでの彼らとは全然違います。新作『HYMNS』のリリース間近ということで、UKではソールドアウトの公演が続出している、そのタイミングで来日を選んでくれたのは、とても嬉しいです。以前も〈HCW〉でヘッドライナーを務めてくれているので、繋がりが深いバンドの一つかなと思っています。

ブロック・パーティーは2012年6月の〈HCW〉でもヘッドライナーを務めた(Photo by Kazumichi Kokei)

 

――今回、ブロック・パーティー以外にも、ミステリー・ジェッツボヒカズ、ドーターと、出演者の半分が2回目の登場です。〈新鮮さが足りないんじゃないの?〉というシビアな意見もチラホラ聞こえてきますが……?

北林「まあ、長くやってるとどうしても被ってきちゃうんですよね(笑)。でも、〈フジロック〉だと〈またか!〉みたいなことはあまり言われなくて、(同じ出演者が)あたりまえのように何度も来ているじゃないですか。だから、逆にそういう反応が返ってくるっていうのが、われわれとしてはおもしろいなと。フレッシュなものを、常に求めてきてくださっているからなのかなとも思いますし」

――確かにそうですね。

近藤「例えば、昨年〈HCW〉に出演したときはトップバッターだったボヒカズは、〈フジロック〉を経て今回は2番目に登場します。今後ヘッドライナーへと成長していったら嬉しいですし、その成長過程をオーディエンスとも共有して、〈お帰りなさい!〉っていうふうに歓迎してもらえたら嬉しいです」

ボヒカズの2014年〈HCW〉での“XXX”パフォーマンス映像

 

小澤「ミステリー・ジェッツは、とにかくプラグが新作『Curve Of The Earth』を大絶賛していて。チャットからメールから、とにかく〈最高だからお前も聴け!〉と(笑)。確かに、社長がそう言うくらいとんでもないアルバムです」

北林「いま、オフィス・チャートでダントツ1位ですね(笑)」

近藤「壮大な作風で、聴いた人が声を揃えて〈ピンク・フロイドっぽい〉って。海外の業界人たちもみんな、〈これはもう間違いなく2016年のベスト・アルバムだ〉って言ってるそうですよ、早くも(笑)。ベーシストも替わって、新たな境地に達したんじゃないかと。個人的には、『Twenty One』(2008年)というアルバムが青春の1枚っていうくらい大ファンなのですが、実はまだ一度もライヴを観たことがなくて。なので今回、ステージを観たら感極まりそうです(笑)」

ミステリー・ジェッツの2008年作『Twenty One』収録曲“Young Love”

 

北林「(本取材の時点で)ティーザー映像しか公開されてないし、おそらく、ライヴで新作の曲をやってくれたら世界でどこよりも早く聴けることになりますよ」

近藤「2日目はUKのバンドが並んだので、USインディーのファンにも刺さる出演者ということでジュリア・ホルターを呼びました」

小澤「最新作『Have You In My Wilderness』は、3枚目のアルバムにして日本デビュー盤となります。海外での評価は高いですが、日本では一部の熱心な音楽ファン以外、知名度もこれからというところで、この並びにしました。新作はすごく評判がいいのでライヴも楽しみにしています」

ジュリア・ホルターの2015年作『Have You In My Wilderness』収録曲“Sea Calls Me Home”のスタジオ・セッション映像

 

――ところで、これまでの〈HCW〉で特に印象に残っていること、エピソードなどありますか?

北林「個人的なエピソードなんですが、大変だったのは去年の2月、モグワイが出た回です。前日にものすごい大雪が降って、そのなかでアウスゲイルのショウケース・ライヴを品川のアイスランド大使館で行ったんですね。それが終わって、一旦オフィスに戻ってから終電で帰ろうと思ったら、途中で電車が停まってしまって。電車の中に8時間閉じ込められたんですよ。寒くて一睡もできぬまま自宅の最寄り駅まで戻ったんですけど、そこでも雪が積もってて帰るに帰れず、そのままコーストにトンボ帰りしたっていう。死ぬほど辛かったですね」

小澤「あのときは飛行機が無事に飛ぶのかも微妙で、モグワイがちゃんと到着するのかわからなかったんですよね。結局、無事に全アーティスト来日できて、お客さんも8~9割来てくださったのでホッとしたんですけど。ただ、新木場の駅前は雪溶け水でプールみたいになってました(笑)。しかも、僕は雪とは関係なく、物販で出すCDを半分忘れてくるっていう大粗相をしました(笑)」

一同「ハハハハ(笑)」

小澤「雪を掻き分けながら、慌てて事務所に戻ったのを覚えています」

北林「特に初期の頃は、手探りでやっていたからいろいろ大変でしたね。ただ、お客さん周りの事故が一つもないのはありがたいな、と。本当に大人の方たちばかりで。〈HCW〉はお客さん、アーティスト、HOSTESSのスタッフがみんなで手探りで作ってきたフェスという気がします」

――そこが最大の魅力なのかもしれないですね。アーティストもみんな、とても居心地が良さそうですし。

小澤「〈HCW〉に出演しないアーティストも遊びに来たりしてますからね。前にゴティエが2日間ともフラッと遊びに来て、ヴァンパイア・ウィークエンドダーティ・プロジェクターズを観ていました。ダーティ・プロジェクターズの大ファンだったみたいで、その後一緒に飲みに行ったそうです」

近藤「今年2月の〈HCW〉では、リアル・エステートのメンバーが、普通にフードコートでご飯食べてましたね。昨年6月の回では、(スタジオコーストの)バックステージのプールサイドでバーベキューもやったりして。そこでアーティスト同士の交流も深まったりして。〈HCW〉はそういうことがよく起きるフェスですね」

小澤「これまで、サイン会を断った出演者も思い浮かばないです。みんなファンとの交流を楽しみにしていて。ナショナルがサイン会をやっている光景とか、僕らもなんだか不思議でした(笑)。サーストン・ムーアもダイナソーJrもやりましたし、キャット・パワーも時間延長にはなりましたがなんとか実現して。〈終電は大丈夫?〉なんて心配もしてくれたけど、本人が延ばしてたっていう(笑)」

――では最後に、ちょっと気が早いですが、次回の予定など答えられる範囲で教えてもらえますか?

近藤「うーん(笑)。〈まだまだ、THE ENDじゃないよ!〉とだけ言っておきましょう!」
 


 

 

Hostess Club Weekender
日時/会場:2015年11月22日(日)、23日(月・祝) 東京・新木場スタジオコースト
開場/開演:12:30/13:30
出演:〈22日〉Melvins / Daughter / Christopher Owens / Dornik
〈23日〉Bloc Party / Mystery Jets / The Bohicas / Julia Holter
チケット:通常2日通し券/13,900円(税込/両日1D別)
通常1日券/8,500円(税込/両日1D別)
イープラス
チケットぴあ(Pコード:279-443)
ローソンチケット(Lコード:78690)
楽天チケット
http://ynos.tv/hostessclub/schedule/201511weekender/ticket