美しく咲き誇る日本のフィメール・メタル/ハード・ロックの2015年の動向と注目作品を振り返るよ!

 相変わらず好景気のフィメール・メタル・シーン。その牽引役であるAldiousの新作が発表されたタイミングで、界隈の2015年の動向もおさらいしておこう。

※Aldiousの新作『Radiant A』についてのインタヴューはこちら

 まず、bounceで継続して紹介している若手では、ヴィジュアル面を含めてポップな方向へ移行しつつあるCyntiaや、キャッチーなメロとシンフォニックな様式美を元に中世ヨーロッパ的な音世界を築くCROSS VEINのフル作が春先に立て続けて登場。また、アニメタルも謎の女性ヴォーカル・Queen.Mを迎えて〈二代目〉へ新装し、昨年はクラシックとポップスの融合を図っていたAKANE LIVも、新曲入りのベスト盤を携えて鋼鉄界へ帰還。さらには同シーンで活動する女性ギタリスト、Rie a.k.a. Suzakuの新作『Noah's Ark』も到着したり、年明けには女王・浜田麻里のニュー・アルバム『Mission』も控えていたりと話題には事欠かない。この賑わいはまだまだ続きそうだ。 *bounce編集部

 

Raglaia Creation Across(2015)

元Aldiousのヴォーカル、RAMIを擁する男女混合の4人組。既発のシングル2枚ではメタリックな音像を印象付けたが、このファースト・フル・アルバムでは清春が提供した“Remember”やGALNERYUSの鍵盤奏者であるYUHKIを迎えたウェディング曲“Perfect Half”など曲調を広げ、豪華ゲスト陣の演奏も聴きどころ。 *荒金

 

 

HEAD PHONES PRESIDENT alteration TONIC code/RADTONE(2015)

今年で結成15年目を迎えた彼らは、新曲+過去曲のリテイク+リミックスから成る記念盤を発表。初期は〈コーンの女版〉と言われていたが、現在はANZAの妖艶な歌い回しを活かしたヘヴィーにトグロを巻く音像で迫ってくる。本作はメロディーをより際立たせたアレンジが多く、唯一無二の重厚な暗黒サウンドを突き詰めた仕上がり。 *荒金

 

 

Mary's Blood Bloody Palace ビクター(2015)

4人組ガールズ・メタル・バンドによるメジャーからの2作目。テクニカルな演奏に支えられるフレーズをスリリングに散りばめた硬派な楽曲が多いなか、鍵盤を用いたバラード風の“Infinite Love”でもその作曲能力を光らせる。加えて、男顔負けの豪放かつ繊細なSAKIのギターも多様な曲調に華を添えるカッコ良さ。 *荒金

 

 

Roman so Words Es Roman so Words(2015)

MinstreliXのキーボーディストとして活動していたYuiが、ヴォーカルに己稀を迎えて2010年にスタートさせたユニット。メロスピシンフォニック・メタルを基調に、フォルクローレなどさまざまな音楽要素をミックスさせたサウンドで駆け抜ける物語音楽は、とにかく壮大かつドラマティック。3年ぶりのこの新作には約20分の組曲も。 *山口

 

 

Octaviagrace RESONANT CINEMA Walkure(2015)

CROSS VEINやArt Of GradationAlbionといった技巧派集団の元メンバーが集結し、2015年に始動。骨太なサウンドにメタル然としたギター・リフ、要所で顔を出すプログレッシヴな変拍子、そしてRoman so Wordsでも活動しているヴォーカルの実稀が歌い上げる耳馴染みの良いメロディーと、走・攻・守が揃っている印象だ。 *山口

 

 

BAND-MAID® New Beginning Gump(2015)

メイド喫茶で働いていたヴォーカル/ギターの小鳩ミクを中心に結成された5人組。メイド服とハード・ロック/メタル路線の音楽性で、最大級の〈ギャップ萌え〉を狙った楽曲が勢揃い。特にこの2枚目のミニ・アルバムは、彩姫を主軸に小鳩とのツイン・ヴォーカル体制でヘヴィーな方向性に舵を切った、新章突入の一枚。 *荒金

 

 

SHOW-YA PROGRESS ユニバーサル(2015)

日本のガールズ・ロック・バンドのパイオニアであり、いまなおハード・ロック魂を熱く燃え滾らせているシーンのカリスマ。日比谷野外音楽堂を舞台に87年から続く企画イヴェント〈NAONのYAON〉には、ここで紹介されているバンドも多数出演。さらに本デビュー30周年記念盤には、リスペクトを公言していた安室奈美恵も参加!  *山口

 

 

Gacharic Spin MUSIC BATTLER ビクター(2015)

メタルもハード・ロックもアイドル・ポップも呑み込んだ、魅せて聴かせる〈全力エンターテイメント・ガールズ・バンド〉。ド派手な出で立ちやパフォーマーを擁するアグレッシヴなステージングにまず目を奪われるが、教則DVDを出しているほどの楽器隊のスキルや、それに裏打ちされた多様性のある楽曲のキャッチーさにも注目を。 *山口

 

 

Unlucky Morpheus VAMPIR Unlucky Morpheus(2015)

〈ヴァンパイア〉をコンセプトに掲げたこのバンドは、メロスピ/シンフォニック・メタル好きにぜひお薦めしたい。パワフルな声量を誇る女性ヴォーカルが素晴らしく、いわゆる〈クサメタル〉好きも唸らせそうなダイナミックかつ哀愁溢れるメロディーも特徴的だ。電気式華憐音楽集団“Vampire”のカヴァーも見事にハマッている。 *荒金

 

 

Mardelas 千羽鶴 -Thousand Cranes- ネクサス(2015)

メンバーは元DESTROSE蛇石マリナSCREAMING SYMPHONY及川樹京、元LIGHT BRINGERhibiki弓田"Yumi"秀明の4人。この新シングルでは持ち前の重厚でテクニカルなサウンドに艶やかさが加わり、より激情的なものに。一度聴いたら忘れられない、強烈なビブラートを効かせた蛇石のパワフルな歌声がより映えている。 *山口