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HE IS...A WIZZARD!?
ロイ・ウッドは変人なの?

 66年にムーヴのリーダーとして英国ロック・シーンに登場したロイ・ウッドは、ELOの創設者であるにもかかわらず、2作目『ELO 2』を録音中に脱退。以後はド派手なメイクにギラギラの衣装を纏ったグラム風味のウィザードというグループを組んだりしながらも、主にソロで活動を続けてきた。そのソロでは基本的にほぼすべての楽器を演奏し、歌はもちろん、編曲やプロデュース、しまいにはジャケまでみずから手掛けてしまうほど、才能とアイデアがドバドバ流れ出て止まらない人なのである。

 そんなロイには〈変人〉や〈奇才〉というレッテルが貼られがちなのだが、フィル・スペクターウォール・オブ・サウンドを完全消化した分厚くカラフルなアレンジや、キャッチーなメロディーを次々と量産するポップ職人としてのセンスは天下一品。彼のマジカルでギミック過剰な音楽作法は大滝詠一にも大きな影響を与えていて、とりわけウィザードの“See My Baby Jive”“Angel Fingers”あたりは全ナイアガラー必聴だ。ソングライターとしての力量ではジェフ・リンすら上回っている、と言っても決して過言じゃないだろう。だからこそ、ロイとジェフの世間的な評価が天と地ほど開いてしまっているのが、ファンとしてちょいと歯痒かったりもする。 *北爪啓之