OPUS OF THE YEAR 2015
[特集]2015年の100枚+
ゆく年くる年。ゆく音くる音。ゆきゆきて音楽――2015年もいい作品は山ほどあった!という毎度の感慨と共に素敵な新年を迎えたいものです。でも、まだ安心し……ないでください、ここで紹介する作品を聴かずして、新しい年はやって来ないですよ!
★Pt.1 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 1⇒25
★Pt.2 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 26⇒50
★Pt.3 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 51⇒75
★Pt.5 改めて、2015年ってどうだった? bounce編集部スタッフによる座談会
JUST A TOUCH OF 100
bounceの選ぶ2015年の100枚 76⇒100
ヴェイパーウェイヴの英雄が表に飛び出たのも象徴的なトピック。作り方云々はさておき、ザップの来日でも沸いたこの年に、タキシードを着こなしてプロム王を名乗った彼の音は、トレンディーなポップスとして楽しめました。 *山西
カニエ周りの仕事とミクステで名を上げ、2015年はマドンナの作品にも馳せ参じたロデオ・ボーイは、酩酊感たっぷりの本デビュー作で全米3位を奪取! 恋人リアーナの次作にも、大きな影響を及ぼしている模様!? *北野
SMAPに平井堅、和田アキ子と大物仕事が増えるなか、このメジャー2作目ではKREVAや小室哲哉も交えてビッグなパーティーを開催! Dream Amiを迎えた表題曲に代表される圧倒的なポジティヴ感が世界を覆う日は近い!? *北野
霧の奥に浮かぶ“The Hills”も印象的な2作目ながら、マイケル・ジャクソン気分の“Can't Feel My Face”は2015年を代表するデカい一曲に。終末感から週末感への象徴的なシフトは、多様な界隈に当てはまる動きだったかも。 *出嶌
新たな声がドラムンベースやグライム経由で羽ばたくというUKの伝統において、その最新鋭がルディメンタル曲で有名な彼女。MOBOも授かったマッシヴな実力はこの処女作でも全開だった。動いてるとこも妙に可愛くて最高! *出嶌
全米1位の本作で与えた衝撃、客演仕事の急増ぶりなど、ヒップホップの新人王はこのトラップ野郎でキマリ! ベースの立った毒々しいオケとラガな臭いもする歌っぽいフロウに興奮しない人とは、友達になれないね。大好物。 *山西
サイケを謳うならこれくらい滅茶苦茶であってほしいもの。ずっと躁状態で、曲の切れ目は曖昧だし、効果音も突飛。MGMTをグラム・ロック化したような彼らは、テイム・インパラを頂点とする動きのなかでも浮きまくりでした。 *山西
ここ数年、自身の運営するエグロも含めてUKのクラブ・シーンで名を響かせてきた俊英が、初作を届けてくれたのも2015年の忘れ難き話題。ジャズや現代音楽の素養も覗くアカデミックな内容は、OPNやアルカと並べて楽しめた。 *北野
2015年も良作を連発したPlaywrightの先頭をひた走るピアノ・トリオは、年内に3枚のアルバムをリリースするという宣言をきっちりと実行。さらにはTVドラマの劇伴も担当するなど、ジャズと大衆性との橋渡し役に。 *土田
何でもディケイドで括っておくような安直さとは明らかに一線を画す、80年代を装った90年代、の皮をかぶった2015年式のラヴリーなリリカル・ポップ。アーバンでもサバーバンでもどっちでもいいけど、文句ナシの収穫でした。 *出嶌
ジャム&ルイスと再会し、雨音使いのスロウ・ジャムで懐かしさをもたらしながら、ミネアポリス・ファンク再評価も味方につけてイマっぽく自分らしさを誇示。その完全復活ぶりは、14年ぶりの来日公演の評判からも窺えました。 *山西
トロピカル・ハウス人気にも後押しされ、先行曲が全米No.1に。このジャマイカ男子が吹き込んだ熱帯ムードは、R・シティとも共鳴してより広がりつつあります。で、2016年にはクリフトン・ディロンが後見するサマンサJの……! *山西
ここ数年続くアンビエント~ドローン景気の発端は、いまやスタンダードとなった自身の静なる前衛性を、ノイズ混じりの動的な攻撃性へ転向。ボカロ風の音声合成も使用し、ポップソングの〈ポスト〉も披露してみせた。 *土田
さまざまな局面で〈ハウス〉がキーとなった欧州の2015年、その熱をディープ・ハウスとして印象づけてきたドイツの駒鳥は、大ネタ使いの甘い“Sugar”などでさらにメインストリームに浸透。このマイルドな流れはまだ続くはず。 *出嶌
〈メジャー・アーティスト〉に噛みつく“もう実家帰りなよ”を前フリにあっさりメジャー入りしたヒップホップ・バンドは、本作でもユーモアと毒を武器に変わらぬ〈ゆとり〉を誇示。メンバーが重複するSuchmosの躍進も忘れずに! *北野
米津玄師がチャートの頂点に登り詰めた2015年の暮れ、同じくネット・カルチャーから浮上した17歳のブライテスト・ホープが歌うようなフロウで描いた〈空虚な世界〉。この新しい波は新年にかけて多方面に浸透していくはず。 *北野
ケンドリックやドレーの最新作にNWAの映画の公開と、話題が尽きない2015年のコンプトン。同地の流れを汲むこのMCも、存在感を誇示するかの如く2連作を発表。幕の内的な内容で、西海岸の新旧の顔とマナーを堪能できる。 *土田
〈16歳の衝撃〉を与えたMCの3作目。女の子や仲間、パーティーを題材とするリリックにはいまだ20歳というフレッシュさも感じるが、煙る音像に浮かぶストーンドなフロウの頼もしさといったら! インディーR&B好きにもハマる? *土田
アトモスフェリックに翳るディストピアのなかで〈セックスと悲しいこと〉を口にした初作が全米2位を記録。率直な物言いとヴィヴィッドなヴィジュアルを元に、20歳の才媛はラナ・デル・レイやロードに続く新ヒロインの座へ。 *土田
SAKEROCKの〈SAYONARA〉とすれ違うように、カーテンを開けて外の空気を吸い込んだ爽快作。時流と袖を擦り合いつつもオーセンティックなAOR歌謡に仕立てた陽性のバランス感は、新年のお茶の間も踊らせてくれるでしょう! *出嶌
ビートルズ『1』の特装盤と同時期に届いた15年ぶりの本作でも、“Imagine”似の冒頭から甲虫愛を開陳し、その変わらぬELO節に歓喜。ブライアン・アダムス仕事然り、己の信じる道を頑なに突き進む姿が眩しかった。 *山西
泣いてバズって完全に失地回復。意外にも初の全米1位だった“What Do You Mean?”ではトロピカル・ハウスを導入し、スクリレックス人脈でブラック・ダイアモンズも動員。一歩先を狙うポップな先鋭性にまんまとヤラれました。 *出嶌
エイコンやリアーナ、アイヤズらのヒット曲を手掛けてきたカリブ出身の兄弟が、アダム・レヴィーンを迎えた“Locked Away”を含む本作でついにブレイク! アーバン・ポップの最前線で島音楽人気をさらに加速させました。 *北野
名門PIZZA OF DEATHの秘蔵っ子は、〈エロかっこいい〉隣の兄ちゃん風情の初フル作でオリコン4位を獲得。この3人と04 Limited Sazabysらを急先鋒に、日本のパンク・シーンがふたたび〈境界線〉の外側へ侵攻しつつある気が。 *土田
パワフル歌唱をドンと立たせた怒涛のピアノ・バラードで大衆の心を鷲掴み。各賞を総なめにした『21』も、エミリー・サンデーやサム・スミスも、この怪物盤のお膳立てにすぎなかった!?と思えるほどです。本当に震えました。 *山西