【PEOPLE TREE】
エレクトリック・ライト・オーケストラ
ロックンロールをシンフォニックに表現してみよう、きっとそこには誰もまだ見たことのない魔法のような世界が広がっているはずだから――希望を胸に、エレ クトリック・ライト・オーケストラは飛び立った。あれから45年。ジェフ・リンの描く煌びやかな光は、いまなお私たちを虜にし続ける。しばしの休息を挿 み、大いなるコスモスをめざして離陸のサインが点灯しはじめた。夢の時間はまだ終わらない……

★Pt.1 コラム〈ELO/ジェフ・リンの足跡〉はこちら
★Pt.2 コラム〈ELOサウンドの構成要素/ロイ・ウッド〉はこちら

 


DISCOGRAPHIC ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA
ELOを知るための10枚

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA The Electric Light Orchestra Harvest(1971)

ロック・コンボと弦楽隊を合体させ、夢のポップ・オーケストラが具現化した初作。プログレ然とした楽曲が並び、ロイ・ウッドの重厚なチェロやジェフのクラシカルなピアノを立たせながら、個性の塊のような2人のバランスを上手い具合に取っていて興味深い。“Eleanor Rigby”的な“Look At Me Now”ほか、ビートルズの残像も随所にあり。

 

 

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA On The Third Day Jet/ソニー(1973)

ロイが離脱し、ジェフが舵を取るようになってから2枚目となるこの通算3作目では、グリーグを引用するなど従来通りクラシックの素養を表に出しつつも、コンパクトでわかりやすい楽曲が徐々に増えはじめた。フィリー・ソウルっぽい手触りの“Showdown”や、レノン風のメロディーが胸を打つバラード“Bluebird Is Dead”はここに収録。

 

 

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA Face The Music Jet/ソニー(1975)

電気椅子のアートワークから漂う深刻な空気。ミュージック・コンクレート風の導入部に触れ、どんな重たい世界が展開されるのかと思いきや、ソウル味を塗した“Evil Woman”や爽やかなファルセットが効いた“Strange Magic”など、以降は耳馴染みの良い曲が控えており、聴後感は実に晴れやか。そんな本作はミュンヘンで録音。

 

 

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA A New World Record Jet/ソニー(1976)

トレードマークの円盤が初登場した6作目。お決まりの大仰なオープニングを抜けると、軽快なロックンロールと煌びやかなシンフォニーが絡み合った、胸躍るポップ・ワールドが広がり、いつしか耳のなかはキラキラした粒子で溢れ返ってしまう。これぞELOの醍醐味。初めて全米チャートTOP5入りを果たした本作より黄金期が幕を開ける。

 

 

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA Out Of The Blue Jet/ソニー(1977)

長岡秀星がジャケを手掛けた初の2枚組。最高傑作との呼び声も高く、クラシック音楽由来の壮大なスケールを湛えた初期音源と、歌メロを重視した80年代以降の比較的シンプルなサウンドとの中間に位置するような音作りで、“Mr. Blue Sky”など名曲だらけ。溢れんばかりの創造性を発揮していくジェフ船長の姿が、沖田艦長ばりに頼もしい。

 

 

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA Discovery Jet/ソニー(1979)

鍵盤の占める割合が上がったこの8作目も、目の覚めるようなポップソングのオンパレード。めくるめくディスコ・サウンドにメロウなバラードなど当時の流行を採り入れつつ、最終的にはELO流の娯楽盤に仕上げてしまう力技が凄い。ヴォコーダー使いの“The Diary Of Horace Wimp”は、70s英国ポップを代表する名品と言えるだろう。

 

 

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA Xanadu Jet(1980)

オリヴィア・ニュートン・ジョン主演の映画サントラで、LP盤では片面ずつをELOと彼女が分け合う作りに。引き続きディスコ路線の眩く光るナンバーがひしめき、なかでもオリヴィアをヴォーカルに据えた表題曲は世界中のチャートで1位を記録するなど大ヒット!自身の曲でもっとも好きなナンバーだと、後にジェフも語っている。

 

 

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA Time Jet/ソニー(1981)

シンセ主体のプロダクションを一段と推し進め、近未来の宇宙生活を描いたコンセプト作品だ。煌めき度の高い音色を効果的に使用しているおかげで、スペイシーな感覚もグンとアップ。TVドラマ「電車男」の主題歌としてリヴァイヴァル・ヒットした“Twilight”での、空飛ぶ汽車が星空を駆けていくようなサウンド・デザインは必聴。

 

 

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA Balance Of Power Jet/ソニー(1986)

ジェフ、ベヴ、リチャードだけになったこの11作目は、ストリングスの登場頻度が著しく減り、80s的な意匠を持つデジタル風味の曲が揃えられている。が、ロイ・オービソンっぽい歌唱を披露するなど、ELO節は至るところで堪能可能だ。当時ヒットしなかったのが信じ難い。バンドは本作をもって活動を休止することとなる。

 

 

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA Zoom Epic(2001)

裏方として引っ張りだこだったジェフが、15年ぶりにELO号の操縦席に就いた一枚。ギターがワイルドに鳴り響く重量感たっぷりの出来で、黄昏色したメロディーに円熟を感じる。久々の飛行はとても安定していて、聴き込むごとに味が染み出す魅力があり、ジョージ・ハリソンリンゴ・スターの客演も話題を呼んだ。

 

OTHERDISCOGRAPHIC
ALBUM

ELO 2(1973)
Eldorado(1974)
Secret Messages(1983)
Alone In The Universe(2015)

LIVE ALBUM
The Night The Light Went On: In Long Beach(1974)
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