24年ぶりの完全セルフ・プロデュース、という点がトピックの45周年記念作。珍妙なサーカス音楽のような“愛される事減ってきたんじゃない、ない”や“六拍子のワルツ”ほかユーモラスで幻想的な世界観が広がる作品に仕上がったが、毒と痛みに溢れた歌詞の内容といい、彼にしか描き出しえない重喜劇が展開していく。あだち麗三郎上野洋子ら愉快な仲間たちの応援も楽しい新版〈SUZUKI白書〉。長い付き合いになりそうだ。

 


未だ見知らぬ世界に対して浪漫を掻き立ててくれる音楽作品をいつでも送り届けてきてくれた慶一氏。その創作活動はポップ・ミュージックのフィールドだけに止まらず映画音楽、ゲームミュージックにも及んでいるが、熱烈ファンの多くが氏の音楽的好奇心や冒険心、溢れ出るような遊び心とロマンチシズムが散りばめられたポップ・アルバムを切望していたはず。なので、そうした要素がこれでもか!というくらい満載された本作の登場は、思わず“万歳!“と叫んでしまいそうな快事件だろう。キャリア45周年という港に一時停泊しても慶一号は遥か大海原に向かいこうしてまた(浪漫を求め)出航して行くのです。