戦後日本でのジャズの発展は独特で、銀巴里、モカンボ、ジャズ・ギャラリー8、新宿ピットイン(旧)などの名ライヴ・スポットに去来したミュージシャン、関係者による足跡(そくせき)が興味深い。本書は秋吉敏子、渡辺貞夫、“Dr.ジャズ”内田修、TBM藤井武、名エンジニア岩味潔ら、その当事者であった人々27人の貴重な証言集。読み進んでいくと、各人それぞれの記憶を元に語られている中で、関わった人物名(伝説のピアニスト、守安祥太郎など)や現場でのエピソードなど、いくつかの“共通項”があり、トータルでは話がひとつのヒストリーとして繋がっていく。昭和という時代が灯し続けるジャズの記憶だ。