Page 2 / 2 1ページ目から読む

LASTを更新してきたスガ シカオの近年の足取り

スガ シカオ SMILE ARIOLA JAPAN(2003)

強靭なボトムのファンク“Thank You”が冒頭に置かれた5作目は、自身のスタイルを徹底的に追求しようと一心に音作りに取り組む様子があちこちから見えてくる。シングル・リリースされた“サヨナラ”や“青空”など独特な密室感を味わえる曲が多々あって、原点回帰的な作品と位置付けることもできよう。

 

スガ シカオ THE BEST HITS OF LIVE RECORDINGS −THANK YOU− ARIOLA JAPAN(2003)

2003年のツアーで披露された楽曲をベスト的にまとめたライヴ盤。The Family Sugarの鉄壁な演奏によって“黄金の月”“愛について”といった名曲がとろみを増していて極上の味わい。クリスタルな輝きと透明感のある響きを持った“夜空ノムコウ”なんてただただウットリするばかり。初期作品の入門編にも◎。

スガシカオの97年作『CLOVER』収録曲“黄金の月”

 

スガ シカオ TIME ARIOLA JAPAN(2004)

琴線に幾度もタッチしてくる歌声と、強烈にファンキーなサウンドを存分に堪能できる6作目。ヒリヒリした感触に満ちた“カラッポ”をはじめ、スガのリスナーのみならず、コレが苦手な人っているの?と言いたくなる名演の数々。アコギで奏でられるバラード“風なぎ”の余韻がなんとも言えない味わい。

 

スガ シカオ PARADE ARIOLA JAPAN(2006)

高校野球番組のテーマ曲“奇跡”で幕が開く7作目は、黒っぽいビートとロックなギター・サウンドが高らかに鳴り響く楽曲の揃ったパワフル盤。ゴリゴリなファンク“38分15秒”やダンサブルな夏ウタ“午後のパレード”などがバランス良く並んでいて、口当たりはまろやか。切なさが増した“Progress”にグッとくる。

 

スガ シカオ FUNKAHOLiC ARIOLA JAPAN(2008)

正面切って〈ファンク中毒者〉と名乗ってみせた8作目。ホーンが派手に炸裂する“バナナの国の黄色い戦争”のような題名に即したコッテリ系と併せてマイルドでポップな楽曲もさまざまに詰め込まれており、全体の印象は至ってカラフル。エレクトロ系への関心を形にした“13階のエレベーター”が耳を惹く。

 

スガ シカオ FUNKASTiC ARIOLA JAPAN(2010)

もっと生々しく、って気概があったのかどうかわからないが、冒頭からやけに濃ゆい曲を連発してくる9作目。歌詞が痛快すぎる“トマトとウソと戦闘機”などまとまりの良いものを作る意識はなさげで、少々粗くても感情的で勢いのある音作りをめざしているような印象が。Mummy-Dを迎えた2曲も聴きものだ。