モノクロームの世界から現れた奇蹟の歌声は自分自身の色を手に入れた。彩りを増しながら着実に広がってきたオリオンブルーの情景――その美しさに胸を打たれるのはきっと偶然じゃない
違った部分も感じてもらいたい
Uruの歌を聴いていていつも感じるのは……安らぎ。それは癒しともまた違って、ほどよい熱気とゆったりとした息遣いを湛えた歌声に耳を傾けていると、それが悲しい恋の歌であっても、心が不思議と安らぐ。きっとそれは、彼女が楽曲を生み出していく背景――身近な場所を散策することで詞や曲のインスピレーションを高めていることも大きいのだろう。なので、彼女に取材するたびに、最近は身近でどんなことが起きて、どんなところを散歩して、どんな発見があったか、みたいなことをやはり訊きたくなってしまう。
「散歩は……イヤホンをして歩くことも多かったんですけど、街の騒がしい感じとか、クルマの走行音とか、子どもたちが遊んでる声だったり、葉すれの音だったり、イヤホンを外して耳を傾けることもあって。集音マイクで録音したいなあって思うこともあります。本当に静かな場所に行かないと聞こえない音とかをわざわざ聴きに行ったり、あとは、生活音がすごく好きで、生活用水が流れている音に耳を傾けながら、あっ、いまここのおうちお風呂に入ってるな、とか思ったり(笑)。ライヴのSEで使っている水滴の音も、自分で録ったものなんです」。
そんな穏やかな日常を経て、Uruの新しいアルバム『オリオンブルー』が届けられた。ファースト・アルバム『モノクローム』から2年3か月ぶりとなるアルバムだが、その間にはなんといっても彼女の名前と歌声を大きく広めたシングル“プロローグ”があり、前作のときとは注目度も違ってきている。
「ドラマの主題歌で私のことを知ってくださった方もたくさんいらっしゃって、そういった方々が“プロローグ”の入ったアルバムを聴いてみようかなと思ってくださった時に、Uruってこんな曲も歌うんだ、とか、違った部分も感じてもらえたらなと思って、それでいろいろな曲調をを並べてみました。聴いてくださったみなさんの反応がどうなるのか、ちょっとドキドキですね」。