5月末にジャパン・ツアーを控えるモグワイの新作は、広島の原爆投下から70年を追うBBCのドキュメンタリー番組用に書かれたコンセプト盤だ。核の恐ろしさを冷たく、痛々しく、荒廃したサウンドで表現しつつ、同時に命の尊さや再生をイメージさせる美しくて力強い楽曲も収録。代名詞の轟音ギターはほどほどに、鍵盤の単音がリードする“Ether”をはじめ、抑え気味のパフォーマンスが今回は冴えている。

 


20年以上連れ添ったギタリストのジョン・カミングスが昨年、友好的に脱退してから初めてとなる本作。BBCドキュメンタリー『Atomic:Living In Dread and Promise』のサウンドトラックを再構築したものだが、オリジナルアルバムと同等のクオリティがあり、それは、メンバーが1人抜けたことを忘れてしまうほど。ドキュメンタリーを観ていないので音的な部分でしか伝えられないが、彼らの職人性が際立った作品であると痛感させられた。そして、13年ぶりの広島公演も決定。本作の内容からしても彼らにとっても重要な公演となるだろう。グラスゴーにハズレなし。