結成10周年! 今だからできること、今だから届けたいこと
国立音大の同窓生5人によるレジェンド。結成の動機が“一夜限りのコンサート”だったので、現在も活動の中心はコンサートにある。結成10周年のベスト盤『dieci』もライヴ感にこだわって制作された。
「これまでは各々ブースに入り、ひとりずつ歌を録っていたけれど、今回は“せいのドン”で、コンサートと同じように一緒に歌いました。その方が僕らの場合、いい音楽が生まれると思ったので」(志村糧一)
「生っぽくて、粗削りな面もあるけれど、コンサートではマイクなしの肉声で歌っているし、それが音楽の自然な姿ではないかと思います。選曲、曲順を含めて、コンサートに近い構成になっています」(吉田知明)
その選曲の特長は、ノンジャンルであること。オペラのアリア、ナポリ民謡から《落葉松》や《ふるさとは今もかわらず》など日本語の歌も多く歌っている。
「ソロで活動してきた5人が集まってやる意味のひとつは、全員の声が重なった時のハーモニー。それをあらゆるジャンルで挑戦してみたいんですね」(吉田)
「クラシック以外の曲をオペラ歌手5人が歌ったら、どんな化学反応を起こせるか。それが楽しいし、オペラとは異なり、声を聴かせるわけではないので、日本語でメッセージを伝えたいとも思っています」(志村)
「オペラのアリアを5人で歌うなんてクラシック界ではタブー視されていることですよね。でも、蓋を開けてみれば、そこは可能性の宝庫でした」(内田智一)
収録曲の中に特筆すべき曲が2曲ある。まずは相田みつをの詩を歌にした《ひとりでもいい》。
「相田みつを美術館でコンサートを開いた際に、ある方が“レジェンドのコンサートに100回来ています”と言って下さったのをご子息の館長さんが聞いて、相田さんは常々“100人ではなく、ひとりでいいから、100回読んでもらえるような作品を書きたい”とおっしゃっていたと。それが縁で《ひとりでもいい》を歌わせてもらうことになりました。でも、作品の持つ力があまりに大きいので、歌うのは難しい。観客にどう届けるか。毎回ベストな歌を模索しています」(吉田)
もうひとつは、新垣隆の書き下ろしで、ひばり児童合唱団と共演している《たいせつなあなたへ》だ。
「児童合唱団が減少している現状に寂しさを感じ、みんなで歌える合唱団を作ってみたかった。声が重なっていくコーラスの楽しさ。新垣先生が書かれたシンプルだけれど、奥深い世界がある歌です」(吉田)
10年前のコンサートの熱烈な反響がレジェンドの未来の扉を開いた。だからこそ今も大切にしているライヴ。10周年記念コンサートでは各地の児童合唱団と共演して、合唱の楽しさを広めていきたいという。
LIVE INFORMATION
10周年記念コンサート LEGEND dieci REBORN!
○5/12(木)東京オペラシティ
10周年記念コンサートツアー ~たいせつなあなたへ~
○6/10(金)コラニー文化ホール(山梨)
○6/12(日)一関文化センター(岩手)
○6/16(木)アクロス福岡(福岡)
○6/17(金)広島県民文化センター(広島)
○7/3(日)島根県立男女共同参画センター あすてらす(鳥取)
○7/6(水)札幌コンサートホール(札幌)
○7/9(土)三井住友海上 しらかわホール(名古屋)
www.opera-legend.jp/